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成人の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の維持療法、皮下注射薬を米FDAが承認

QLife 2024年1月30日 17時17分

筋力低下・感覚障害が現れる希少な神経筋疾患

 武田薬品工業株式会社は米国時間の2024年1月16日、遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注用人免疫グロブリン製剤10%(海外製品名:HYQVIA(ハイキュビア))について、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんにおける神経筋障害および機能障害の再発予防の維持療法として、米国食品医薬品局(FDA)が承認したと発表しました。

 CIDPは、末梢神経系に影響が現れる希少な神経筋疾患です。再発性または慢性進行性に、末梢神経の脱髄が生じます。脱髄とは、髄鞘が障害される現象のことです。脱髄により、筋力低下や感覚障害が現れます。CIDPの症状は、他の希少な神経筋疾患の病態と重複することがあるため、正しく診断されにくいことが指摘されています。

従来の静注用製剤では投与時間などの課題、HYQVIA承認で皮下注射の選択肢も

 免疫グロブリン療法は、CIDPに対する維持療法の標準治療として確立されています。一方、従来の静注用人免疫グロブリン製剤では、投与時間の長さ、静脈確保の難しさ、投与環境の制限などの課題がありました。

 HYQVIAは、2014年に成人の原発性免疫不全症(PID)患者さんの治療薬として米国で初めて承認を取得。その後、2~16歳の小児患者さんにも適応が拡大されました。同薬は、CIDPの成人患者さんに対しては、最長で1か月に1回(2、3または4週ごと)の間隔で投与します。また、皮下注射の薬のため、適切なトレーニングを受けた後、患者さんや介護者が自己注射することも可能です。

 その他、2023年12月に、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、CIDP患者さんを対象とし、静注用人免疫グロブリン製剤による療法で安定した後の維持療法としてのHYQVIAの承認を推奨したことを発表しています。

臨床試験で再発予防の有効性・安全性を確認

 今回のFDAの承認は、成人のCIDP患者さんに対するHYQVIAの維持療法としての有効性と安全性を評価した2つの臨床試験(ADVANCE-CIDP 1試験・ADVANCE-CIDP 3試験)の結果に基づくものです。

 有効性の評価は、ADVANCE-CIDP 1試験で行われました。対象は、CIDPの確定診断を受け、スクリーニング前の少なくとも3か月間、静注用人免疫グロブリン製剤療法の用法・用量に変更がなかった成人の患者さん122人です。主要評価項目の解析では、HYQVIA群(N=57、14.0%)の再発率は、プラセボ群(N=65、32.3%)と比較して統計学的に有意な差が示されました(p=0.0314)。治療差が-18.3%(両側95%信頼区間:-32.1%、-3.1%)であったことから、HYQVIAはプラセボよりCIDPの再発予防で優れていることが示されました。

 安全性の評価は、ADVANCE-CIDP 1試験(N=62)とADVANCE-CIDP 3試験(N=79)で行われました。CIDPを対象としたHYQVIAの臨床試験で、被験者の5%以上に最もよくみられた副作用は、局所反応、頭痛、発熱、悪心、疲労、紅斑、そう痒症、リパーゼ増加、腹痛、背部痛、四肢痛でした。(QLife編集部)

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武田薬品工業株式会社 プレスリリース

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