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巨人とソフトバンク、”金満”対決はどちらに軍配? 年俸総額は圧倒的に……

REAL SPORTS 2020年11月21日 15時10分

プロ野球の「SMBC日本シリーズ2020」が21日から開幕する。セントラル・リーグを制した読売ジャイアンツとパシフィック・リーグ、クライマックスシリーズを勝ち上がった福岡ソフトバンクホークスの顔合わせは、2年連続。巨人は8年ぶり、ソフトバンクは3年連続の日本一を目指す。試合に先立ち、両球団の推定年棒を比較。ともに潤沢な予算を持つクラブであり、時に“金満球団”と揶揄されることもある巨人とソフトバンクの「お金と戦力」を調査した。

(文=REAL SPORTS編集部、写真=Getty Images)

日本シリーズを戦う両軍を年俸で比較

21日から開幕する「SMBC日本シリーズ2020」は2年連続で読売ジャイアンツと福岡ソフトバンクホークスが対決することになった。昨年、佐々木主浩氏(元横浜ベイスターズ)と並ぶプロ野球史上最高年俸の6億5000万円で契約更改した菅野智之、その菅野に続く5億7000万円の柳田悠岐を擁する両球団は、豊富な資金力を背景に各ポジションに複数選手をそろえている。両球団ともに日本シリーズに連続出場を果たしているだけに戦力はさすがの充実ぶり。総年俸でもソフトバンクがここ数年12球団中トップ。年俸総額60億円超、3年連続日本一のソフトバンクに巨人が続くという「お金」にまつわる状況が実際の順位や結果を反映した傾向にある。

本稿では選手の個性や成績ではなく、両球団の年俸に焦点を当てて両雄を比較調査した。
推定年俸の集計方法は以下の通り。

・2019年、2020年それぞれ契約更改した際に所属している球団で集計を行う。
例えば2020年巨人で契約更改を行い、シーズン中に他球団に移籍した場合でも巨人所属選手としてカウントを行う。またシーズン中に他球団から巨人に移籍してきた選手は除外。
・年俸は推定で単位は万円。△は増、▼は減、同額は±。

1億円プレーヤーの多いポジションは?

1986年、ロッテから中日に移籍した落合博満氏が1億円の壁を破ってから34年を経た現在、1億円プレーヤーは珍しい存在ではなくなった。「一流の証しは2億円から」との声もあるが、1軍で試合に出場して球団に貢献した目安として1億円プレーヤーは戦力比較の要素になる。

■推定年俸額が1億円を超えた選手の人数



両球団の比較では、やはりソフトバンクに軍配が上がった。中でも投手陣の充実ぶりに目が行く。4年連続日本シリーズ開幕投手を務める千賀滉大は1億6000万円から3億円へジャンプアップしているが、今季は防御率、勝利、奪三振の投手3冠王を達成しており、さらなる増は間違いない。ムーア(3億円)、和田毅(1億円)、バンデンハーグ(3億円)の先発陣、最優秀中継ぎのモイネロ(1億8000万円)、守護神・森唯斗(4億6000万円)ら9人の1億超え投手は故障に苦しみ引退を示唆したサファテ(5億円)を除いておおむね金額に見合った働きぶり。ここに11勝を挙げた石川柊太(4800万円)、シリーズ欠場が決まっている東浜巨(6700万円)がいるわけだから、単なる金満球団で片付けられないソフトバンクの強さの秘密の一端が投手陣に見られる。

年俸1億超え選手の年齢を見ると、どちらも30代が多い。巨人は高卒5年目にして「巨人の四番」に定着した岡本和真を除く12人が30代。24歳の岡本は12球団中でも最年少の1億円プレーヤーだが、ここ10年はほとんどリーグ争いに絡んでいるソフトバンクに20代の1億円プレーヤーが4人いるのは興味深い。

2019シーズンで飛躍を果たした「期待の星」は?

ソフトバンクの4連勝、「圧勝」で終わった2019年の日本シリーズ。2020年の年俸はこのシーズンの成績を元にしたものだが、日本一奪還を目指す巨人の編成に対する意気込みは年俸にも表れているはず。「昨季との違い」をつくり出すかもしれない年棒増の注目株についてもあげてみたい。

■2019年から1000万円以上年俸が増額した選手

●巨人:12人。
1000万円以上の増額によって年俸金額の桁が変動した選手は7人。
変動した選手は以下の通り。

・岡本和真 2020年推定年俸1億4000万円(△6,000)
・R.デラロサ 2020年推定年俸1億3000万円(△10,000)
・亀井善行 2020年推定年俸1億1000万円(△4,000)
・小林誠司 2020年推定年俸1億円(△4,000)
・高木京介 2020年推定年俸3000万円(△2,500)
・若林晃弘 2020年推定年俸1900万円(△1,020)
・増田大輝 2020年推定年俸1500万円(△1,000)

●ソフトバンク:16人
1000万円以上の増額によって年俸金額の桁が変動した選手は4人。
変動した選手は以下の通り。

・L.モイネロ 2020年推定年俸1億8000万円(△16,000)
・甲斐拓也 2020年推定年俸1億1000万円(△4,500)
・嘉弥真新也 2020年推定年俸1億1000万円(△3,000)
・椎野新 2020年推定年俸2600万円(△1,800)

1000万円以上年俸が増額した選手人数はソフトバンクが多いが、増額したことによって年俸金額の桁が変動した人数は巨人のほうが多い結果となった。巨人が2019シーズンで飛躍を果たした選手が多かった証拠ともいえるが、ソフトバンクの選手は、比較対象となる2019年の年俸金額がそもそも高めなため、桁が変動するまでには至らなかったこともあげられる。

やっぱり年俸総額が結果に反映? 巨人の雪辱なるか

前述のようにソフトバンク、巨人の両球団は他球団を引き離す「年俸総額2強」として球界に君臨している。その数字を反映するように、ソフトバンクが3年連続日本一、巨人はセ・リーグ連覇と、年俸総額ランキングを反映する結果を残している。



2019年の両球団の年俸差は3億7275万円。それが2020年には24億1597万円に広がっている。

2018年オフのソフトバンクは、年俸4億円の摂津正(2018シーズンをもって引退)、3億6000万円の五十嵐亮太(戦力外通告からヤクルトへ。今季引退)、2億円の本多雄一(現在はソフトバンク一軍内野守備走塁コーチ)といった1億円を超える選手がチームから去っている。高額選手が一度に抜けたことなどで日本球界で初めて総額60億円を超えた2018年から一時的に下がったが、2020年は再び大台を突破している。ソフトバンクが巨人を引き離し、2020年も「日本で一番選手にお金をかけている球団」となっているのは間違いない。

実績ある選手と今後更に年俸を上げてきそうな若手をそろえたソフトバンクか、それとも増額で年俸の桁が増えた中堅が奮起した巨人が牙を剥くのか? 日本シリーズの結果は、コロナ禍で査定方法に変化が予想される2020年オフの年俸にも反映される。

<了>








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