カーリング日本代表の藤澤五月選手が、7月に開催されたボディメイクコンテストでイメージを覆す肉体美を披露し、ボディメイクへの注目が高まっている。様々なフィットネス団体がコンテストを開催しているが、多様なカテゴリーがあり、年齢を問わず、何歳でも挑戦できる。藤澤選手の食事管理とトレーニングをサポートしたマムシ〇口子(まむしまるくちこ)さんに、ボディメイクの始め方と、美しい筋肉の見せ方を語ってもらった。
(インタビュー・構成=松原渓、写真提供=FWJ)
何歳からでも始められるボディメイク――ボディメイクの大会は、若い人から、上は70代、80代の方も出場して肉体美を披露していますよね。ボディメイクは、何歳からでも始められるんですか?
マムシ〇:そうですね。何歳になっても筋肉はつきますし、40歳以上や50歳以上のクラスなど、様々なカテゴリーがあります。ただ、年齢を重ねてから始める場合は、それまでの運動歴の有無が影響します。例えば、ずっとインドアで運動をしていなかった方が50歳になって「いきなり大会に出ます」となると時間がかかると思いますが、それまでの間に何か運動をやられていた方なら基盤があるので、そういう方たちが幅広くできるような受け皿はあります。
――藤澤五月さんが、「Fitness World Japan」(FWJ)が主催するコンテストのビキニ部門に出場して、ビキニクラスのノービスで3位、オープンで2位の好成績を残したことで「ボディメイクをやってみたい」という人もいると思うのですが、始めるのにはどのぐらいの初期投資が必要なのでしょうか?
マムシ〇:最近は、スポーツブラとレギンスのような、普段のスポーツウェアのような格好でも出られるビギナー向けのコンテストもありますし、筋肉量も割と始めたてから参加できるカテゴリーも増えています。そういう大会を目指す場合はそこまでお金はかからないですし、気軽に始められます。ただ、間違ったトレーニングをしていると体は作れないので、パーソナルトレーニングに通ったり、自宅の体重計を正確に計測できる機能のあるものにしたり、それに応じて計測機能付きの腕時計を購入したり、目的によっていろいろと必要なものが出てきます。ビキニクラスに関しては、衣装のビキニや肌のカラーリング用のスプレーを購入して、肌を焼いて、髪型やメイクまでトータルの美を追求する競技なので、費用をかければかけるだけ成績は良くなることもあって、それなりに投資しないといけない部分もありますね。
――選択肢が多く、始めやすいのはいいですね。マムシ〇さんは、コンテストの審査ポイントになるポージングやウォーキングも、普段からトレーニングしているんですか?
マムシ〇:そうですね。始めた頃はしっかり時間をとってトレーニングしていましたが、最近はある程度慣れてきて、自宅の空き時間とか、ジムに行った合間などに確認する感じで。トレーニングや食事管理と同じように、ポージング練習も日常の一部になっています。
美しい体を作るために一番大事なのは「食事」――美しい筋肉を作るために、食事とトレーニングのバランスはどんなことを意識したらいいのでしょうか?
マムシ〇:一番大切なことは、体にいいものを食べることだと思います。化学物質が多く入っているものは良くないですし、揚げ物はトランス脂肪酸が含まれていて、プラスチックと同じぐらいの害があるとも言われています。そういうものが多く含まれているお菓子や揚げ物、ファーストフードなどはできるだけ食べないように心がけて体作りをしていくのがいいと思います。
――マムシ〇さんは、ボディメイクを始める上で食事についてはどのように勉強されたのですか?
マムシ〇:ちょうど私が大会に出始めた時ぐらいに、ボディメイクのトレーナーとして、本格的にお仕事をしていきたいなと思っていたので、栄養や食事に関する本を読んだり、講習を受けて勉強したり、いろいろなことを実践して、独学で学びました。
それをYouTubeなどで発信しているうちに、見てくださった方から連絡をいただけるようになりました。
――筋肉を増やしたり、体を絞る上でも食べるものが重要だと思いますが、制限も多くて大変そうですね。
マムシ〇:そうですね。大会前は結構しっかり制限しますが、「バルクアップ期」と言われる増量期には、好きなものを食べています。もちろん、ある程度体にいいものを考えて食べていますけどね。私の場合、糖質が体質的に合わないので、絞る時は糖質には特に気をつけています。
――食事は基本的に一日3回ですか?
マムシ〇:人それぞれですけど、私は増量期は3回プラス間食をする時もあります。
――食べ方で気をつけたほうがいいことはありますか?
マムシ〇:気をつけているのは、糖質と脂質を同時に取らないことです。糖と脂が合わさっている食べ物が一番太りやすいんですよ。わかりやすく言うと、ポテトチップスとか、ピザとか。カルビを乗せたご飯とか、ラーメンとかもそうです。糖質に油がかかっている食べ物は、高カロリーで血糖値も上がるので、パーソナルトレーニングでは、増量期でも減量期でも「糖を取るんだったら脂質は抑えましょう」「脂質をしっかり食べるんだったら、お米はやめときましょう」と伝えています。それは、アスリートだけでなく、一般の方でも気をつけやすいことだと思います。食べているものを見直して、太りやすい食習慣を変えるだけで体はかなり変わると思いますよ。
――プロテインとかサプリも活用される方が多いですが、マムシ〇さんは何種類ぐらいを使っているんですか?
マムシ〇:サプリメントを使っている方も多いですが、私の場合はいろいろと試した中で、体感として良さそうなものを3種類だけ残しました。今、飲んでいるのは、トレーニング時の筋肉増強や瞬発力を高める作用があるクレアチンと、筋肉や細胞の活動を正常に保つ効果があるカリウムと、肝臓の働きを助けるシリマリンという3種類のサプリを飲んでいます。
メインは食事と運動で筋肉を作って、食事で補えない部分をサプリメントで補っているイメージですね。クレアチンとかシリマリンは、食事で補いづらいイメージがあるので。そのように、自分に合ったものを見つけるのがいいと思います。
体のラインを美しく見せるために必要な筋肉とは?――普段あまり運動をしていない方でも、体のラインが美しく見えるように鍛えておいたほうがいい筋肉や、日頃から意識しておくといい習慣などはありますか?
マムシ〇:ご年配の方で、これからボディメイクのトレーニングを始めてみたいという方でしたら、まずは足のトレーニングから始めるのがおすすめです。健康面でも、足腰はすごく大事な部分ですから。あと、女性が体のラインを美しく見せるためには、お尻と、デコルテラインを美しく見せる胸筋を鍛えておくといいですね。
肩はちょっと特殊で、まんまるではない、華奢な二の腕というのも一つの美の表現にはなるので、好みによると思います。海外のドレスで、肩紐のない胸元がまっすぐなラインのデザインがあるじゃないですか。そういうドレスを着た時には、胸骨や鎖骨のラインがきれいに出ていると美しく見えます。あと、お尻がしっかり上がっているヒップの女性はやっぱり魅力的に映りますよね。
――ボディメイクコンテスト出場している女性たちの体型を見ると、外国人のように筋肉質で適度にお尻が大きく、足が長く見えるスタイルの方も多いですよね。筋肉を形作るためのトレーニングメニューは、元々の体型によって変わるのでしょうか?
マムシ〇:トレーニング内容はある程度は共通しているんですが、例えば細くスラっとしたマラソン選手みたいな感じになりたいんだったら、軽重量で持久系の筋力トレーニングが効果的ですし、ビキニ選手とか筋トレ女子みたいに、太ももがしっかりして海外の女性のようにお尻がぷりんと上がっている感じの筋肉を作りたい場合は、高重量で瞬発系と言われるトレーニングをして、筋肉を作っていきます。
――そのトレーニングや健康的な食事の積み重ねで、藤澤選手のような体も目指せるんですね。最後に、マムシ〇さんの今後の目標を教えてください。
マムシ〇:今は藤澤さんに負けないように頑張ることが一つのモチベーションになっています。大会を目指してトレーニングに取り組む藤澤さんと接する中で、彼女から見たら私の筋肉の質感がよく見えるところもあったようですけど、私自身は彼女のトレーニングへの取り組み方とか人間的な内面を知る中で、「ああいう人になりたいな」と憧れる部分がありました。これからもボディメイクコンテストで個人的に成績を残したいですし、その目標に向かって、私も藤澤さんに日々負けないように頑張っていこうと思っています。
<了>
[PROFILE]
マムシ〇口子(まむしまるくちこ)
1988年生まれ、東京都出身。絵本読み聞かせアーティストとして活動する傍ら、2020年にボディメイクを始め、現在は食事指導(オンライン)、ダイエットサポート、ビキニフィットネス、対面のパーソナルサポートなどを行う。今年4月にカーリング日本代表の藤澤五月さんから連絡を受け、減量とボディメイクをサポート。7月に国内最大級のアマチュアフィットネス団体「Fitness World Japan」(FWJ)が主催するボディメイクコンテスト「MOLA CUP」に出場し、ビキニクラスのノービスで3位、オープンで2位の好成績につなげた。