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「朝起きたら家の周りが海のようになっていた」深夜の雨の音に気づかず・・・避難所で食事の知らせも聞こえない 聴覚障害者の現実を漫画で描く

RKB毎日放送 2024年8月7日 13時50分

毎年のように大雨被害に見舞われる日本。

音の聞こえない聴覚障害者は、健常者以上に災害時、不安や危険を感じています。

聴覚障害のある漫画家が自身や仲間の実体験を描き支援と対策の必要性を訴えています。

「聞こえない人の声」知ってほしい

福岡県久留米市に住む漫画家の平本龍之介(44)は、生まれつき耳が聞こえません。

普段から自身の体験などに基づき、聴覚障害者の悩みについて漫画で発信しています。

例えば、「聞こえない人の声」というタイトルの4コマ漫画。

【漫画】聞こえない人の声

「コンビニで指さしボードを設置するようになった」

「聞こえない人にとってとても喜ばしいことだ」

「ボードの上に物を置いているコンビニもあった」

「指さしボードは私たちの声代わりです」

漫画家 平本龍之介さん
「自分が経験したことを描いて、それを見て知ってもらうことが大事かなと、いろいろな人に知ってもらいたいと描き始めました」

雨の音に気づかない

【漫画】雨の音に気づかず…

「大雨警報!避難してください!」
聴者「ガバ!」「ふ~」
ろう者「ぐぉぉぉ」

「地域住民同士、近くにどんな人がいるかを知り、事前に対策を考えることが災害があっても安心な街になるのではないだろうか」

平本さんが住む福岡県久留米市は、ここ数年、頻繁に豪雨による浸水被害が起きています。

被災経験のある聴覚障害者から聞き取った話も漫画にしました。

聴覚障害のある60代の女性は4年前から毎年のように大雨によって自宅が浸水する被害を受けています。

久留米市北野町に住む聴覚障害のある女性(60代)
「家のブロック塀があるんですけど、2年前は私の腰の辺りまで水が来ていました。川の方からどんどんどんどん水が来ました。寝ている時は、雨の音が分からなかったんです。次の朝起きて家の周りが海のような状態になっていて膝くらいまで冠水していました」

聞こえない悩み 避難所でも

聞こえないことによる悩みは避難所でも・・・。

久留米市北野町に住む聴覚障害のある女性(60代)
「避難所に行ったんですけど、手話通訳も、交通手段がないと言うことで頼めなかったんです。スタッフ、役所の人から朝食や昼ご飯がきますよというお知らせがあるんですけど、私は聞こえませんから分かりません。子供は聞こえますから手伝ってもらいました」

聴覚障害者からの要望を受け、久留米市は、FAXによる災害情報の発信や、要支援者の名簿作成などに取り組んでいます。

また、漫画家の平本さんや、ろうあ協会と共同で、ボードを指さすことで体調の異変や要望を伝えることができる「コミュニケーション支援ボード」を制作。

市内すべての避難所に設置しました。

久留米市障害福祉課 下津浦丈弥 課長補佐
「現実的に全ての避難所に手話通訳者を配置する、もしくは派遣するというのは難しい状況があります。聴覚障害がある方が我々スタッフに状態をお伝えいただく時に使うものですが、体調が悪くなったときに痛いとかしびれるとか示していただいて、どこが痛いのかを指さしでお伝えできるようなものにしています」

「地域のつながりも大切」

災害時、聴覚障害があっても必要な支援を受けられるよう、自治体が対策を進ることに加え、平本さんは、地域での関係作りが重要だと平本さんは考えています。

漫画家 平本龍之介さん
「人と人の心のつながりが必要だと私は思っています。聞こえないだけじゃなくて他にもいろんな障害がある人を前もって把握しておけば、何が起こっても対応しやすいかなと思います」

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