カーリング女子日本代表として、2022年北京オリンピックで銀メダルを獲得したロコ・ソラーレ。ここへ至るまでの五輪選考会を兼ねた大会で結果を出せず、2月2日から2月9日まで横浜BUNTAIで開催されている日本選手権で、4位以下なら3大会連続の五輪出場の道が途絶えるという“崖っぷち”に追い込まれている。そんななか、1月に新メンバー松澤弥子選手がチームに加入。なぜ、このタイミングだったのか。新メンバーはどんな選手なのか。取材を進めるとその背景には意外な“チーム事情”があった──。
ロコ・ソラーレは、2024年1月末~2月初旬に北海道・どうぎんカーリングスタジアムで開催された第41回日本カーリング選手権大会で4位という結果に終わり、今シーズンは日本代表ではなくなった。そして2024年5月、フィフス(リザーブ)を務めてきたベテランの石崎琴美(46)がチームを離脱することが発表された。
「予算などの理由で石崎選手はチームを離れましたが、“フィフス”というポジションはメンバーに怪我やアクシデントがない限り、試合には出場しない。カーリングのチームは5人まで登録できますが、そもそも試合に出られるのは4人なので、今季は4人体制(藤澤五月、吉田知那美、鈴木夕湖、吉田夕梨花)でシーズンに臨んできました。しかし、フィフスは作戦面やストーン(石)、試合前の氷のチェックなど、チームの勝利に必要な役割を担う重要なポジションでもあります」(スポーツ紙記者)
昨年8月に北海道・アドヴィックス常呂カーリングホールで開催されたアドヴィックスカップ2024から、4人新体制でシーズンをスタートさせたロコ・ソラーレ。ここまで国内・国外で14試合を戦い、準優勝こそ3度あるが、優勝は0回とスランプに陥っている。今大会で3位以内に入らなければ、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への出場が閉ざされる。絶対に負けられない戦いを前に白羽の矢が立ったのが、冒頭の松澤弥子選手だった。
「松澤選手は北海道名寄市出身で、現在は25歳です。彼女は2018年に結成されたロコ・ソラーレの育成チームであるロコ・ステラの初期メンバーで、ロコ・ソラーレのメンバーとも昔から交流があり、コミュニケーションも取りやすい関係です」(同前)
また、ウインタースポーツ関係者によると、彼女の加入には3つの理由があるという。
「1つは、北海道ブロックの決勝で敗れ今大会にロコ・ステラが出場できなかったこと。そして2つ目は、ロコ・ソラーレ4人の負担を軽減するためです。本橋麻里さんは、石崎選手のように試合前・試合中・試合後のサポートを松澤選手がしてくれることにより、試合に集中してほしいと考えたそうです。最後の3つ目は、優勝を争う北海道銀行リラーズの平均年齢が22.2歳に対して、ロコ・ソラーレはメンバー4人の平均年齢が32.5歳。若い松澤選手の抜擢は将来を見据えての起用だったようです」(同前)
1月15日、グランドスラム オブ カーリングの「マスターズ」(カナダ)の1回戦を生中継したABEMA番組にゲスト出演した松澤は、中継時に「(ロコ・ソラーレのフィフスとなり)とても緊張しています。ただ違う角度からチャンスをいただいたので精一杯頑張りたいと思います」と意気込みを語っていた。
3大会連続のオリンピック出場に向け、新メンバーが加わったロコ・ソラーレに待っているのは、どのような景色だろうか。