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2024年の中国でのストライキ件数は前年比20%減も内陸部では増加傾向 生産拠点が沿海部から内陸部に移転したことが背景に

NEWSポストセブン 2025年2月4日 7時15分

 中国では2024年の1年間で、判明しているだけで1509件のストライキが発生した。これは一昨年の2023年の1794件に比べると20%近く減少したものの、2022年の831件に比べると、ほぼ2倍増だった。

 この背景には、中国の生産拠点が従来の沿海部から内陸部に移動していることがあるという。これまでストが少なかった内陸部では、2023年から2024年にかけてストライキが増加傾向になっている。香港を拠点とする中国労働問題の調査・支援の非政府機関(NGO)「中国労働通訊(CLB)」が伝えた。

 CLBの報告書によると、昨年最も多くストライキが発生した省は従来の中国における工場の集積地ともいわれる広東省で346件、次に東北部の山東省が106件、続いて東部の浙江省が106件となった。

 中国のストライキの発生件数では例年、これらの沿海部の省が多数を占める。しかし、昨年の場合、河南省(80件)、河北省(69件)、陝西省(59件)、四川省(45件)、陝西省(43件)、山西省(35件)、貴州省(25件)など内陸部の省での発生数が多くなっていることが特徴だ。

 中国では1978年以降の改革開放路線で、原材料の運搬や貿易の利便性などから、沿海部に多くの工場が建設されたが、現在では内陸部に生産拠点が移動しつつある。とくに、2016年頃から沿岸部から内陸部へと大規模な工場移転が続いている。2023年の中国中西部15省から海外への輸出額は前年比94%増とほぼ倍増している。

 しかし、沿海部と違って内陸部の企業や工場の経営者は工場の運営や安全対策には必ずしも習熟しておらず、ここ数年で労働事故も数多く起きている。労働者は補償を求めて、経営者との対立し、深刻な労働争議に発展するケースも多くなっているという。

 また、ここ数年、不動産不況が深刻化しており、建設途中の大型マンションなどが資金不足で建設を中止し、労働者の賃金未払い問題に発展することもある。不動産不況も労使紛争の多発につながっている。

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