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「コジキ以下の老いぼれ糞婆さん キャッシング不可能ですけど」姉を殺したホームレスの妹(52)に、知人の女(47)が事件当日おくったメッセージ 裁判は2審へ

RKB毎日放送 2024年8月5日 15時1分

9日間に及んだ裁判が終わった。

姉への強盗殺人に問われたホームレスの辻和美被告(52)に対し、福岡地裁小倉支部は1日、知人の女と共謀して姉を殺害し通帳などを奪ったと認定し、無期懲役の判決を言い渡した。

和美被告は、20年間に売春で得た5800万円を知人の女に送金しており、判決は「犯行は知人の女に金を融通するために行われた」と指摘したが、知人の女の存在を、量刑上考慮することはなかった。

ホームレスの妹(52)に無期懲役の判決

8月1日。
福岡地裁小倉支部の法廷は、90ある傍聴席がほぼ満席となった。

午後2時54分、身長168センチの辻和美被告(52)が刑務官に付き添われ入ってきた。
いつもと同じ、上下黒のジャージ姿で、白髪交じりの髪を後ろで束ねている。
被告人席に静かに腰をおろした。

和美被告は、2023年6月2日、知人の岡村恵美被告(47)と共謀し、福岡県水巻町に住む姉の辻つぐみさん(当時52)の首を圧迫して殺害し通帳3冊や印鑑を奪ったとされる強盗殺人などの罪に問われていた。

和美被告は、「殺していない」「共謀していない」と、単独の強盗事件だと主張したが、判決はいずれの主張も認めず、和美被告に無期懲役を言い渡した。

犯行は「知人の女に金を融通するために行われた」

一連の裁判で、浮き彫りになったのは、和美被告と、知人の岡村被告の不可解な関係だった。

和美被告は、姉から奪った通帳で引き出した102万8000円のほとんどを岡村被告に渡している。

路上生活をしながら続けた売春で得た金は、その多くを岡村被告に送金した。20年間に5800万円にのぼる。

弁護側は最終弁論の中で「岡村被告にだまされて送金を続けていたとしか考えられない」とした上で「和美被告が岡村被告から搾取されていた被害者的な立場にあったことは間違いなく、情状として考慮されるべきである」と主張した。

この点について判決は、「犯行が岡村家に金を融通するために行われたもの」と指摘した。
しかし、岡村被告の存在を量刑上考慮することはなかった。

判決

「確かに、和美被告は、職場で知り合った岡村恵美被告に対し、20年間にわたって合計5800万円余りを送金しており、本件各犯行も、和美被告が岡村家に金を融通するために行われたことに照らせば、岡村恵美被告の存在が本件各犯行に与えた影響は否定できない。しかし被告人は岡村被告から脅されていたわけではなく、自らの意思で岡村被告との付き合いやホームレス生活を続け、借金や家族の問題から逃避していたことがうかがわれる。
岡村被告の思惑はさておき、岡村被告が自らの意思に反して岡村被告への服従を余儀なくされる立場にあったとは評価できない。
実際和美被告は本件各犯行に及ぶことを主体的に決断した上、自ら積極的に犯行用具を準備するなどしているのであり、本件各犯行、特に強盗殺人に関して、岡村被告との関係を量刑上特段和美被告に有利に考慮すべき理由は見いだせない。」

「知的水準の低さは見られない」

また、弁護側は、量刑を考えるにあたり、ある可能性を主張していた。

弁護人
「何の疑問も抱かずに岡村被告への送金を続けた原因として、和美被告には、自覚はないものの、知的障害、発達障害がある可能性を否定することはできない」

判決は、弁護側の主張を一蹴した。

判決
「本件各犯行は全体を通じて相応に計画的で巧妙なものであり、このような本件各犯行に及んだ和美被告について、責任非難を減少させるほどの知的水準の低さは見られない」

姉のつぐみさんの殺害について、判決は「金銭を得るという目的を達成するために考えられた計画的犯行であり、暴行の態様は執拗で残虐である」と指摘。

そして、被害者である姉のつぐみさんが、和美被告に金を貸していたことや、和美被告が置き去りにした2人の子供を、働きながら育てたことについてもふれた。

判決
「つぐみさんは和美被告から感謝されることはあっても悪感情を向けられる筋合いはないはずであり、なおも金を得ようとした和美被告によって命を奪われたというのはあまりに理不尽である」

「どちらの言っていることが本当なのか」 ふたりの関係性

和美被告は、なぜ姉を殺してまで知人の女とその家族に金を融通しようとしたのか。
裁判を傍聴した多くの人がおそらく感じたであろう大きな謎、岡村被告との関係の奥底にあるものは、司法の場では明らかにならなかった。

ふたりの関係性については、裁判員にとっても、共謀があったかどうかを判断する上で、難しかったようだ。判決後の会見で、心情をこう吐露した。

裁判員Aさん
「ふたりは、長年の付き合いの中で持ちつ持たれつだったのかなと感じました。
今回はっきりしませんでしたが、2人が共通の目的を持っていたのではないかと感じました。」

裁判員Bさん
「和美被告のことを岡村被告は『大親友』と言っていましたが、和美被告は『債務者と債権者の関係です』と言っていました。
どちらの言っていることが本当なのか分からないので、難しいと思いました」

事件当日に知人の女が送ったメッセージ

法廷で、和美被告のことを「大親友です!」と証言した岡村被告。

弁護人によると、その岡村被告は事件当日、和美被告の携帯電話に複数回メッセージを送っている。

【事件当日に岡村被告が和美被告に送ったメッセージ】
(和美被告の弁護人が法廷で読み上げた内容)

「コジキ以下の老いぼれ糞婆さん キャッシング行きたくないから連絡とらなくなります」

「あのバカ和 またキャッシング もう借りられないのに うふふ」

「コジキ以下の老いぼれ糞婆さん キャッシング不可能ですけど」

「バカ丸出しのコイツ殺せ」

強盗致死などの罪に問われている岡村恵美被告の裁判は、10月下旬に始まるとみられている。

そして、和美被告は「姉を殺害していない」として控訴した。

事件の裁判は、これからも続く。

RKB毎日放送 記者 浅上旺太郎

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