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博多祇園山笠若手離れ懸念の中、同級生5人が同時に赤手拭に~小学生の時の夢が実現~

RKB毎日放送 2024年7月12日 18時56分

博多祇園山笠は7月12日、追い山笠馴らしが行われ、いよいよ山笠ムードが高まってきました。各流で若手を統率し、実際に山笠を動かすのが赤手拭と書いて「あかてのごい」と呼ばれる男達です。
若手の山笠離れが懸念される中、今年は若い5人の同級生が同時に赤手拭を任され小学校の時の夢が実現しました。

12日は追い山笠のリハーサルにあたる追い山笠馴らし

12日行われた追い山笠馴らし。本番の追い山笠のリハーサルにあたるだけに山笠を舁く男達の表情も引き締まります。その中でひときわ緊張した面持ちだったのが、男達をとりまとめる赤手拭です。

山笠を担ぐのはもちろん、担ぎを交代する人に声をかけたり、沿道の人に注意を呼びかけたりもします。

赤手拭は小学校の時からの憧れ

10日の夜、中洲流の山小屋で飾り山笠を前に話す男たちがいました。博多小学校・中学校の同級生5人組です。小学生の頃から山笠に参加してきた5人には、ずっと憧れていたものがありました。

西村笙さん
「子供山笠で6年生だったからつけることができた赤手拭なので、大人になって本当の赤手拭を5人でつけて未来の山笠に繋げれられるような人材になっていこうと話をしていました」

今年5人は、ついに念願が叶って赤手拭を任されます。

河野託巳さん
「本当に手拭いを受け取った時に実感しました。5人で1つじゃないですけど、1人のミスは5人のミス、協力してやっていこうと」

息子は赤手拭、父親は総務~中洲流を父子で支える~

4人を山笠に誘い、リーダー的な役割を果たしてきたのは西村笙さんです。

西村笙さん
「0歳の時に父に担がれて出てましたね、生まれて生後2か月で山笠でました。何も知らんうちにオイサオイサしてましたね」

幼い頃から父親と一緒に山笠に参加してきた西村さんは東京の大学で4年間を過ごし、そのまま東京で就職することも選択肢でした。しかし今年、卒業にあわせて福岡に戻ってきました。

西村笙さん
「5人でずっとガキの頃からやってきて、1人も欠けずにここまできたんですよね、4人がいたから自分が福岡に帰ってこれたというのはあります」

父親の西村守也さん
「嬉しさ半分、まぁやはり就職ですからね。福岡に戻ってきたということは、また山笠をやるんだろうと思いましたけど」

西村さんの父、守也さんは今年、中洲流の総務を務めます。総務はいわば流の最高責任者。赤手拭よりもさらに重い役目です。

父親の西村守也さん
「(総務として)息子としてではなく若手として扱わないかんというのがあるんでですね、山笠の中に入ればいち若手になるんで」

初めて知る赤手拭の重み

初めて赤手拭として臨む今年の山笠。沿道で、中心となって山笠を動かしたと思えば、片付けも率先して行います。

みんなが一息つくなおらいでも、飲み物を運んだりと休む暇もありません。

西村笙さん
「責任感もあるし、バタバタする中で、自分がどれだけ成長できるか、気が配れるかそれが山笠だなと」

白石慶太さん
「バタバタしながらついていきながら声出して頑張っている感じです」

赤手拭の先輩からはこんな声をかけられました。
「お前たちが『楽しかった祇園山笠』と言ってた時代は終わりたい。俺たちはずっとこんな準備してお前たちに山笠をさせよったったい。痛感しなさい」
白石慶太さん
「痛感しました」

伝統を未来につなぐ若者達

同級生5人が同時に赤手拭になった一方で、同世代の若者の間では山笠離れも起きてます。

河野託巳さん
「大学卒業して県外へ出る人、仕事とか。高校卒業して出てる人とか。年々同級生の参加率も悪くなっているのが現状です。」

野口耀司さん
「自分たちが出続けることが大事かなと、自分たちの同級生もおじさんになったときに集まれたらいいかなと」

12日の追い山笠馴らしでも、中洲流は西村さんたち赤手拭の活躍もあって勇壮に街を駆け抜けました。

西村笙さん
「いよいよ山笠始まって、自分らでやっていくしかないなという気持ちですね」
「若い力の5人でやっていきたいですね」

伝統を未来へ。若者たちの熱い想いは15日の追い山笠に向かっています。

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