怖いもの知らずのインターンと偏屈な堅物社長のキュートな恋愛模様を描く、タイBL『A Boss and A Babe』(全12話)が、Rakuten TVで配信されている。タイ最大手「GMM TV」が手掛けた今作は、2022年の人気学園BL『Enchanté』で主人公カップルを演じたForceことジーラチャポン・シーサングとBookことカシデット・プルークポンが、再びカップルを演じるということで話題に。『ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance』『Until We Meet Again〜運命の赤い糸〜』『Dear Doctor-死神が愛した医者-』など数々の話題作を世に送り出すStudio Wabi SabiのNewことシワット・サワットマニークンが、BL初心者も安心して見られる一途な恋を演出している。
Bookことカシデット・プルークポンが演じるのは、女子だったら間違いなく天真爛漫と言われたであろうシェール。ゲームとおしゃべりが大好きな彼は、先輩のジャックが勤めるゲーム会社「フェノメナル・ゲーミング社」でインターンをすることになるが、社長にも臆することなく接する、怖いもの知らず。一方、Forceことジーラチャポン・シーサングが演じるのは、その社長のガン。いつも眉間にシワを寄せ、部下への当たりも強め。第1話ではゲーム企画の内容が指示通りではないことが気に食わずに、ジャックを叱る場面も。その際に空気を読まなかったシェールが思ったことをそのまま口にして、社長に呼び出されてしまう。
インターン初日から大失敗かと思われたが、なんとこれが功を奏す。実は不眠症に悩むガンがシェールのASMR動画の視聴者で、彼の声のファンだったのだ。これがきっかけでシェールは毎晩彼と電話をすることになるのだが、ガンの行動は初っ端から思わせぶり。スキンシップは苦手と言いながら、シェールにだけは親密距離と言われる45cm以内まで顔を寄せるなど、ほかの人とは明らかに接し方が異なるのだった。
ガンが偏屈な人間になったのには、理由があった。第2話で明かされるが、彼のゲーム会社にはもともと共同経営者がいた。ホテルグループの御曹司であるガンは資金源で、もう一人、ゲームに詳しいCEOのタイムがいたのだ。ところが信頼する親友でもあった彼とけんか別れしてしまい、それ以来、人間不信になっていた。そんなガンをさらなる事態が襲う。そのタイムがフェノメナル・ゲーミング社で開発を進めていたものと全く同じものを別のゲーム会社から発表したのだ。これには冷静なガンも内心は深く傷付いたはずだ。そんな彼の心をシェールが解きほぐしていく。
続く第3話以降では、シェールの過去も見えてくる。シェールには面倒を見ている弟分がいるのだが、彼は片思いしていた女の子の弟で、その彼女は高校時代にお腹に子供を宿した状態で自殺していたことが明らかになるのだ。それはシェールの子ではなかったが、シェールは否定もせず、一切口を閉ざしていた。何か大きな事情を抱えているのだろうと悟ったガンはシェールの心に寄り添い、これをきっかけに二人は心身ともに接近していくのだった。
互いに負けず嫌いの性格のため、挑発し合いながらもわちゃわちゃする二人は、なんとも微笑ましい。第2話で“挑発キス”をしてからは不用意に顔が接近すると否応なしに意識してしまうなど、たびたびいい雰囲気になるが、ついにカップルになるか?と思うたびにさまざまな障害に邪魔をされてしまう。文字通り、ハラハラドキドキのキュートなラブストーリーだ。
また、「GMM TV」制作作品ということで、BL作品でお馴染みの俳優陣が多数出演しているところも見どころの一つ。『2gether』でサラワットの同級生マンを演じたMikeことシナラット・シリポンシャワリットがジャック先輩を、そしてサラワットの弟が恋する先輩ミルを演じたDrakeことサッタブット・レーディキーがタイムを。『Between Us~縒り合わせる運命~』などシワット・サワットマニークン(NEW)監督作品に多数出演しているSoodyachtことパットシット・プームプーンサワットも、コーヒーショップのバリスタ役でゲスト出演している。ほかにも『Last Twilight』のOhmことティパゴン・ティタターンや、『Wandee Goodday』のThorことティンナパン・タントゥイなど、お馴染みの顔が揃っているのでキャストにも注目を。
(文・及川静)