バイ・ルーとワン・ホーディーによる現代ドラマ『始まりは君の嘘』がRakuten TVにて配信中。本作は日本語タイトルのとおり、“嘘”から始まる大人のラブロマンス。今回はヒロインを演じる人気女優、バイ・ルーに焦点を当てて紹介したい。
1994年9月23日生まれのバイ・ルー。韓国芸能界に憧れ、大手事務所SMエンターテインメントのオーディションを受けるも惜しくも落選してしまったという過去があるのだが、モデル活動を経て俳優となった。
注目されたのは、2019年のファンタジー時代劇ドラマ『招揺』だ。タイトルロールである女魔王の役を、キリっとしたまなざしを活かしたクールな雰囲気に加え、アクションも華麗にこなし、“ハンサム”かつダークなヒロインを体現して視聴者を魅了した。そして、同じ年に制作の『烈火士官学校 〜ステキ男子とイケメン女子』では男装ヒロインでガラリと雰囲気を変えたかと思いきや、翌年の現代劇『オオカミ君王とひつじ女王』ではオレ様気質なハイスペ男子とオフィスラブを繰り広げる等身大の女性、時代劇『万華楼~金糸が紡ぐ運命の恋~』では男前なヒロインになり、2021年には時代劇『玉楼春~君に詠むロマンス~』で再びの男装もありつつ聡明な女性、そして前世からつながるドラマチックな恋が前後編で描かれた『美人骨』では北魏の時代と現世の女性をしっとりと演じあげた。
コミカル、ダーク、キュート、実にさまざまな表情を見せてくれ、芯のある女性がよく似合う。そんなバイ・ルーが演じる女性は、憧れを抱いたり、共感を呼んだりしてきた。
そして『始まりは君の嘘』では経済誌の記者ジョン・シューイーの役。若いながら洞察力に長け、インタビューした経営者からの評判もいい、仕事がデキる女性だ。彼女が次の独占インタビュー相手として狙うのは、なぜか素顔をメディアで公開していない投資会社社長シー・イエン(ワン・ホーディー)。一度アポイントできるが、多忙ゆえ延期に。そんななか、恋人の浮気が発覚。大学時代から5年もアタックされ続け、ようやく付き合うことにした直後の浮気で、しかもふるつもりがふられる展開に。傷心のシューイーは、恋人の浮気相手の叔父がシー・イエンだと勘違いし、仕事を成功させつつ、恋の復讐としてシー・イエンを「落としてみせる」と決めた。
努力を惜しまず、取材では鋭い質問をするなど優秀さはシー・イエンも認めるところ。そんなシー・イエンに勘違いから“嘘”で近づこうとするシューイーなのだが、クールな彼の魅力に“嘘”は関係なく惹かれていっているのがなんとも愛らしい。
その愛らしさはバイ・ルーの表情の演技からにじみ出ている。社長室から出てくるシー・イエンのかっこよさに思わず顔がほころぶのだが、その後、車の中でのインタビュー中も、ひょんなことから乗馬をすることになって着替えているところがチラリと見えたときも。乗馬帰りの車の中でシー・イエンの肩にもたれかかって眠ってしまう無防備さもそうだ。
そんな愛らしい表情は、シューイーの親友も認めるところ。第4話では「女の私でもあなたの表情にドキドキするのに、なぜシー・イエンは落ちないの?」と言う場面がある。ところが実のところシー・イエンも密かに惹かれていたりする。ワン・ホーディーが実年齢より上のシー・イエン役を大人っぽくクールに醸し出すことに成功するなかで、バイ・ルー扮するシューイーの愛らしさに触れて思わず表情をゆるませるところにキュンとする。
男性も女性もとりこにするかわいさだけでなく、仕事も目標を持ってがんばろうとする向上心のあるキリっとした表情にも引き付けられるシューイー。多くの作品でヒロインを務めてきた演技力とバイ・ルーの持ち前の魅力が存分に発揮されている。
シー・イエンはシューイーのことを「駆け引き上手」と思ったりするのだけれど、もともと勘違いをしていることもあって、ちゃんとした駆け引きなのかもどかしくなったりしながら、“嘘”がどんな展開を迎えるか。シューイーの愛らしさと共に加速するロマンスに夢中になれるはずだ。
(文・神野栄子)