日本の工芸品の魅力を、フランスに広めようと奮闘する男性がいます。パリの店舗を取材しました。
若者の街に和食器の店
RKB 下濱美有記者「若者のまち、マレ地区です。このあたりはお店が多く並びますが・・・メイドインジャパンのお店ありました。中は私たちには見慣れた美しい食器がありますね。店内は和の香りがします」
日本の焼き物や工芸品が並ぶ店内。佐賀県の有田焼を中心におよそ500種類を取り扱っていて、世界中から多くの人が訪れています。
大学で日本の工芸品に魅せられ
3年前にこの店を開いたのは、大学で芸術を学ぶ中で日本の工芸品に魅了されたというティモテ・カプランさんです。
DEJIMA Store Paris ティモテ・カプランさん「パリに日本の店はたくさんあり、伝統的に見えるけれど本当のものとは言えません。私たちは本物の日本のものを紹介したいと思っています」
長崎県・波佐見町で作品づくりも
7月、カプランさんの姿は長崎県・波佐見町にありました。カプランさんは、日本から輸入したものを売るだけではなく、両国の繋がりを深めるためフランス人アーティストに日本でデザインしてもらうことにも取り組んでいます。
今回、一緒に来日したのはヨハン・ギャナルさん。
フランスの高級ブランド「エルメス」のプロジェクトも手がけたことがあるアーティストで日本に来たのは初めてです。制作期間は1週間。まず最初は色味や雰囲気を確認するため、試作品を作ります。
焼き物に直接絵を描くのは初めてだというギャナルさんはインクの色を変えながら、何度も器にスタンプを推したり、筆でデザインを施したりしました。
ヨハン・ギャナルさん「直接、焼き物に絵を描くということは、普段やっている平面の仕事、例えば新聞や漫画、イラストとは全くちがって面白いです」
窯で焼くこと12時間。その出来映えをみたカプランさんとギャナルさんは・・・。
難しい顔をしていました。2人が想像していたものと違ったようです。
残された日数で納得のいくものを作るため、2人は真剣な議論を重ねました。
ティモテ・カプランさん「想定していたデザインは、表情や顔をモチーフにしようと思っていましたが、テストの結果、思った通りに出てこない可能性が出てきたので、パターンや模様のほうで調整していこうと思います」
「お化け」をイメージした作品 出来映えは
完成した作品がパリに届きました。
「お化け」をイメージした絵が施された器。
満足のいくものが出来たのでしょうか?
ティモテ・カプランさん「作品によりますけれど、うまく出来た物もありますし、予想外になったものもあります。もう一度パリで手を加える必要があります。僕が望むことは、できればここに来て日本の民芸品について多くのことを発見して欲しいし、そのきっかけになりたいです」
パリで注目される日本の工芸品がフランス人の手によって世界に広がっています。