去年6月、福岡県水巻町で知人の女と共謀して姉を殺害し、通帳を奪ったなどとされる女の裁判員裁判はあす8月1日に判決を迎えます。
女は、15年以上路上生活をしながら売春して得た金のほとんどを知人に送金していました。
姉に対する強盗殺人などに問われた辻和美被告
8月1日に判決をむかえるのは、住所不定無職の辻和美被告(52)。
起訴状などによると、去年6月、知人の岡村恵美被告(47)と共謀して、福岡県水巻町に住む姉の辻つぐみさんの首を圧迫して殺害し、通帳3冊と印鑑を奪ったとして強盗殺人などの罪に問われています。
これまで8回開かれた公判に黒のジャージ上下にマスク姿で現れ、姉の殺害と岡村被告との共謀について否認し続けました。
辻和美被告「強盗殺人について、岡村さんと共謀したというのはありません、殺意をもって、というのも違います」
19年で5800万円を送金 被告2人の関係は
20年以上前に当時の職場で出会ったという和美被告と岡村被告。
和美被告は「借金返済のため」として、売春で稼いだ金を岡村被告とその家族に送金していました。
その総額は19年間で5800万円に上ります。
睡眠不足になるほど売春
2008年に子供を置いて家を出たあと、去年逮捕されるまで路上生活を続けていた和美被告。
裁判では、睡眠不足になるほど客をとっていたと、証言しました。
そうまでして送金を続けた理由、2人はどういう関係だったのでしょうか?
証人として出廷した共犯とされる岡村被告は和美被告について問われると、「大親友だと思っています」と述べました。
これに対し和美被告は、「債権者と債務者の関係です」と証言しました。
検察側は無期懲役を求刑 弁護側は「単独の強盗事件」
姉のつぐみさん殺害について検察側は、和美被告が「ねじったポリ袋で首を圧迫した」などと主張し、無期懲役を求刑。
一方、弁護側は「岡村被告がつぐみさんを殺した疑いを払拭できない」などとしたうえで強盗罪の成立にとどまるとして懲役5年が相当と主張しています。
5800万円の行方と姉の殺害 司法の判断は
8回行われた裁判員裁判の公判では、被告2人の証言の食い違いが目立ちました。和美被告が岡村被告に送ったおよそ5800万円について、岡村被告は「500万円貸した」、和美被告は、「借金返済のため」だと話しましたが、金額に大きな乖離があります。
また、岡村被告は「ホームレスの和美被告は狙われるため、(自分の口座)に一時入れていました」と述べ、必要に応じて和美被告に全額手渡ししていたと証言。
一方の和美被告は、「もらっていません」と答えるなど、証言が食い違っています。
こうした証言の食い違いを裁判官や裁判員はどのように判断するのか。そしてそれが強盗殺人などの罪の認定にどう影響するのか。
判決は8月1日の午後3時に言い渡される予定です。