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チョン・イー×ツォン・シュンシー×シャオ・シュンヤオ、次世代スターが『蓮花楼』で見せる男たちの絆(※ネタバレあり)

Rエンタメディア 2024年12月30日 12時0分

2023年に中国で話題沸騰となった時代劇ドラマ『蓮花楼』がRakuten TVで配信中。武術に長けた人物たちが登場する“武侠”というジャンルの作品で、秀逸な戦いのシーンはもちろん、謎解きの面白さもあるストーリー展開で視聴者を引き付ける。その物語をけん引する3人の男たちに扮した主演のチョン・イー、そしてツォン・シュンシー、シャオ・シュンヤオが体現する熱き男たちの絆がさらに作品を魅力あるものにしている。


『琉璃~めぐり逢う2人、封じられた愛~』(2020年)や『沈香の夢』(2021年)などで人気を獲得してきたチョン・イーは、本作のヒットでトップスターに仲間入りし、“古装男神”(時代劇の神男子)の1人にも数えられるようになった。

チョン・イーが演じるのは、若くして一門を率いて伝説の剣神と称された李相夷(りしょうい)。師兄・単孤刀(ぜんことう)を殺したとされる宿敵との対決で重傷を負い、消息を絶つが、10年後には李蓮花(りれんか)と名前を変え、“蓮花楼”という名の馬に引かせる移動式の医館で各地を転々とするさすらいの医者(実はニセなのだが…)をしているという役どころだ。チョン・イーは、若々しくて活気にあふれた李相夷と、ある事情から毒に侵されて余命数年となった中で、どこかひょうひょうとした雰囲気で生きる李蓮花を丁寧に演じ分けている。

その李蓮花と出会い、一緒に行動するようになる方多病(ほうたへい)を、2014年にアイドルグループの一員としてデビューし、『宮廷衛士の花嫁』(2020年)などで着実に俳優としての力を伸ばしているツォン・シュンシー。そして、『馭鮫記』(2021年)などのシャオ・シュンヤオは、10年前に李相夷と戦った笛飛声(てきひせい)を演じる。

3人それぞれ秘密を抱えているのがポイント。李蓮花は、自分が李相夷であることと余命を隠し、医師としてさすらいながら、師兄の遺体を捜し続けている。限られた人だけしかその正体を知らないのは、毒の治療を経て容貌が変わっているからという理由。

名家の嫡男である方多病が事件捜査をする百川院の刑探に志願したのは、李相夷に対する秘めた思いから。幼いとき、一度だけ李相夷に会ったことがあり“師匠”と憧れていたのだ。また、後には本人も知らない秘密が明らかになる。

李蓮花が李相夷と知らないまま、方多病は道連れのようなかたちで李蓮花と事件捜査に取り組む。そんな中、李相夷との戦いで同じく重傷を負って姿を消し、療養から復活した笛飛声は、李蓮花がかつての宿敵だと見抜くが、ある目的のために一緒に行動する。

最初は相容れない関係の3人。本当の自分に憧れる方多病を李蓮花はフォローして事件を観察眼と推理力でひも解いていく。李蓮花は鍛錬してきた力をわずかしか発揮することができなくなっていて、それを方多病がカバーする。また、方多病は途中から加わった笛飛声をけん制するのだが、笛飛声は彼のことを相手にしない感じも。彼らのやり取りにクスっと笑える場面とともに、次第に絆が生まれていくのが熱い。さまざまな地で起きる事件と、単孤刀に関する最大のミステリーが、その絆をつないでいく。

余命が近づく運命を抱えた李蓮花のはかなさと孤高の気高さ。そして方多病を演じているツォン・シュンシーは“大眼仔(大きな目の男の子)”という愛称があるが、くりっとした瞳の子犬系男子というようなかわいさで、成長を見守る楽しみ。笛飛声は天下一を目指す武芸者らしい野心がありつつも、李蓮花の秘密を知るにつれ、単に悪役で終わらなさそうな無骨なかっこよさがある。

戦い方も李蓮花の華麗さ、方多病のキレ、笛飛声のパワフルさとそれぞれ。三者三様の魅力を物語として調和させるうまさ。女性とのロマンス色も薄めで、謎や秘密、うそと裏切りが渦巻く様子にドキドキしながら、武侠の精神が貫かれた男たちの世界にどっぷりと浸ることができる。

(文・神野栄子)

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