JR九州高速船が、博多と韓国・釜山を結ぶ「クイーンビートル」で、船体に浸水していることを隠蔽し運航を続けてきた問題。
データの改ざんや警報器がならないよう位置をずらすなどの隠蔽は、トップによる指示だったことが分かった。また、浸水の事実について、表に出ないよう、裏管理簿を作成していたことも分かった。
親会社のJR九州が14日会見し明らかにした。
「裏管理簿」作成し表に出ないよう偽装
JR九州は14日午前11時から会見し、博多と韓国・釜山を結ぶ「クイーンビートル」で、船体に浸水していることを隠蔽し運航を続けてきた問題について経緯を説明している。
JR九州によると、今年2月12日に、船首部分に2~3リットルの浸水を船員が確認した。浸水について、経営トップである田中渉前社長(当時の社長)に報告されたが、田中前社長がこの日に国土交通省に報告しないことを決めたという。
さらに翌13日からJR九州高速船は、航海日誌などには浸水量について「異常なし」と虚偽の記載をしていた。その上で、別途、「管理簿」を作成し、表に出ない形で、浸水を記録し続けた。
虚偽記載や、裏管理簿の作成についても、田中前社長の判断だと説明している。
浸水を知らせる警報センサーは、船底から44センチの高さのところにある。しかしJR九州高速船は、5月27日に736リットルの浸水を確認した翌日の28日、警報が鳴らないよう故意に上にずらし、船底から1メートルの場所に動かしていた。
これについても、JR九州は、田中前社長の判断だったと、説明している。浸水は5月30日に船底から1メートルに達し警報器が作動。JR九州高速船は、この日になってようやく九州運輸局に報告し、運航を停止した。
JR九州は13日付けで、JR九州高速船の田中渉前社長を解任し取締役に降格する人事を発表している。
【これまでの経緯】
今年2月
亀裂により浸水していることを確認
→浸水を感知する警報センサーの位置をずらす、データを改ざんする、などして浸水していないようにみせかけ隠蔽
ポンプで排水しながら運航を続ける。
今年5月末
浸水が悪化したことから、この時初めて浸水が確認されたように、国土交通省や親会社のJR九州に報告
→修理
今年7月
運航を再開(今月12日まで継続)
今年8月6日
国土交通省の抜き打ち監査で、隠蔽が発覚