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『アイアンクロー』配信開始記念!人気の「A24」が手掛ける“押さえておきたい”名作&怪作選

Rエンタメディア 2024年10月16日 12時0分

プロレス界の伝説にして“呪われた一家”と呼ばれたフォン・エリック家の衝撃の実話を映画化した『アイアンクロー』。元AWAヘビー級チャンピオンのフリッツ・フォン・エリックは、敵レスラーの顔を巨大な手で鷲掴みする必殺技“アイアンクロー(鉄の爪)”を生み出し、一世を風靡した。息子たち全員をレスラーに育て上げて、最強一家となる野望を実現させようとするが、絶頂期に不幸な運命が立ちはだかる…。


『マーサ、あるいはマーシー・メイ』のショーン・ダーキンが監督を務め、『ハイスクール・ミュージカル』『テッド・バンディ』のザック・エフロンら実力派俳優が肉体改造して挑んだ本作は、人間ドラマ(ファミリードラマ)であり、スポーツ映画であり、ゴシックホラーでもある。見るものを引き込む本作は、多くの映画ファンが関心を持っている気鋭のスタジオ「A24」の作品。A24はジャンルに偏りがなく、アーティスティックな映像や時代に即した内容・ストーリーなど、クオリティーの高い作品を世に送り出しており、“あの作品もA24!?”と驚かされることも多い。そこで、押さえておきたい「A24」の名作・怪作をピックアップして紹介する。

まずは、フローレンス・ピュー主演、アリ・アスター監督による『ミッドサマー』(2019年)。両親と妹が心中し、家族を一度に亡くした女子学生のダニー。悲しみに暮れる彼女は、民俗学を研究する恋人や友人たちとスウェーデンの奥地で行われる90年に一度の祝祭を訪れた。太陽が沈まないその村は、美しい花が咲き、人々が陽気に歌い踊る楽園のように見えたが、不穏な空気が漂い始めると、ダニーの心は掻き乱され、悪夢のような体験をすることになっていく…。映像が美しく、その美しさが余計に不気味さを際立たせている。

同じくアリ・アスター監督による『ボーはおそれている』(2023年)も必見。日常の些細なことでも不安になってしまう怖がりの男性ボー。ついさっきまで電話で話していた母親が突然怪死したことを知ったボーは、母のもとへ駆けつけようとアパートを出るが、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。奇妙な出来事が続々と起こり、妄想なのか現実なのか分からくなってしまう。3時間の長尺だが、終始ハラハラさせられっぱなし。そして『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が話題のホアキン・フェニックスの快演にも引き込まれていく。

“名演”ということであれば、『ザ・ホエール』(2022年)も外せない。『小さな命が呼ぶとき』『モンキーボーン』のブレンダン・フレイザーが、体重272kg、余命わずかな孤独な男チャーリーを演じ、疎遠だった娘への無償の愛を紡いでいく。長年押し込めてきたトラウマと向き合い、学校生活と家庭で多くのトラブルを抱えて心が荒んでいた娘とも向き合い、関係修復しようとする姿が見るものの胸を打つ。チャーリーが住む家のリビングルームのみの1シチュエーション作品だからこそ、俳優の演技がこの作品の印象と評価につながっていく。フレイザーは本作で第95回アカデミー賞の主演男優賞を獲得した。

いろんな意味で映画界に革命を起こした作品が『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022年)。経営するコインランドリーの税金問題や父親の介護、反抗期の娘、優しいだけで頼りにならない夫など、トラブルを抱えているエヴリン。ある日、「全宇宙にカオスをもたらす巨大な悪を倒せるのは君だけだ」と“別の宇宙の夫”から世界の命運を託されてしまう…。マルチバース(並行世界)にジャンプしたり、別の宇宙のエヴリンと協力したりしながら世界を守るために戦うというスケールの大きな作品となっている。主演のミシェル・ヨーがアジア人初のアカデミー賞主演女優賞を受賞したのをはじめ、最多7部門で受賞。「A24」史上No.1ヒットとなった本作は、派手なアクションも含めてクセになる作品だ。

「A24」はジャンルに偏りがないと書いたが、ドキュメンタリーでも名作がある。それはエイミー・ワインハウスの生涯を描いた『エイミー/AMY』(2015年)だ。2006年リリースのアルバム『バック・トゥ・ブラック』が世界的ヒットとなり、トップスターの仲間入り。アルコールなどの依存症で、リハビリ施設に入所した体験をもとにした『リハブ』も大ヒット。グラミー賞の最優秀新人賞など5部門を受賞しているスターだが、2011年、27歳の若さでこの世を去った。そんな彼女の波乱の生涯を、貴重なプライベート映像やトニー・ベネットら著名人へのインタビューなどを交えて制作された。知らなかった一面、素顔に迫る内容で、改めて彼女の才能と楽曲の魅力を感じさせてくれる。

他にも『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』『X エックス』など「A24」作品がRakuten TVで多く配信されているのでぜひチェックしてみてもらいたい。

(文・田中隆信)

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