宝塚歌劇団100周年時の5組のトップスター、蘭寿とむ、龍真咲、壮一帆、柚希礼音、凰稀かなめ、らが10年の時を経て、そしてその輝きを引き継いだメンバー、北翔海莉、柚香光、夢咲ねね、朝月希和らが、集結する夢のショー『RUNWAY』が上演される。
その中から、蘭寿と壮に話を聞いた。二人は82期生で、1996年の入団後花組に配属。2001年に壮が雪組に組替えするまでの下級生時代をともに切磋琢磨した。2006年に宙組に組替えした蘭寿が、2011年に花組トップスターに就任した当初は、2006年に花組に戻ってきていた壮が2番手として支えた。2012年に壮が雪組トップスターに就任後は、ともに宝塚100周年のトップスターとして活躍した。
前編では関係性が深いふたりならではの楽しい掛け合いや、『RUNWAY』への思いや期待などを語った。
そして、後編では、Rakuten TVで配信している宝塚歌劇団の作品から、おすすめ作品をセレクトしてもらい、それぞれのセレクト理由や思い出を語ってもらった。
(文・写真:岩村美佳)
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――『RUNWAY』情報解禁の際に、「え!?この夢の祭典はどういうこと!?」と驚きまして。
蘭寿・壮:アハハハ!
蘭寿:すごく嬉しいです!
――夢のTCAスペシャルみたいなことですよね。
壮:そう言ってくださると嬉しいですね。
蘭寿:もう、本当にありがたいです!
――こんなことありますか!?というくらいの衝撃だったのですが、お二人はこの企画を聞いて、どんなことを思われましたか?
壮:大変なことになったなと思いましたよ。私は今までOG公演に出演させていただいてきて、ファン時代に観ていた憧れの先輩方とご一緒して、「うわ~!」と喜ぶんですが、今回は「えらいこっちゃ」と思っています。人数も少ないですし。
蘭寿:そうだよね。
壮:「最上級生だ」と思って。こんなゆるゆるの私たちが。
蘭寿:100周年の時のメンバーが集まるの!? と、私自身も最初はびっくりしました。
――ご自身でも驚かれるんですね。
壮:思います!
蘭寿:「10年経って本当に?みんな?」みたいな感じで。このメンバーが揃う機会はなかなかないなと思って、素直に参加したい!って。それが最初でした。
――蘭寿さんは舞台ご出演が久しぶりになりますよね。
蘭寿:かなり久しぶりです。
壮:何年ぶり?
蘭寿:8年近く。
壮:うわ~!
――でも、8年ぶりに出たいと思う力があったということですよね。
蘭寿:結果的に8年ぶりになりましたが、お声がけいただいた時期も含めて、タイミングがすごく良かったんだと思います。
壮:すごい!
――きっと、ご出演の皆さんもファンの皆さんも、驚いていることは一緒だろうと思うのですが、お二人が今この作品に向けて考えていることは何でしょうか?
壮:準備すべきことはたくさんあるのですが、とりあえずそれぞれの今の等身大の自分を、いい感じで表現できたらいいなとは思います。それをお客さまに喜んでもらえるなら、なお嬉しいです。
蘭寿:今回は、男役に戻ってとか、娘役に戻ってとかではないと伺ってちょっと安心しつつですが、曲が鳴ったらすごく戻ったりするかもしれませんね。血が騒いで……。
壮:そうそう、蘭寿さんの腰こんなんだった!って。
蘭寿:そこ(笑)?
壮:みなさんも楽しみにしていらっしゃるよ。
蘭寿:「今のそれぞれが歩んできた道がにじみ出るような」と聞いて、素敵なものが生まれそうだなと感じています。
――お二人は、相手のステージの魅力をどのように感じていらっしゃいますか?
壮:蘭寿さんはもうラテンの方ですから(笑)。
蘭寿:アハハ!ラテンの国から来たみたいな言い方しますね(笑)。
壮:本当にそうだからね。ラテンの曲が流れたら蘭寿さん!みたいな。
蘭寿:血は騒ぎますけど……(苦笑)。
壮:それはみんな騒ぐんですけどね。そこにマッチするかしないかは、また別の話ですから。
蘭寿:そんなイメージ持ってくれてるのね。壮さんはね、やっぱり日本物が多かったかもしれませんが、芝居をがっつりみたいなところがすごく印象的かもしれない。
壮:今回は芝居ないけどね。
蘭寿:今回はね。
壮:でも、表現する上でね。
蘭寿:うんうん、表現としてね。
壮:あとは、それぞれというより、私たち二人のゆるさも楽しんで頂ければと思っています。現役の時から二人の会話になった瞬間、めちゃくちゃゆるくなるんです。多分『ベルサイユのばら』の特別出演の時の二人のインタビューもゆるかったと思います。
蘭寿:いい意味でね。えりたん(壮)は元々テンポがすごくいいから、そのテンポ感が変わるのが新鮮なのかも。
壮:多分、まゆ(蘭寿)の包容力に安心して身を委ねている自分がいるんです。
蘭寿:そうなの(笑)?
――じゃあ、MCも楽しみポイントですか?
壮:だめですよ、私たちにMCを任せたら。
蘭寿・壮:「何しゃべる~?」って(笑)。
壮:でも大丈夫です、仕切ってくれそうな人はいるので。
蘭寿:そこはお任せしてね。
――この中で仕切ってくれるのは誰ですか?
壮:多分、凰稀さん。名指しですけど(笑)。
蘭寿:そうだという話を聞きました。
――じゃあ、そこから委ねて。
蘭寿:委ねます。
壮:私はOGになってから凰稀さんと共演したんですが、振り覚えもめちゃくちゃ早いですし、「壮さん、こうですよ、こうですよ」と言ってくれるんです。
蘭寿:優しい。私も頼りにさせていただきます。
壮:「りか~」ってずっと言っていました(笑)。
――お二人に作品を選んでいただくに当たって、当時のショー作品映像などを観直していたのですが、柚香光さん、朝月希和さんも出ていたりと、いろんな面白さがあるだろうなと思います。お二人にとって、この人とこんなことをしたいとか、楽しみにしていることはありますか?
壮:今お話に出た柚香光くんとかは、こちらの世界で俳優として歩み始めましたよね。その姿を間近で見られるのは楽しみです。『CONGA』でも組んで踊っていたりしていたんですよ。あなたはみつる(華形ひかる)と組んで踊ってたね。
蘭寿:本当だね。れいくん(柚香)は、私の退団公演の時に新人公演で私の役をやってくれたんです。
壮:ああ~! 『ラスト・タイクーン —ハリウッドの帝王、不滅の愛—』だ!
蘭寿:ずっと、もちろん客席からは観ていましたけど、退団してコンサートをしてね。
壮:コンサートの後が『RUNWAY』?
蘭寿:そうそう。
壮:じゃあ、もう現役さんじゃないですか。
蘭寿:むしろ「ゲストをお迎えして〜!」
壮:「ありがとう、今回は来てくれて。まぶしい!」
蘭寿:「ああっ!」
壮:「あら現役さん!」ってなるね。
蘭寿:パワーいただこうっ!
――内容など、希望をリクエストしたり、いろんなお話は進んでいますか?
壮:歌いたい歌とか言った?
蘭寿:どんなのが歌いたいかとかは。
壮:私も歌の希望は言いました。今回演出家が変わりますし、構成的にもどうなるかがまだ分かりませんので、それがどういう風な形になるかですね。
蘭寿:新しいシーンとかもあるみたいですしね。
壮:「RUN-WAY〜♪」とか歌うのかな?
蘭寿:それだったらどうする? あの時歌ってたよねって、まさにそんな曲が出来てくるかもしれない。
壮:どうしよ(笑)!
蘭寿:先取りしちゃった(笑)!
――このビジュアルイメージなので、すごく大人なおしゃれな作品が上がってくるんじゃないかと期待しております。
壮:スチール撮りが眩しかったね。
蘭寿:眩しかったね! 久し振りにキラキラの世界に入った!って。
壮:宝塚を観に行っても、眩しいと思わない!? こんなにきらびやかな世界があるのかと。
蘭寿:圧倒される。
――今ご覧になると、圧倒されるんですね!?
壮:もうただのいちファンですよ。「ああ、もうパレードだ……」ってなっちゃう。
蘭寿:ファンで観ていた時代に戻るような感覚になっちゃうね。
――100周年から10年経って、みなさんが立つ、今おっしゃっていたようなキラキラしたステージを、ファンのみなさんが「わぁ!」というお気持ちで観にいらっしゃると思いますが、ファンの方に対してはどんなお気持ちとか、どんな風に伝えたいとかありますか?
壮:自分のやりたいことと、ファンの方が求める壮一帆はどうなんだろうと、常にそれを考えます。私のファンの方は私が何をしても、「新しい壮さんが見られました、嬉しいです」と言って下さるのですが、果たしてそれが正解なのかどうかというのを自問自答しながら、10年歩み続けて来ました。
蘭寿:へぇ〜!
壮:だから、あまり気負いなく、「今の私はこれです」という風にお見せして、なおかつそこに喜んでいただけるように、努力はもちろんですが、すごく考えますね。
蘭寿:なるほどね……深い!いい話が聞けた。
壮:(蘭寿さんも)あるでしょう。
蘭寿:私はどういう姿になっているか、自分で想像がつかないところがあって。
壮:最強ワード言ったら?
蘭寿:え……?
壮:「何も考えていません」
蘭寿:言ってくれました。これです(笑)。
壮:アハハハハ!。
蘭寿:本当にそうなんです。分からないから、こうしよう、ああしよう、というのも考えていなくて。技術的なところはどうしてもブランクがあるので、追いつかないところもありますし、「あららら?」と思われるかもしれませんが、でも、いろんなことを経ての自分というのは、私自身もステージに立ってみないと分からないので、表現としてはどういうものが出るのか自分でも楽しみつつ、お客さまにも楽しんでもらえたらなと、今は考えています。
――いわゆる女優としていろんな作品に出演して「役になる」というのと、『RUNWAY』のような「ショー」は違いますか?
壮:違いますね。
――恐らく普通の女優さんたちにはできないものですよね。宝塚でショースターという経験があるからできることで。それはすごく唯一無二だと思うんです。そういうところをどう感じていらっしゃいますか?
蘭寿:すごく勇気をくださるね。今ちょっと感動しちゃった……。
壮:100周年の時に横並びで立っていた仲間たちが、宝塚で、それぞれの男役というものを磨いてきて、それが10年経って、俳優だったり、芸事とは違うところで生活してという、それが今回同じ舞台の上で、各々の人生経験として、色が出せるんじゃないかなと思います。再び同じ枠組みの中で立った時に、色を重ねた状態でお見せできたらいいなと思います。
――ありがとうございます。蘭寿さんはいかがでしょうか。
蘭寿:聞き入ってしまいました。正直不安だったんですよ。「大丈夫か、私」みたいなところから始まったので。体を戻すのも、産後ガチガチで、本当に冗談でしょ? というくらい立位体前屈もできなくて(笑)。そこから戻すって、大丈夫なのかなというところから始まっていたので、ちょっとずつ、ちょっとずつ、ピラティスやバレエとかに行ったりして稽古しているんですが、それでも戻り切っていないから。でも、それを不安に思い過ぎても、完全に戻るわけはないので。だから、そこじゃないところで、何か違う表現が生まれるんじゃないかなと、今思いながら過ごしています。
壮:蘭寿さんの魅力って、包容力だと思うんです。
蘭寿:ありがとうございます。
壮:それが現役時代とはまた違った包容力で、お客さまをどう包み込むのか。
蘭寿:フォローしていただいて、ありがとうございます。
――拝見するのを楽しみにしております。
配信詳細
●SPECIAL ENTERTAINMENT STAGE 『RUNWAY』
ライブ配信日時
12月28日(土) 配信開始:16:30 / 開演予定:17:00
12月29日(日) 配信開始:12:30 / 開演予定:13:00(大千穐楽)
視聴チケット販売期間
12月3日(火) 10:00〜各回開演30分後まで
視聴チケット販売価格
視聴チケット:4,500円(税込、手数料別)
公演プログラム付き視聴チケット:7,000円(税込、手数料&送料別)
※見逃し配信はございません。