災害救助やテロ対策、大規模警備を主な任務とする警察の「機動隊」。
福岡県警では、今年春に初めて女性隊員が入隊しました。
新入隊隊員を待ち受ける日々の訓練がどれほど厳しいものなのか女性記者が体験取材しました。
”地震発生124時間後”奇跡の救出劇で脚光福岡県警・機動隊
福岡市東区に拠点を置く福岡県警第1機動隊。
テロ対策のほか、サミットやオリンピックなどの大規模警備、豪雨や地震などの災害時の救助活動が主な任務です。
今年1月に発生した能登半島地震の被災地にも派遣され発生から124時間後に倒壊した住宅から90代の女性を救出。
奇跡の救出劇でした。
福岡県警の機動隊に初の女性隊員が入隊女性副隊長も誕生
福岡県警の機動隊は、これまで男性隊員のみで構成されていましたが、今年の春、初めて約10人(詳細人数は非公表)の女性隊員が入隊。
副隊長には中村典子警視が就任しました。
福岡県警第1機動隊・中村典子副隊長「さまざまな視点からですね、現場を見て気づきがあれば、そこに手を差し伸べることが広くできるようにはなると思いますので、その点では初めて女性が機動隊に配置になったということは良かったのではないかと思います」
訓練に男女差は?女性記者が「逮捕術」訓練を体験
県民の安心・安全を守るため、日々厳しい訓練にいそしむ隊員たち。
その訓練とはどのようなものなのか、また、男女差はあるのか、入社2年目の奥田千里記者(24)が「体験入隊」しました。
奥田記者が最初に体験したのは、空手や柔道・剣道などを組み合わせた「逮捕術」の訓練です。
相手の隙をつき、制圧することを目指す2分間の「乱取り稽古」に挑戦しました。投げ飛ばされる奥田記者。
攻撃も試みますが、隊員の技に圧倒され、全く歯が立ちません。
奥田千里記者「(機動隊員は)速いし隙が無いから、攻撃しても払われちゃってお話にならない。きつい」
ロープを上る高所救助訓練にも挑戦
高い所に取り残された人を救助することを想定したロープを上る訓練にも挑戦しますが、恐怖で全く上ることができません。
アドバイスする機動隊員「次は左手と右足をもう一回上に。もうつられている状態なので。右手はこのロープだけで大丈夫です」
隊員からコツを教えてもらい、苦しみながらもなんとか上ることができました。
女性記者の体験入隊最後の難関「警備訓練」
最後に待ち受けていたのが、「警備訓練」です。
6キロほどの装備をつけたまま腕立て伏せなどの筋力トレーニングをしたうえで、自身の身を守るためのおよそ8キロの盾を扱います。
さらに、装備と盾を身に着けたまま、全員でランニングをして約7時間の訓練は終了。
記者にとっては過酷な体験入隊となりました。
奥田千里記者「きつかった…。これを毎日やられているのはすごいなと思いますね。日々の訓練とかのおかげで、私たちの安心・安全を守ってくださっているんだなと改めて実感しました」
福岡県警の機動隊訓練や装備に男女差無し
機動隊には、水中での救助にあたる「スクーバ小隊」や、細菌や化学物質を用いたテロに対応する部隊もあり所属する隊員は専門的な訓練も重ねています。
今回、記者が体験した訓練は、普段、機動隊員が行っている訓練のほんの一部です。
非常に過酷な訓練ですが、男性と女性で訓練や装備に差はないといいます。
福岡県警第1機動隊・中村典子副隊長「(記者の体験は日頃の訓練の)1割か2割。2割程度くらいだったと思う。基本的に体力とか体格も違いますので、そういったところで、重い盾を持っていただいたんですけど、あれも同じようなものを使いますんでね、その部分で苦労はしていて、ひとりひとり努力はしているところであります。」
いつ起こるか分からない災害やテロ。
どんな時でも迅速に対応できるよう、第1機動隊は日々厳しい訓練に取り組み備えています。
福岡県警第1機動隊・中村典子副隊長「厳しい訓練なんですけども、現場の状況は非常に厳しい場合が多いので、そこに耐えうる、体力面もそうなんですけど、精神力も付けていただいて、災害現場でしたら1人でも多くの県民の皆さん、国民の皆さんを救助できるそして守っていけるような強い最強の警察官に育っていただければと思っています」