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うつ伏せ状態の姉の首を後ろから絞めたか 解剖医が法廷で証言 水巻町強盗殺人事件

RKB毎日放送 2024年7月8日 19時32分

知人の女と共謀して姉を殺害し、通帳などを奪ったとされるホームレスの女(52)の裁判員裁判は、8日、2日目を迎えた。

遺体の解剖を担当した医師が証言台に立ち、考えられる犯行の状況を淡々と説明した。

これまで1600件の解剖を担当した医師が法廷で証言

8日午前10時、福岡地裁小倉支部の法廷には、住居不定・無職の辻和美被告(52)が入ってきた。

5日の初公判と同じく、白髪交じりの髪を後ろでひとつに束ね、上下黒のジャージ姿だった。

起訴状などによると、辻和美被告(52)は去年6月2日、知人の岡村恵美被告(47)と共謀して、福岡県水巻町に住む姉の辻つぐみさん(当時52)の首を圧迫して殺害し、通帳3冊と印鑑を奪った強盗殺人などの罪に問われている。

公判2日目となった8日は、産業医科大学法医学教室の佐藤寛晃教授が証言台に立った。

これまで担当した解剖は1600件、50件ほどの裁判で証言をしてきたという。

つぐみさんの遺体を解剖し、和美被告の体に残った傷を検査した佐藤教授は、淡々とその結果を語った。

うつ伏せの状態で後ろから「3分」首をしめたか

153センチと小柄なつぐみさんには、全身に多くの傷があった。

特に首の前面には、帯状の皮下出血があり、顔は血液がたまり赤く変色していて、軟骨は骨折していた。

つぐみさんの死亡原因は、「首の圧迫に基づく窒息」と診断された。

残された傷から明らかになったのは犯行の状況だ。

首を絞められて抵抗するときにできる傷がなく、後頭部に圧迫された痕があることから、つぐみさんは、うつ伏せの状態で足などで頭を押さえつけられたまま後ろから首を絞められたと考えられるという。

そして、その首を絞められた時間は「3分に近い時間と考えられる」と述べた。

和美被告の右膝には、6月2日ごろにできたと見られる皮下出血の痕があった。

医師「死亡後に手足を縛った」 凶器は特定できず

もう一つ明らかになったのは、犯行の順番だ。

つぐみさんは両手首と両足首が結束バンドで縛られた状態で発見された。

手先や足先にうっ血がないことなどから、死亡する直前もしくは亡くなった後に手足を縛られたと断言した。

弁護側は冒頭陳述で、「被害者がうずくまっていたので財物を奪う気になって結束した」「首を圧迫する行為をしていない」と述べ、殺害について否認している。

一方、凶器については断定されなかった。

現場に落ちていた半分ほどがねじられたポリ袋の写真を見て、検察から「凶器と考えられるか」と問われたところ、「はい」と答えた。

一方、弁護側から「ポリ袋以外で締められた可能性はあるか」と問われると、こちらにも「はい」と答え、凶器を断定できない考えを示した。

8日は辻被告に発言の機会はなかった。

時折咳き込んだり、手で目をこすったりしていた。

9日も午前10時から別の証人が証言台に立つ予定だ。

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