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【埼玉・八潮の道路陥没事故】「前から糞のようなニオイが…」近隣住民らが感じていた“異変” アスファルトのヒビは予兆だったのか

NEWSポストセブン 2025年2月1日 11時45分

 1月28日午前10時ごろ、埼玉県八潮市の交差点で道路の一部が陥没し、その穴に2トントラックが転落する事故が発生した。消防は車内に閉じ込められた70代運転手の救出を懸命に続けている。穴の拡大などで作業は難航。発生から丸4日が過ぎても依然として運転手は穴に落ちたトラック内に取り残されているとみられる。

「事故が発生した当初は直径およそ10メートル、深さ5メートルほどの穴でしたが、すぐ近くで29日未明に陥没が起き、30日の未明には2つの穴の間の路面も崩落して大きな1つの穴になりました。幅は最大でおよそ40メートルまでに拡大しています。31日には、重機を投入して、穴から道路につながるスロープをつくる工事を地元消防などが急ピッチで進めていました」(大手紙社会部記者)

 陥没事故の原因として、深さ10メートルの地中にある下水道管が破損した可能性が指摘されている。

「埼玉県などの説明によると、地中に埋められた下水道管が破損して、徐々にその穴に土砂が流れ込み、地中に空洞が発生。それにより、その上を通るトラックなどの重みに耐えられず路面が陥没した可能性があります。

 下水道管の標準的な耐用年数が50年とされていますが、該当箇所はまだ42年しか経過していないものでした。今回、破損したのは老朽化のほかに、下水で生じた硫化水素が空気に触れて硫酸となり、コンクリートを腐食させた影響が考えられます。該当箇所がちょうどカーブしているのも、その内側にゴミが溜まりやすいことから硫化水素が発生しやすく、腐敗を早めた要因かもしれません」(同記者)

 陥没現場では破損した下水道管から下水が流れ込んでいる。救助を妨げるため、流入する下水の量を抑えようと、県は春日部市にあるポンプ場で、汚水を塩素で消毒してから河川への緊急放流を行っている。近隣12自治体の住民に対して、洗濯や風呂など下水道の利用自粛を呼びかけており、周囲への影響も大きくなっている。

以前から「下水のニオイがしていた」

 前代未聞の事故はなぜ起きたのか。グーグルの「ストリートビュー」を見ると、2023年4月に現場付近の路面に亀裂のようなものが入っているのが確認できる。同年9月には亀裂はなくなっているが、これについてSNS上では事故の予兆ではないかという声もある。また近隣住民に取材すると、同様に周囲の路面の悪さを指摘する声が聞かれた。

「3年くらい前ですかね。自転車で毎日通っていたのですが、大きな亀裂が入っていました。今はキレイになっていますが。もしかしたら事故と関係あるのかなと思っていました」(20代女性)

「あのあたりはアスファルトをきれいに張り替えたりしているんだけど、なんか轍みたいなのはよくできているし、綺麗な路面という印象はありませんね」(50代女性)

 はたして、これらは事故の予兆だったのか。埼玉県の担当者に話を聞くと以下のような回答だった。

「崩落した箇所を含む1500平米の切削工事を2023年3月3日から9月29日までに実施しています。路面から約10センチメートルのアスファルトを削って打ち直す作業です。同年3月にひび割れがあったわけですが、アスファルト自体が熱を持つなどしてできるのが原因で、本件の崩落とは関係ないと考えています」(道路環境課)

 近隣住民に取材を続けると、「匂い」というワードも多く聞かれた。

「この半年くらいの間ですが、あのあたりを通ると下水のにおいがかなり強いことがありました。糞のようなニオイです」(50代男性)

「風が強い時に下水の臭いがかなり強く漂っていたんです。なんか臭いなぁってのはもう何年も前からずっとあった」(50代女性)

 匂いがするからといって、下水道管が破損しているとは限らないが、何か調査がなされれば事故は未然に防げたのかもしれない。県の下水道事業課はこう話している。

「5年に一度、定期検査を実施しています。人が入れるような大きな管には人が入って、難しい箇所には機械を使って、腐食やひび割れがないかなどを調べます。該当箇所の検査は2022年1月~2月にかけてカメラを載せた船型の機体を使って実施しており、その際には腐食は確認していますが、何か対応する必要は無いという範囲の結果でした。

 下水道管は毎日流れているものが異なり、常にチェックできているわけではありません。今回の事故の原因を早急に調べて、今後の対応について考えたいと考えています」

 最後の検査から3年の間に、当該箇所で何があったのか。陥没の原因究明が急がれる。

 
 

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