ユネスコの無形文化遺産にも登録されている福岡県北九州市の「戸畑祇園大山笠」。
メイン行事の競演会には例年4基が参加しますが、27日行われた今年は、1基少ない3基にとどまりました。背景にあるのは、工藤会との親交が発覚したことを機に態勢を一新した振興会に、山笠団体が復帰することの是非をめぐる不協和音です。
競演会 例年4基→今年は3基に
27日、福岡県北九州市で開催された戸畑祇園大山笠の競演会。
12段重ね、309個の提灯を取り付けた高さ10メートルの大山笠が登場すると、大きな歓声が上がりました。
この競演会には例年、4基の大山笠が勢揃いしますが、今年は3基しかいませんでした。
観客
「やっぱりさびしいですね」
「4個いたほうが楽しい。色々いるから良いと思います4個あった方が」
「同じ戸畑区なので皆そろっているほうがいい」
伝統の祭りで、一体何が起きているのでしょうか。
天籟寺大山笠辞退の理由は
競演会のおよそ1か月前の今年6月、4つの山笠の1つ「天籟寺」が、不参加を表明しました。
天籟寺大山笠 藤本和己 総代表
「本年度の戸畑祇園競演会には出場しない、辞退するという結果になりました」
理由は、競演会を主催する山笠振興会の役員に山笠の関係者が入っていないことです。
天籟寺大山笠の担当者
「そもそも振興会というのは、祭りの担い手が中心となってやっていくべきである、というのが我々の考えです。我々が求めているのは、振興会自体を山が担ってやっていくべきである、ということ」
発端は工藤会系組長の宴会
元々、山笠振興会の役員には4つの山笠の代表が入っていました。
しかし2018年11月、各山笠の総代表4人など振興会の関係者6人が特定危険指定暴力団工藤会系の宴会に出席していたことが発覚。
4山笠の代表が振興会の役職を辞任
4つの山笠の代表は振興会の役職を辞任し暴力団排除の覚書に調印しました。
それ以来、振興会は山笠の代表が入らない態勢でした。
”振興会への復帰”認められず
しかし去年になって4つの山笠のうち天籟寺と西が、振興会への復帰を求めました。
しかし、東と中原は時期尚早だとして復帰に反対しています。
戸畑祇園大山笠振興会 松下修祐 事務局長
「4つ山の中でも、2つの山については、山の人間が入るのは時期尚早だと、していることもある。4つの山の意見が一致しない中では、振興会としてもまだ時期尚早だということで判断した」
振興会への復帰はできなかったものの、西は例年通り競演会に参加。
一方、天籟寺は振興会への復帰を拒まれたことに抗議して競演会には参加せず、競演会と同じ時間に、地元の天籟寺地区で山笠の巡行をしました。
天籟寺大山笠 藤本和己 総代表
「自分たちの祭りなので、戸畑祇園という部分は確かに大事ですが、自分のところの夏祭り、これがやっぱり一番と思っています。きょうはこれはこれで僕らは良かったんじゃないかなと思います」
観客「来年は4つ並んでいた方が賑やかだし、いいんじゃないかなと思います」
戸畑祇園大山笠は国の重要無形民俗文化財でユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
その最大の見所が光のピラミッドとも呼ばれる提灯山笠による競演会です。
来年は4基の大山笠が勢揃いするのでしょうか?