赤裸々な暴露と家族総出の懇願で、少しでも減刑を勝ち取ろうともがく、スーパースターの元相棒。しかし、その主張は検察当局によって完全否定された。なりふり構わぬ彼の言動に、大谷翔平(30才)が示した怒りの決断とは──。
「山火事とかがあって、ぼくも避難しなければならなかった。妻と一緒に避難していたので、このオフは日本には帰れませんでした」
2月2日(日本時間、以下同)、ドジャースのファン感謝イベントでそう語った大谷翔平。昨年のいま頃まで彼の横にはいつもぴったりと寄り添う通訳がいたが、その“元相棒”はまもなく収監されようとしている──。黒いTシャツの上にドジャースのユニホームを羽織ってイベントに登場した大谷。今年に入って大規模な山火事がロサンゼルスを襲った際の切迫した状況をこう振り返った。
「夜中でしたね。アラートが鳴って、いろんな人と連絡を取って避難しました。忘れ物をして1回戻ったときに、結構もう(自宅の)後ろの方が燃えていたので、うちも危ないかと思っていた。妻とデコ(愛犬のデコピン)と一緒にまず避難することが先だったので、すぐに荷物をまとめて避難しました」
昨シーズンはワールドシリーズ制覇、史上初「50−50」達成と歴史的な活躍を見せたが、このオフは左肩を手術してリハビリがメインの日々。さらに山火事に見舞われて避難した先でインフルエンザにかかり、寝込んでしまったという。現在は回復し、週5〜6日はトレーニングする毎日のようだ。
「開幕に向けて準備を進めるなか、やはり気になるのは真美子夫人の第1子妊娠です。大谷選手もファンイベントで『緊張と楽しみが両方ある。無事に生まれてきてくれれば、それだけで充分』と胸中を明かしました」(在米ジャーナリスト)
一方で注目を集めているのが、2月7日に判決が予定される元通訳の水原一平被告(40才)の裁判だ。水原被告は大谷の口座から約26億円を騙し取った銀行詐欺罪などで起訴され、米連邦検察は1月中旬、4年9か月の禁錮刑や大谷への賠償金の支払いなどの量刑を裁判所に求めた。これに対して水原被告サイドは、「ギャンブル依存症の“被害者”だった」として1年6か月の禁錮刑が妥当であると主張し、減刑を求める申立書を裁判所に提出した。
「申立書には水原被告の両親と妻らの手紙が添えられ、被告がいかに“善人”であるかをアピールしています。なかでも妻は、被告の仕事が想像以上に厳しいものだったと強調し、犯行当時の被告は『精神的に正常な状態ではなかった』と主張しました」(前出・在米ジャーナリスト)
さらに水原被告自身も申立書を提出し、“ブラック”な労働環境が犯罪の引き金となったと強調したのだ。
「被告は、自分と家族の生活を犠牲にして大谷選手を最優先にしてきたと訴え、本業の通訳に加えて運転手やトレーナー、シェフなど、大谷選手に関する業務をほぼひとりで担い、24時間365日いつでも呼び出しに応えられるよう待機していたと述べました。ところが激務の割に賃金が安く、お金に困って違法ギャンブルを始め、その借金が膨らんで大谷選手のお金に手をつけざるを得なかったと主張しました」(前出・在米ジャーナリト)
だが1月31日、検察側が書面を再提出。水原サイドの言い分を「裏付けのない主張」と一刀両断した。
「ギャンブル依存症を主張する水原被告に対し、検察は全米で30以上のカジノを調査したが被告は一度しかカジノを利用していないと反論し、被告がオンラインで賭けを始めたのは、大谷選手から数百万ドルを盗んだ後だと明らかにしたのです。しかも被告は胴元から得た金を自身の個人口座に入金して個人的な用途に使用していたことから、大谷選手に返済する意思はなかったと結論づけました」(前出・在米ジャーナリスト)
さらに検察の書面は、「低賃金労働」を訴える水原被告の主張を真っ向から否定した。
「申立書で水原被告は『大谷選手の家の近くに高額の家を借りたことが負担になった』と綴っていましたが、検察は水原被告が大谷選手のデビットカードを無断で使用して家賃を払っていた上にポルシェを提供されていたと反論し、昨年3月の段階で被告の口座には約20万ドル(約3000万円)の残高があったと述べました。また本の執筆やCM出演を断るよう大谷選手に強制されたとの主張も真実ではないと断定しました」(前出・在米ジャーナリスト)
こうした一連の激しい反論ののち、検察は水原被告をこう厳しく断罪した。
《被告は償うことよりも、自身の公的なイメージを気にかけている。これらの理由から、相当期間の収監が必要である》
大谷夫妻のプライベートを暴露
検察側の主張によるならば、水原被告は自身の量刑を軽くするために労働環境や経済状況について「嘘」の言い分を連ねたことになる。そうした姿勢に怒りを募らせているのが大谷だ。
「水原被告は身勝手な言い訳に加えて、大谷夫妻の婚前契約を結ぶために日本とアメリカで調整を行っていたことや、岩手県の実家に帰る際の手伝いをしたこと、デコピンを獣医やトリマーに連れて行ったことなどのプライベート情報を申立書で赤裸々に明かしました。私生活に触れられることを極端に嫌う大谷選手とすれば、元通訳の“暴露”には怒り心頭でしょう」(スポーツライター)
大谷の怒りの痕跡がうかがえるのが、水原被告と検察が提出した前述の書面だ。
「なりふり構わず減刑を得ようとする水原被告は当然、大谷選手にも申立書への協力を要請したはずです。被告側の申立書に大谷選手の名前がなかったのは、彼が申し出を断ったからでしょう。それどころか、大谷選手がデビットカードを無断で使用されていたことや書籍の執筆を認めていたことなどを検察が反論の材料にできたのは、大谷サイドが検察の証拠固めに協力したからと考えられます。
渡米してから6年以上も行動を共にした2人ですが、嘘と暴露を重ねる被告の態度には大谷選手も堪忍袋の緒が切れたようです。検察に協力したことからも、大谷選手が苦悩や悲しみを抱えつつ、水原被告への厳罰を望んでいることがうかがえます」(前出・スポーツライター)
判決のときを迎えて、大谷の新シーズンとともに、水原被告の刑務所生活が始まろうとしている。
※女性セブン2025年2月20・27日号