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「ここはどこですか?」 乗客の一言に”とっさの判断” 認知症の男性を救った新人ドライバー「前職は看護師です」

RKB毎日放送 2024年7月24日 20時31分

行方不明になっていた男性を無事保護することに貢献したとして、乗車歴1年に満たない新人タクシー運転手の女性が、警察から感謝状を贈られました。

男性が家族のもとに帰ることができたのは、「看護師」としての経験をいかした”女性のとっさの判断”がありました。

◆タクシーを運転中、突然車道に現れた高齢男性

福岡県北九州市の南国交通でタクシー運転手を務める河野梨紗さん(47)。7月5日午後9時ごろ、小倉北区内の国道3号でタクシーを運転中、突然、真っ暗な車道に高齢の男性が現れました。

すぐに車をとめ「危ないですよ」と声をかけると、男性はニコニコしながら「タクシーを探していて」と答え、乗車してきました。

◆男性が告げた行き先は隣県

80代のその男性は、”よそゆき”のしっかりした身なりをしていたそうです。

男性が告げた行き先は、関門海峡を超えた隣県の山口県。男性は財布をあけて現金を見せてくれました。

◆長距離の依頼 最初は「嬉しい」と思ったが・・・

はじめは、長距離の依頼に最初は「うれしい」と思った河野さんでしたが、しばらくするといくつか男性の様子に違和感を感じたといいます。

◆河野さんが感じた違和感

携帯電話の呼び出し音が鳴っているにもかかわらず、男性は、「充電がないんだよ」と言ってとろうとしません。

「山口県のどちらまで?」と聞いても詳しい住所を言わない。

そして男性は、河野さんにこう尋ねました。

「ここはどこですか」

◆「認知症かもしれない」

「認知症かもしれない」河野さんは、とっさの判断で進路を変えました。

「まだ電車があるから小倉駅に行きましょう」と告げて。

男性を乗せて、駅前の交番に行った河野さん。警察官に男性の保護を依頼し、男性はその日のうちに無事、家族のもとに戻ったということです。

◆「本人の命を救った」感謝状

福岡県警小倉北警察署は7月24日、行方不明者の安全確保に大きく貢献したとして、磯辺芳文署長が河野さんに感謝状を送りました。

磯辺署長は、「本人の命を救ったし、ご家族の安心も早期に確保できた、本当にありがたい」と述べました。

◆河野さん「看護師として働いていたことが大きかった」

「認知症かもしれない」と、瞬時に行き先を変更した”とっさの判断”。

「去年9月まで看護師として働いていたことが大きかった」と振りかえった河野さん。

感謝状を贈られたことについて「人生で人とか親とか子供とかに誇れるものがなかったので、大変嬉しいです」と謙遜しながら笑顔を見せました。

◆年々増加する”認知症患者の行方不明”

福岡県警小倉北警察署のまとめによりますと、管内では2023年に届け出があった225件の行方不明事案のうち、18.7%にあたる42件が認知症に関連するケースでした。

その割合は年々上昇し続けているということです。

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