自民党総裁選への出馬が取りざたされている石破元幹事長。
福岡市で4日に行った講演で「新しい資本主義って未だによく分かりません」「情報の改ざんとか捏造とか持ってのほか」などと発言し、安倍政権以降の執行部の政策や対応に疑問を投げかけた。
総裁選出馬は明言しなかったが、その真意とは?
「いの一番に石破さんを推薦する」
自民党 山崎拓 元副総裁
「現在の世界情勢、東アジアの安保情勢からいたしまして、防衛政策を極めた方が総理になるべきであると考えますのでふさわしい総理候補としては、いの一番に石破さんを推薦する次第でございます」
9月の自民党総裁選に向け、こう宣言した山崎拓元副総裁。福岡市で4日に開いたフォーラムに石破茂元幹事長を招いた際の発言だ。
山崎氏は、今年5月に小泉政権を支えたメンバーと会合した際、記者に「総理になるためには才能と、それから努力と運が必要だということを小泉さんが何回も石破さんを諭すように指導された」と発言していたことを明らかにしていた。
石破氏の1時間に及ぶ講演が終わったタイミングを見計って、山崎氏の事務所スタッフから報道陣に1枚の紙が配られた。
タイトルは「石破茂を推す理由」。
首脳の外交力に必要なものとして、「優れた頭脳」「豊かな政治経験に裏打ちされた胆力」「相手を圧倒するオーラ(胆力)」が挙げられていた。
石破氏は「頭脳と胆力は備わっている」と記されていた。
石破氏「自民党員と有権者が自民党を信じていない」
2021年には野党候補の応援演説に立ち、党員資格停止1年の処分を受けた山崎氏。政治的な「同志」と語る石破氏とは、現在の自民党主流派と距離がある点で同じだ。
石破氏は4日の講演で、「自民党員が有権者が自民党を信じていない」と指摘。「もう一度我々襟を正して、お詫びすべき点はお詫びをして」いくことが必要だと強調した。
岸田総理の経済政策に対しては、「新しい資本主義って何だったんだろうということが未だによく分かりません」と指摘。さらに、安倍元総理の森友学園問題を念頭に置いたとみられる発言もあった。
石破茂 元幹事長
「民主主義がちゃんと機能するためには、政府が、あるいは権力が嘘をついてはなりません。でたらめを言ってはなりません。情報の改ざんとか捏造とかもってのほか」
出馬は明言しないものの意欲は・・・
石破氏は、総裁選出馬について「決意を周囲に伝えたこともなければ申し上げたこともない」と強調した。
現在、都知事選と都議補選が行われていることに触れ、「同志が本当に命がけで戦ってるときに、自分が自分がみたいなお話を私はいたしません」と話した。
その一方で、「衆参両院の国会議員でないと総理大臣にはなれない。有資格者である国会議員は出る出ないは別として自分が総理なりせばどうするんだいと常に考えておらねばならないことだと思う」とも発言。出馬への意欲をにじませた。
総裁選に影響?福岡の政治家は
その石破氏と、菅前総理とともに7月1日夜に会っていたのが福岡11区選出の武田良太元総務大臣だ。武田氏は6月、菅前総理が主催する萩生田前政調会長と加藤前厚生労働大臣、武田氏の頭文字をとった「HKT会合」に参加するなど存在感を増している。
武田氏と不仲として知られる福岡8区選出の麻生副総裁。唯一派閥を存続させ影響力を保持し、総裁選のキーマンとされている。
麻生派に所属し総裁選への出馬が取りざたされている河野太郎デジタル大臣と6月26日会食したほか、岸田総理とは6月、2週連続で会談している。
麻生氏とともに岸田政権を支えてきた茂木幹事長も総裁選に意欲を見せているが、麻生氏に近いある自民党の関係者は「麻生副総裁は総裁選でどうするか迷っているようだ」と話す。
福岡の地方選では連敗している自民党 総裁選は?
自民党をめぐっては、福岡県内での市長選挙で敗北が続いている。
筑紫野市長選挙(2023年1月)、北九州市長選挙(2023年2月)、田川市長選挙(2023年4月)、うきは市長選挙(2024年6月)と、自民党福岡県連が推した候補が相次いで敗れた。
福岡の自民党員やこれまでの支持者からは「今の自民党はおかしい」との声も聞こえてくる。
9月に行われる総裁選で、党員人気が高い石破氏がそうした批判票を集めるのか、あるいは今の路線が継続されるのか、それとも別の候補が出てくるのか。
この夏、駆け引きはより激しくなっていくだろう。
そこに福岡県選出の議員がどう絡んでいくのか。福岡からもその動きをしっかりウォッチしていきたい。
RK毎日放送 記者 今林隆史