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中国・台湾の観光客も利用する佐賀空港にオスプレイ国は”台湾有事”想定し「地の利」強調も市民は「事故」と「攻撃の対象」懸念

RKB毎日放送 2024年8月22日 17時1分

中国や台湾、韓国との国際線が就航する佐賀空港で今、陸上自衛隊の輸送機「オスプレイ」を配備する駐屯地の建設工事が進んでいます。

建設反対の声もある中、防衛省は、”台湾有事”など中国を念頭に進められているいわゆる南西シフトの一環で来年6月までに必要な工事を終えたいとしています。

オスプレイ17機を配備計画

RKB 小松勝記者「駐屯地の建設現場では工事車両が出入りし着々と工事が進められています」

佐賀空港西側の34万平方メートルあまりの土地に8階建ての庁舎やヘリコプターの駐機場などが建設されようとしてます。

同じ佐賀県内にある陸上自衛隊目達原駐屯地の戦闘ヘリなど50機、それに輸送機・オスプレイ17機を配備する計画です。

南西諸島の防衛力強化を目的に、現在、千葉県の木更津駐屯地に暫定的に配備されているオスプレイをここに常駐させるのです。

九州防衛局 中辻綾太 企画部長「木更津から南西諸島に行く時間と佐賀から南西諸島に展開する時間では差があるので、島しょ防衛を一つの柱としてやっているので、そうした事態が生じたときに速やかに対応できるように」

防衛省は”地の利”強調

佐賀空港に配備されるオスプレイは長崎県佐世保市の相浦駐屯地に配置されている水陸機動連隊を輸送する役目を負います。

水陸機動連隊は、侵略された離島を奪還する作戦を想定して編成されたもので九州北部の海上自衛隊や航空自衛隊の基地と連携するためにも、配備先は佐賀空港が最適だと言います。

九州防衛局 中辻綾太 企画部長「(オスプレイは)実際にオペレーションをするときには陸上自衛隊だけではしない、海上自衛隊、航空自衛隊との統合運用、陸海空が協力して運用する、九州北部には海上自衛隊は佐世保に主要な艦艇が配備されていて航空自衛隊は築城基地、陸上自衛隊は福岡駐屯地がある、こうした地理的な特徴がある」

オスプレイの事故 これまで何度も

オスプレイをめぐっては、過去に何度も事故が起きています。

去年11月、アメリカ軍横田基地所属のオスプレイが鹿児島県の屋久島沖で墜落し搭乗していた8人全員が死亡しました。

事故の目撃者「左のエンジンが火を噴いて爆発してプロペラが沖のほうに飛んでいった、その直後に墜落した」

「もし人が住んでいるところに落ちたら・・・」

佐賀空港西側の建設現場の地権者で建設に反対している古賀初次さんは安全性に疑問を抱いています。

地権者 古賀初次さん(75)「構造的、機能的にオスプレイが完成された機体ではないことは言えると思います。11月の事故現場は島から1キロ離れたところと報道されていますが、これがもしも人が住んでいる陸の上だったら、そこに住んでいる住人にとっては大きな被害につながっていると想像されます。やっぱりこれは必ず落ちるものだという認識がだんだん強まってきて」

建設差し止めを求める裁判も

古賀さんは去年12月、地権者3人とともに国を相手取り提訴。佐賀地裁に駐屯地の建設工事の差し止めを求めています。

また、今年7月には佐賀県や福岡県をはじめとする九州北部の市民ら245人が古賀さんらと同じく工事中止を求めて提訴しました。

原告の1人野中宏樹さん(61)「基地というのは紛争当該国、相手がどこになるか分かりませんが、そうなった時に相手を攻撃するための出撃拠点になる、当然攻撃目標になる、基地があることだけで非常に危険だということ」

「万が一何か発生しても説明責任果たす」

これに対し九州防衛局は住民の不安を払拭するため説明責任を果たすと繰り返しています。

九州防衛局 中辻綾太 企画部長「我々としてできることは安全対策はもちろん、そのうえで説明責任を果たしていくことだと思う。当然今まで見たこともない航空機が来るわけなので、不安や懸念の声もたくさんもらっている、われわれとしては一つ一つ真摯に耳を傾けるとともに、一番できることは説明責任を果たすこと、万が一何か発生した場合にも説明責任を果たせてもらいます」

国際線が就航する佐賀空港

佐賀空港には今、韓国のソウル、中国の上海、それに台湾の台北とを結ぶ定期便が就航していて、観光客の誘致に一役買っています。

その傍らで駐屯地の建設工事は24時間態勢で休日も行われています。

海洋進出を進める中国を念頭に九州防衛局は来年6月末に「オスプレイの移転に最低限必要な工事」を完了させる予定です。

九州防衛局 中辻綾太 企画部長「(安全保障の環境は)戦後最も厳しくて複雑と評価している。台湾周辺の海域で中国が軍事演習することもあり、2022年には中国が発射したミサイルの一部がわが国のEEZに着弾することもありました」

中国や台湾の観光客も利用する佐賀空港で南西諸島の防衛力を強化する駐屯地の建設が進んでいます。

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