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博多祇園山笠「勇壮と安全は両立できる」 昨年の死亡事故踏まえ取り組み 千代流

RKB毎日放送 2024年7月15日 17時2分

博多祇園山笠は15日朝、フィナーレを迎えました。無事に追い山笠を終えたことにひときわ安堵したのが千代流です。2023年、追い山笠の最中に舁き手が亡くなる事故が起きた千代流は、安全対策を徹底して、今年の山笠に臨みました。

「二度と起こさない」安全を祈願

山笠のスタートとなる7月1日のお汐井とりの後に行われる筥崎宮への安全祈願。五番山笠・千代流で舁き手のリーダー「隊長」を務める坂本一規さんは、人一倍強い思いで安全を祈願しました。

坂本一規隊長「1年ぶりに締め込みをして、気が引き締まる思いもありますし、昨年いろいろなことがあったので、とにかく安心安全にいかないといけないなと」

緊急の笛で山笠を止める対策を導入

2023年の追い山笠で舁き手が「山笠台」の下敷きとなって死亡する事故が起きているため、二度と事故を起こさないことが千代流の一番の課題です。何度も会議を開いて、対策を練ってきました。

6月には、流の役員や舁き手など250人が、AEDの使い方を学びました。7月3日に開いた最後の対策会議では、緊急時に笛を吹いて山笠を止めるなど、2024年から採用する安全対策を確認しました。

坂本一規隊長「1人が吹いたらそれに全員連動して吹くという感じでいいですね」

男性「この前も2本で吹いたから、台回り6人で吹けば全然違うと思うし」

「これ以上の対策は思いつかない」

坂本一規隊長「表と見送りに分かれて、前さばき中心に勉強会を始めていきたいと思いますので、よろしくお願いします」

山笠が動き出す流れ舁きを控えた7月7日、舁き手を集めての勉強会を開きました。

指導役「なんで事故が起きるかと言うと、山笠が落ちよる(下がる)からよ。だから、自分たちの棒だけではなくて横もみてほしい」

ベテランの舁き手たちが具体的に安全な舁き方や、緊急時の対応を指導します。

指導役「ピーッて鳴ったら、巻かれた(巻き込まれた)状態。そうなったら表の舁き手は台を落とさず(地面に下ろさず)止まってください」

坂本一規隊長「一回、笛吹いてみようか」

指導役「吹きます」(ピー!)「下ろしていいという指示が隊長からあるまでは、このままの状態でいてください」

坂本一規隊長「下せ!一回仕切り直していいけん、焦らんでいい」

坂本一規隊長「(笛を吹いてから)何メートル止まらないのか、想定はしています。これ以上の対策は今のところ思いつかないので、万全だと思います」

突然の笛…緊急停止した山笠

7月10日、初めての「流舁き」。威勢のよさが自慢の千代流は、勢いよく町内を駆け抜けていきます。そこに…。

(ピー!)「止めろ、止めろ!」

坂本さんは事前に知らせないまま笛を吹いて、山笠を止めてみたのです。その後も、舁き手に目線を上げるよう声をかけたり、山笠が危険な態勢になる前に速度を緩めるよう指示したりしました。

坂本一規隊長「今日で安全対策の『止まるんだ』というのは舁き手に示せたと思うので、従来通りの男の走り、千代流の走りは絶対できると思うので、精一杯いきたいと思います」

「10年後、20年後の将来につながる一日」

「3、2、1、やー!」

無事に櫛田入りを終え、いよいよ山笠が街に駆け出します。事故が起きた場所も、最も道幅が狭い場所も、無事に駆け抜けていきます。

舁き手「事故を経て皆の意識が変わることで、安全であることと、勇壮であることは両立できるというのが証明できたかなと」「将来につながる一日だと思いました。10年後20年後に」

坂本一規隊長「とりあえずホッとしましたね。大きなけががまずなくて。それが一番大きな目標だったのでよかったです。(笛の採用など)いろいろ皆で考えた中で継承していくことが大事。また一から頑張っていきたい」

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