忙しい中小企業の経営者にかわり「人工知能＝AIが従業員の質問に答え相談にのる」そんなサービスが始まっている。
福岡市の老舗もつ鍋店では、社長が自分の分身である「AI社長」を導入した。
「元祖もつ鍋楽天地」
創業48年の老舗飲食店「元祖もつ鍋楽天地」。
福岡市内で12店舗を展開している。
2代目の社長である水谷崇さん（53）は今年5月、自身の分身ともいえる「AI社長」を導入した。
通信アプリを使って社長に代わり従業員の質問に答えるシステムで、学習データをもとにテキストを作る生成AIを活用している。
「元祖もつ鍋楽天地」 水谷崇 社長
「どっちかというともつ鍋って伝統産業、変わらないためには常に変わり続けたい。何か進歩した部分があったらまずはやってみたい」
レモンサワーの作り方 AI社長が回答すると
「AI社長」の精度を高めるため水谷社長は、自分ならこう答えるという模範解答も入力しシステムに学習させている。
例えば、レモンサワーの作り方を質問するとこんな返事が返ってきた。
AI社長
「レモンサワーの作り方についてはこうやって作るとよかよ」
水谷社長本人と同じくAI社長も博多弁だ。
さらに企業の理念を従業員に理解してもらうためAI社長からの質問も送られてくる。
AI社長
「お疲れさま！何しよーと？今日も元気にしてくれてたら嬉しいばい！さて、楽天地での勤務についての意識する点については大丈夫とよ？」
従業員が回答を送ると返事も返ってきた。
AI社長
「それは素晴らしい考えやね・・・」
開発したベンチャー企業 きっかけは経営者の声
この「AI社長」は福岡出身の西山朝子さんが社長を務めるベンチャー企業が開発した。
西山さんは、中小企業の社長から「自分が5人いたらもっと儲かるのに」という声を聞き開発に取り組んだという。
THA 西山朝子 社長
「ある意味理想の自分なんですよねAI社長って。その理想の自分と今の自分、ちょっと上手くいかない自分で対話をしながら思考を整理して経営を進めるってこともできるので、伴走者になるようなサービスかなって思います」
新入社員の相談もAI社長に
今年4月にもつ鍋楽天地に入社した藤田涼雅さんは、AI社長に、自分が焦っている時のアルバイト従業員への指導について聞いたという。
楽天地 福岡天神総本店 藤田涼雅さん
「やっぱり指導するときの言い方とかがちょっときつくなっちゃたりとか」
AI社長からの返事は。
ＡＩ社長
「深呼吸。落ち着いて深呼吸を数回繰り返すだけで、心が少し落ち着くばい。」
楽天地 福岡天神総本店 藤田涼雅さん
「すごいためになることがありました。
『まずお客様第一やけん、お客様が求めるサービスや満足度を最優先することとが大切や』って。
やっぱり社長と直接対面して話す機会がないので、やっぱり社長が言いそうなだなって、自分でも使っていて思います」
「AI社長、私よりいいかも」
導入から3か月、従業員の反応は上々のようだ。24時間、従業員からの質問に答えてくれるAI社長。
水谷社長は今後社員だけでなくアルバイト従業員にも利用してもらおうと考えている。
「元祖もつ鍋楽天地」 水谷崇 社長
「AI社長は、だいぶ賢くなってきてますね。私よりもしかしたら良いかもしれません。いや本当にその可能性が出てくると思うんですよ」
企業の理念を浸透させることにも役立つというAI社長。
忙しい社長を助ける新たなツールとなるかもしれない。