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《法廷で母が涙した理由》両親はなぜ田村瑠奈被告を病院に連れて行かなかったのか…弁護側が直球質問「将来、親のほうが先に死んでしまうが?」

NEWSポストセブン 2025年2月1日 11時15分

 2023年7月、札幌市・ススキノのホテルで男性会社員Aさん(62=当時)が殺害された事件。逮捕された親子3人のうち、殺人ほう助や死体損壊ほう助などの罪に問われている父・田村修被告(61)の第5回公判が札幌地裁で開かれた。

 今回の公判では、死体損壊ほう助などの罪に問われている母・田村浩子被告(62)も証人として出廷した。浩子被告は、髪をひとつ結びにくくり、暗い紺色のカーディガンに、襟付きの白いシャツという服装。身柄拘束はなく、入廷時に深々とお辞儀していた。

 弁護人にうながされ、浩子被告は、被害男性Aさんと遺族への謝罪を述べた。

浩子被告「もし今回のことが起きなければ、まだまだ大切な人と過ごせる時間があったはずなのに、大変申し訳なく思っています。ご遺族におかれても、かけがえない方を失うこととなり、大変申し訳なく、深くお詫びいたします」

 殺人や死体損壊などの罪に問われている娘の田村瑠奈被告(30)は、中学から不登校になり、18歳ごろから自宅に引きこもるようになったという。やがて自身に複数の人格が入り込んでいるという“ゾンビ妄想”を抱えるようになり、常軌を逸した言動が増えていった。

 弁護人は、「どうしてこうなったのか、夫と話し合ったことは?」とたずねる。

浩子被告「突き詰めて方針を決めた記憶はありません。小学生のときに不登校になり、瑠奈が自分で『病院に行きたい』と言いました。でも改善せずに行かなくなったので、また病院に連れて行く話にはなりませんでした」

 瑠奈被告が20歳くらいのころ、本人の希望で再び病院を訪ね、しばらく娘を通院させていたという浩子被告。しかし、「信頼していた先生」が倒れてしまい、また病院に行かなくなってしまった。それ以降は、本人の頼みで修被告が予約を入れることは時折あっても、結局、瑠奈被告は医療にアクセスしないままだったようだ。

弁護人「あなたは病院に行かなくてもいいと思っていたのか?」
浩子被告「夫が精神科医なので、よほどなら(病院に)連れて行くだろうと思っていました。ゾンビ妄想はあっても日常生活は支障なかったので、その辺りの対応も悪ければ、夫が言うと思っていました」

弁護人「将来的に親のほうが先に死んでしまうと思うが、瑠奈被告のことはそのままでいいと思っていたのか?」

浩子被告「引きこもりも長いので、何かしたいと能動的な言葉が出たら、させてあげようと思っていました」

 娘の将来を思って、浩子被告は、「こういう選択肢もあるよ」と伝えるために就労継続支援施設のパンフレットを用意していたが、実際に本人に渡すことはなかったという。

唇の左右を傷つけた理由は

 裁判では、瑠奈被告の自傷行為についても話題に上った。自分自身を傷つける娘について語るうちに、浩子被告は涙声になっていった。

浩子「首だったり、あと、よく切っていたのは……(泣く)……口の端から耳にかけて傷をつけていました」

 まるで口裂け女にでもなろうとするように、瑠奈被告は唇の左右を傷つけた。自身に入り込んでいる別人格“ジェフ・ザ・キラー”は口が裂けており、彼と同じ顔になるための行為だったという。

弁護人「それを見てあなたは?」

浩子被告「初めて見たときに泣いてしまって、すると瑠奈が『なぜ子でもないのに泣く?』と言われて、次から泣かないようにしました」

 あくまで“日常生活に支障はない”と捉えて、多少強引にでも娘を病院に連れていくことはしなかった。事件が起きた今、両親は自分たちの判断ミスを痛感しているのだろうか──。

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