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【博多駅前女性刺殺事件】寺内進被告(32)に懲役20年 福岡地裁が判決「計画性はなく衝動的に殺害」 元交際相手に対する”つきまとい”認定も”待ち伏せ”は認めず

RKB毎日放送 2024年6月28日 15時21分

去年1月、博多駅前の路上で元交際相手の女性につきまとったうえ包丁で刺して殺害したとして、殺人などの罪に問われた男の裁判員裁判。福岡地裁は男に懲役20年の判決を言い渡しました。検察が主張した「計画性」を認めず、「衝動的に殺害した」としています。

◆元交際相手の女性を刺殺

判決を受けたのは元飲食店従業員の寺内進被告(32)です。

判決によりますと、寺内被告は去年1月、福岡市の博多駅前の路上で元交際相手の川野美樹さん(当時38)を、胸や頭など包丁で複数回突き刺し殺害しました。

きょうの判決で、福岡地裁の冨田敦史裁判長は、寺内被告に懲役20年を言い渡しました。(別の傷害事件も含む量刑)

寺内被告が否認していた川野さんに対するつきまとい行為は認めたものの、「待ち伏せ」行為については、「合理的な疑いが残る」として認めませんでした。

判決は、「被告が立ち止まっていた場所は川野さんの会社が入っているビルの人の出入りを確認できる位置関係にない」とした上で、「長時間立ち止まっていたわけではなく、3分間と比較的短い時間立ち止まっていただけ。間違いなく待ち伏せしていたと言えるかについては疑問が残る」とし「計画性はなく衝動的に殺害した」としています。

判決後、冨田敦史裁判長は、「あなたの反省の言葉は表面的なものでした。自分がどうしてこの犯罪を犯したかについて十分考えが至っているとは思えませんでした。これから生涯をかけてこの事件に向き合い被害者に償いをしていってください」と寺内被告を諭しました。

◆寺内被告「控訴しない」

白いTシャツにマスクを着用して入廷した寺内被告。まっすぐに前を見て裁判長の判決言い渡しを聞いていました。

弁護人によると、判決後、寺内被告は弁護人に対し「被害者や遺族に申し訳ない。(判決については)自分のやったことに対して当然のことだと受け止めている。服役する中で被害者に対して深く反省しながら被害者への冥福を祈り続けたい」などと話していて、控訴しない方針だということです。

◆これまでの裁判 双方の主張と証言

6月17日から始まった裁判員裁判で、検察側は、寺内被告がストーカー規制法に基づく「禁止命令」を受けていたにも関わらず、川野美樹さんを待ち伏せしてつきまとった上、包丁で突き刺して殺害したなどと主張。

「強固な殺意に基づく残忍極まりない犯行」などとして、寺内被告に懲役30年を求刑していました。

一方、寺内被告は、「刺したことは間違いないが待ち伏せしたことは違う」と起訴内容を一部否認。

弁護側は「包丁は護身用のもので待ち伏せしたという事実はない」「様々な偶然が重なった計画的でない突発的な殺人」として懲役17年が相当と主張していました。

公判ではこのほか、検察側の証人として事件を目撃した女性が出廷。「女性の『やめて、嫌』という声を聞いた。男は刃物を淡々と振り下ろす感じで『ふざけんなこのやろう』と繰り返していた」などと証言しました。

弁護側の証人として出廷した臨床心理士は、心理鑑定の結果、寺内被告はストレス耐性が低く「父親から受けた虐待による重度のPTSDが影響している可能性がある」などと証言しました。

寺内進被告は、最終陳述で次のように述べていました。

寺内進被告「大事な娘さんの命を奪ってしまって申し訳ございません。毎日毎日後悔しております。すべてにおいて僕が悪いと思っております」

冨田敦史裁判長:Q以上でいいですか?

寺内進被告「ほんまに待ち伏せなどしておりません」

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