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80年代SF映画の色あせない魅力、名監督作品&隠れた名作をピックアップ

Rエンタメディア 2024年10月12日 12時0分

テクノロジー(科学技術)を駆使して、人間が宇宙で活躍したり、タイムマシンで未来や過去へ行ったり、非現実世界の壮大な物語が描かれるSF (=Science Fiction)映画。宇宙や未来への憧れ、あるいは恐れもあるだろう。制作者は豊かな想像力を存分に生かした世界を映し出し、観る者は好奇心を刺激される。
世界初のSF映画は1902年に公開されたフランスのジョルジュ・メリエス監督によるサイレント映画『月世界旅行』で、本格的なSF映画ブームの到来は1950年代といわれる。そこから人気ジャンルの一つとなったが、進化し続けるテクノロジーと共に80年代は多彩なSF映画が誕生した。
今回は、いまは名匠といわれるようになった監督たちの手掛けた作品と、広く知られてはいないけれど評価されている作品、魅力たっぷりの80年代SF映画を合わせて5つ紹介する。


●『エイリアン2』(1986年)


SFホラー作品として大ヒットした1979年公開の『エイリアン』。エイリアンという架空の地球外生命体が宇宙船乗組員の体内に寄生し、腹を食い破って逃走するシーンは衝撃的だった。その最後まで生き残った女性乗組員リプリー(シガニー・ウィーバー)が引き続き主人公となった『エイリアン2』は、SFアクション『ターミネーター』(1984年)をヒットさせたばかりで、のちにメガヒットとなった『タイタニック』(1997年)や『アバター』(2009年)シリーズを生み出したジェームズ・キャメロンが監督&脚本を担当。まだ31歳で監督としては駆け出しだったが、続編として引き継ぎつつも迫力ある戦いシーンが満載のSFホラーアクションとし、サスペンスフルでドラマチックな展開、現代に比べれば見劣りはするもののリプリーが操縦するパワーローダー(人間と機械が一体になって動く装置)などのワクワクする装備でエンタメ性がさらに高まり、前作を超える興行収入を記録した。原題では前作が『ALIEN』で本作は『ALIENS』と複数形になっているとおり、増殖したエイリアンに立ち向かうリプリーたちの死闘が本当にかっこいい。

●『ザ・フライ』(1986年)


『スキャナーズ』(1981年)でブレイクし、ホラーのなかでも骨折や破裂など身体の変容を見せる“ボディ・ホラー”で知られる鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督が手掛けた。1958年のホラー映画『ハエ男の恐怖』をリメイクし、物質転移装置を発明した博士(ジェフ・ゴールドブラム)が自らの体で実験するも、一匹のハエが装置に迷い込んでいたことで体に変化が起きてしまうという物語。特殊メイクの技術がグッと向上した80年代、本作も第59回アカデミー賞でメイクアップ賞を受賞する評価を得た描写がすごい。いや、すごいというより、すご過ぎるといったほうがいいかもしれない。傷を負っていた背中から毛のようなものが生え、それが昆虫のものらしいと分かってから、爪の先からドロっとした膿のような液体が出て、やがて耳や歯などがポロっと取れて…と、後半はグロテスクな描写がこれでもかと続くのだ。単なるSFホラーではなくて、悲しいラブストーリーでもあるのだけれど、グロテスクが苦手な方はご注意を。

●『ニューヨーク1997』(1981年)


SF作品を多く生み出しているジョン・カーペンター監督。タイトルのとおり、描かれるのは1997年で、いまとなってはすでに過去だけれど、巧みな設定で面白い。犯罪率が400%を超えて、ニューヨークのマンハッタン島が巨大な刑務所と化した世界。そこにテロリストに乗っ取られた大統領専用機が不時着し、大統領が拉致される。元特殊部隊隊員のスネーク(カート・ラッセル)は、体内に24時間後に爆発する爆弾を注入され、大統領を救うよう命じられる。ユートピア(理想郷)の対義語となるディストピアなSF映画の名作だ。

●『トロン:オリジナル』(1982年)


映画史上初めて本格的なCGを導入したSF作品で、現映画監督のティム・バートンがディズニー・スタジオのアニメーターだった時代に制作に携わったとされる。電子の世界に送り込まれてしまった天才的なコンピューター・プログラマーの主人公フリン(ジェフ・ブリッジス)が生死をかけたゲームに挑むことに。ソフトウェアメーカーの総合制御システム、MCP(マスター・コントロール・プログラム)を電子の世界を支配する者とするなど擬人化し、コンピューターの世界を見せる先見の明にうなる。人気は続き、2010年に続編『トロン・レガシー』が制作され、2025年には第3弾の『トロン:アレス(原題)』が劇場公開される予定だ。

●『ブロブ』(1988年)


ハリウッドスターのスティーブ・マックイーンが初主演した『マックイーンの絶対の危機』(1958年)をリメイク。アメリカの田舎町の森の中に隕石が落下。その中には、人間を体内に吸収し、巨大化するアメーバ状の生物“ブロブ”が潜んでいたというストーリー。隕石を見つけたホームレスに始まり、町の人々を次々と襲うブロブの恐怖。ブロブが天井から降ってきたり、排水溝に引きずり込んだり、壁の隙間からじわじわ侵入したり。ドキドキするパニック感と、ブロブの謎、その撃退へと、ちょっとB級感もあるのだけれど、見始めたら最後まで引き付けられる。

(文・神野栄子)

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