パリパラリンピックで、女子マラソン・視覚障害者のクラスに出場する道下美里選手(47)が26日、パリに向けて出発しました。
出発前日、地元で行った最後の練習に密着しました。
早朝の公園「とにかく力をもらいます」
8月25日午前4時。福岡市の大濠公園に道下美里選手の姿がありました。
RKB 宮脇憲一アナウンサー「この時間から走るのはどういう目的ですか?」
道下美里選手「日が出てくるとかなり暑いので、パリは今そこまで暑くない。福岡のメンバーと一緒に走ってとにかく力をもらいます」
「絆」と呼ばれるロープで結ばれた伴走者と走る視覚障害者のマラソン。
大濠公園では10人ほどの伴走者と練習を共にしています。
出発直前のメニューは1周2キロのコースを16周の32キロ。
強弱をつけ、これまで体に覚えさせてきた走りを崩さないための最終調整です。
一時、激しい雨が降ったものの、パリでのレースを見据え止まることなく走り続けていました。
小学4年生で角膜の病気に
道下さんは1977年生まれの現在47歳。
小学4年生で角膜の病気を患い今は左目でモノの輪郭や色をわずかに感じ取れるほど。
走ることを始めたのは25歳の時やせたいというダイエットが目的でした。
それから練習を重ね、2016年のリオパラリンピックで銀メダル。
そして、前回2021年の東京パラリンピックでは悲願の金メダルを獲得しました。
3大会連続のメダルを目指すパリ。東京大会後の3年間どう練習に打ち込んできたのでしょうか?
道下美里選手「5000メートルで記録をだしてスピードもついてきて、いい感じで上がってきた時に故障して心をずっと同じように保てませんでした。でも、どんなことがあっても変わらずにいてくれる仲間がいで、なんでも乗り越えられる強さは養ってきました」
仲間からのサプライズ
そして、練習も終盤に差し掛かったころ、コース脇に人だかりが。
伴走者を中心とした道下さんを応援する仲間たち。
地元福岡でパワーを送りたいと、練習の最後、一緒に走りました。
道下美里選手「何かの撮影ですか?CMの撮影?」
走っているうちにも人は増えその数およそ25人。
中には、小さい子供を抱えて走る人も。
一緒に走った仲間「みっちゃんの笑顔がみんなに力をくれているので、応援する気持ちを少しでも届けたくて走りました」
お昼には食事会が開かれました。
伴走者や会社の同僚など気心の知れた仲間たちが開いてくれた食事会。福岡で一息ついて旅立ってもらおうと企画されたものです。
国旗に寄せ書きのプレゼントも贈られた道下選手。力強く、意気込みを語りました。
道下美里選手「この3年間は自分と向き合う時間がすごく長くて、スタートラインに立てるのか不安に思った時もありましたが、みんなが絶対みっちゃんなら行けると信じてくれて必ずメダルを獲ってくれるとみんなが応援してくれているので、ここまでいい練習をやってこれました。パリではいつも通りの走りを、みんなといつも大濠公園を走っているイメージでパリの町を駆け抜けてきたいと思います。頑張ってきます。ありがとうございます」