2023年7月、札幌市・ススキノのホテルで男性会社員Aさん(62=当時)が殺害された事件。逮捕された親子3人のうち、殺人ほう助や死体損壊ほう助などの罪に問われている父・田村修被告(61)の第5回公判が1月29日に札幌地裁で開かれた。死体損壊ほう助などの罪に問われている母・田村浩子被告(62)も証人として出廷した。
殺人や死体損壊などの罪に問われている娘の田村瑠奈被告(30)は、中学から不登校になり、18歳ごろから自宅に引きこもるように。両親は娘の顔色を伺って生活し、ちょっとした買い物などの外出、さらには夜遊びにまで付き添っていた。
瑠奈被告は、2023年5月28日、ススキノの有名なダンスクラブで被害男性Aさんと出会い、ふたりで店を抜け出した。浩子被告は、「(娘は)普段引きこもりなのに、意気投合して、2次会的なところへ行けるなんて画期的だと思いました」と当時を振り返る。
瑠奈被告とAさんがダンスクラブを出て向かった先は、ホテルだった。ふたりは関係を持ったものの、トラブルになった。その後、瑠奈被告は、Aさんのことを“鹿”と呼び、夜の街で人探しを始めた。
弁護人「何のために被害者に会うのか聞いたか?」
浩子被告「謝ってもらい仲直りすると。最初は好きにされたので、好きにさせてもらうと。SMが、とか」
浩子被告いわく、瑠奈被告がAさんを探していたのは、SMプレイをする目的だった。
弁護人「なぜSMと?」
浩子被告「何年も前からSM女王になってみたいと」
弁護人「実際に行動は?」
浩子被告「コスチュームを買ったり、口をふさぐけど息はできる穴の開いたボールみたいなのを持ってたり、ムチも2本ほど持っていた」
両親が送り迎えして、瑠奈被告がムチさばきを競う“スポーツウィップ”のレッスンを受けに行ったこともあったという。また、父親の修被告を相手に“SMのデモンストレーション”をしたこともあり、浩子被告は、「微笑ましいというか、親子で試している感じで、笑いを堪えていた。ほんわかした感じ」とそのときの様子を明かした。
「女王様させてあげる」
SM趣味を両親に伝えている時点で、にわかには信じがたい親子関係だが、瑠奈被告は自身の性事情もオープンにしていた。
Aさんとトラブルになってから約1か月後の2023年6月下旬、瑠奈被告は、クラブで意気投合したというまた別の男性とホテルに行っている。修被告の目の前でホテルへ向かったという連絡を受け、浩子被告は夫に「なんてことだ」とLINEで送っていた。
浩子被告「5月28日に不本意な思いをして、そこから日を置いていないのに不用心ではないのかと」
瑠奈被告は、その男性とSMプレイを楽しんだことを両親に報告した。
浩子被告「クラブで知り合った人が女王様させてあげると言った。ドンキに行ったがムチはなかったので、その人のベルトで叩いたと言っていた。(相手男性は)東京から出張で来ている人で、奥さんとは離婚しようと思っているとのこと。(瑠奈は)おもしろかったと言っていた」
弁護人に「SMだけではなく、性交もあったのか?」と質問されて、浩子被告は、衝撃的な答えを返した。
浩子被告「使用済みコンドームを持ち帰ってきたので、そう理解した」
弁護人は、「普通、親子間でそういうことを共有しないと思うが」とごく自然な指摘をしたうえで、「瑠奈被告から性交の話を聞いた思いとしては?」とたずねた。
浩子被告「フリースクールの先生から『通常のレールに乗っていれば、性交も中学生からする』と聞いていたので、娘は30歳なので、そういう経験してもおかしくないと」
浩子被告は、親子の異様なやり取りについても終始淀みなく語っていた。弁護人と入念に打ち合わせしたのか、もしくは家庭内ではそれが当たり前の会話だったのか──。