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日本シリーズで勝つチームの「条件」とは? ヤクルトかオリックスか、注目すべき3つのポイント

REAL SPORTS 2021年11月19日 18時0分

20日、いよいよ日本一を決する戦いが始まる。オリックス・バファローズと東京ヤクルトスワローズは共に前年最下位からリーグ優勝を果たしてみせた。だが143試合の長期間にわたって勝ち星を積み上げるペナントレースと、短期間で雌雄が決する日本シリーズでは、求められる戦い方は異なってくる。では具体的にどんな要素が大事になるのだろうか? 3つのポイントで見ていきたい。

(文=西尾典文、写真=Getty Images)

近年の傾向から見る「日本シリーズで勝つチームの3条件」

今月20日にいよいよ開幕するプロ野球の日本シリーズ。今年は東京ヤクルトスワローズ、オリックス・バファローズといずれも2年連続で最下位に沈んだチーム同士の対戦となった。過去10年で両チームが日本シリーズに進出したのは2015年のヤクルトだけであり、チームとしてのシリーズ経験の差や相性などの影響もほとんどなく、展開が読みづらい対決ともいえるだろう。では日本シリーズを勝ち抜くためにはどんな要素が重要となるのだろうか。近年の結果から、シリーズを勝ち抜くチームの条件を3個に絞って紹介したいと思う。

日本一の条件①:リリーフ陣の安定。ヤクルトとオリックスの救援防御率は…

過去10年の日本シリーズを振り返ってみると、第7戦まで持ち込まれたのは2度しかないものの、個別の試合では56試合中34試合が3点差以内とやはり接戦になることが多い。阪神タイガースファンのトラウマとなっている2005年の4試合合計で“33対4”のような、どの試合も一方的な展開で押し切るというケースはまずないと考えた方がいいだろう。

また両チームとも当然エースクラスの投手が最低でも2試合は先発してくるため、ロースコアの接戦になることが多いのは必然といえる。そのような展開となったときに重要になってくるのがやはりリリーフ投手だ。

過去10年の日本シリーズで一度も敗れていない福岡ソフトバンクホークスがその最たる例であり、2011年はブライアン・ファルケンボーグ、森福允彦、2014年以降はデニス・サファテ、森唯斗、リバン・モイネロ、五十嵐亮太、岩嵜翔、嘉弥真新也、高橋礼といった強力なブルペン陣が試合終盤の失点を許さなかったということが大きい。

ソフトバンク以外に過去10年で日本一となったチームを見ても、2013年の東北楽天ゴールデンイーグルスだけがリリーフに不安があったが、この時は則本昂大、田中将大のエース格2人がリリーフに回ってその穴を埋めている。後ろにいい投手が控えていると、打線は前半戦に得点しなければという焦りが出るもので、短期決戦では特にその影響が大きいと考えられる。ちなみに両チームのシーズン中の救援防御率を見てみるとヤクルトは3.25、オリックスは3.26と拮抗しており、このデータからも混戦となることが予想できそうだ。

日本一の条件②:外国人選手の爆発的な活躍。過去6年では…

日本シリーズ中には“シリーズ男”と呼ばれる選手が出てくることが多いが、2015年以降の6年間で実に4人の外国人選手(李大浩、ブランドン・レアード、サファテ、ジュリスベル・グラシアル)がMVPに輝いている。2016年の北海道日本ハムファイターズはレアードに加えてリリーフでフル回転したアンソニー・バースも3勝をマーク。また2018年もMVPこそ6連続盗塁阻止を記録した甲斐拓也だったものの、アルフレド・デスパイネが第3戦、第4戦と2試合連続で貴重なホームランを放っており、打線をけん引する役割を見せている。

そんな外国人選手が活躍する背景にある一つの要因が、日本シリーズ優勝によるインセンティブの大きさではないだろうか。メジャーでは日本よりもはるかに多くの出来高項目が契約に含まれており、その金額もかなりのものだといわれている。日本でもシーズン中の成績や活躍によるインセンティブは当然あるが、日本シリーズで優勝した際に球団に入る分配金も多いため、シーズン中よりも多くのボーナスを支給している球団も多い。また来季の契約が不透明な外国人選手の場合は、契約条件アップを勝ち取る最後のアピールの場という意味合いも強いはずだ。

クライマックスシリーズファイナルステージでもヤクルトは初戦でドミンゴ・サンタナが貴重な追加点となるツーランを放ち、オリックスも第3戦でバルガスが見事なリリーフを見せてチームの勝利に大きく貢献している。今年もシリーズMVP級の活躍を見せる外国人選手が出てくるかが、勝敗の大きな分かれ目になる可能性も十分にあるだろう。

日本一の条件③:ロースコアの接戦に求められる“実力通り”の活躍

ここまでリリーフ陣や外国人選手などについて触れたが、最後にものをいうのはやはり中軸を打つ打者の働きではないだろうか。2019年、2020年はソフトバンクが読売ジャイアンツを相手に4連勝と一蹴しているが、この2年間は特にその傾向が強かったといえる。

2019年は3本塁打を放ってMVPに輝いたグラシアル以外にも柳田悠岐、松田宣浩に効果的な一発が飛び出しており、第3戦ではデスパイネも2安打3打点の活躍を見せている。一方の巨人は4戦目でようやく岡本和真に一発が飛び出し、丸佳浩もタイムリーツーベースを放ったが、時すでに遅しという印象だった。

昨年もMVPは栗原陵矢が獲得したが、グラシアル、デスパイネ、柳田、中村晃などがホームランを放っており、一方の巨人は岡本、丸、坂本勇人の3人合わせても4試合で長打は第4戦の坂本のツーベース1本に終わっている。

①でも触れたようにロースコアの接戦となるケースが多く、連打がそれほど期待できないとなると、効果的なのはやはりホームランと長打である。それが高い確率で期待できる選手がいかに実力通りの長打力を発揮できるかというのはシリーズの行方を左右する上で極めて重要なポイントとなるだろう。

ヤクルトには山田哲人と村上宗隆、オリックスには吉田正尚と杉本裕太郎という不動の中心打者をそろえている点も共通しているが、彼らがいかに機能するかというのが大きな注目ポイントであることは間違いない。当然両チームとも2人の対策には多くの時間を割いていることが予想されるが、それを上回る打撃を見せることができるのは誰なのか。第1戦の第1打席からぜひ注目してもらいたい。

<了>









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