ドラマ『酒飲みな都会の女たち』の主人公は、大都会ソウルで生きる3人のアラサー女子たち。
アン・ソヒ(イ・ソンビン)は、出版社で大失敗をやらかして、ひょんなことからバラエティ番組の放送作家に転職。職場では頼れるキャリアウーマンだが、現実は現場に来ないメイン作家に仕事を丸投げされ、サブのポジションから抜け出せないでいる。ハン・ジヨン(ハン・ソナ)は、スタイル抜群の美人ヨガインストラクター。女手ひとつで育ててくれた母を亡くしてしまったが、鋼のメンタルと度を超えたポジティブさで、空気を読むなんてこととは無縁に生きている。カン・ジグ(チョン・ウンジ)は、陰キャだが情には厚い。高校教師をしていたが、生徒を救えなかったトラウマと毒親の支配から逃れるために家を飛び出し、折り紙の動画配信をしている。大学の“酒豪TOP3”だったという3人は、酒がきっかかけで大親友となる。
アラサー女子のお悩みといえば、恋愛、仕事、人間関係、家族のことなどさまざま。主人公たちも日々これらの壁にぶつかりながらも、どうにか毎日を生きている。彼女たちの悩みや憤りは、女性なら共感してしまうものばかり。三度の飯より酒が好きな彼女たちは、毎日お気に入りの店「五福星」に集まって、酒と美味しい料理に癒され、毒を吐いてエネルギーをチャージする。作中には五福星のタッパル(鶏足の激辛炒め)をはじめ、美味しそうな韓国料理の酒のつまみの数々に、ビールを豪快に噴射させ焼酎と混ぜる「ソメク」なども登場し、韓国のリアルな酒文化を知ることもできる。
飲みっぷりは破天荒だが、心から酒を愛し、酒を楽しみ、友情を育むパワフルな3人を見ていると、「自分にもこんな友だちがいたら……」と思わされるのがこのドラマのポイントだ。仕事や人生に失敗しても、3人で酒を飲んで新しい朝を迎える。そんな清々しさと強固なシスターフッドが、視聴者に癒しを与えてくれる。彼女たちの悩みは簡単なものだけではく、シーズン1ではジグの高校教師時代のトラウマやソヒの父の死、シーズン2ではあるメンバーのガン治療とハードな話題も登場。なんとその治療のために、3人の酒豪たちが2年以上も禁酒するというエピソードも!しかしどんなことがあろうとも、どん底から救い上げてくれるのもまた、酒と親友たちなのだ。
もちろん、恋愛パートもある。ソヒと職場の上司、カン・ブック(チェ・シウォン)プロデューサーの関係だ。ブックは清潔感のないひげもじゃで、下戸。局内では“変わり者”と言われていが、ソヒから見えないところで彼女に尽くしている、なかなかにいい男である。しかしブックとの恋が上手く行きそうになった矢先に、ソヒは愛より友情を選んでブックの前から消えてしまうという大波乱も巻き起こる。ホレっぽいジヨンや、恋に臆病なジグなど、その恋模様もさまざまで、3人の恋の行方も気になる。
主演3人とカン・ブックという4人の主要登場人物を演じたのが、元アイドルと現役アイドル(チョン・ウンジ=Apink、チェ・シウォン=SUPER JUNIOR)というのもおもしろい。作中にはブック役のチェ・シウォンが所属するSUPER JUNIORのリーダー、イトゥクもカメオ出演しているので、SUPER JUNIORファンはお見逃しなく。
基本はコメディだが、女性ならホロっとしたりほっこりしたりと共感度の高い作品。なんとなくむしゃくしゃしているときのイッキ見におススメ!
(文・坂本ゆかり)