台風10号が接近した29日、福岡市立小中学校の児童・生徒をいったん登校させた福岡市教育委員会は29日夜、「お子様に雨風の中、登下校させてしまったこと、保護者の皆様にも、急な対応やご心配をおかけしたことについて、深くお詫び申し上げます」というコメントを発表しました。
福岡市の小・中学校は大混乱
台風10号が接近した29日朝、福岡市内の小中学校は大混乱を来たしました。ある小学校の教員が学校の様子を明かしました。朝、学校に出勤すると、校長宛てに近隣の小学校長から電話が何本もかかってきたと言います。「どうしたらいいか、みな分からないようでした」
「そのあと、教育委員会から学校にメールが来ました。その内容を職員室で知ったのは午前7時45分すぎでした。管理職が口頭で読み上げた内容に驚いて、職員室を出て教室に行っていた先生もいたので、慌てて全員に伝えました」
福岡市教委が小中学校に送ったメール
「暴風警報が福岡市域に発令され、避難指示が早まる可能性も高くなったことから、給食を待たずに、安全を確保できた学校から速やかに下校とします。放課後児童クラブは開室しますが、安全確保のため保護者のお迎えをお願いします」
福岡市では前日の28日段階では、29日は朝から普通に登校し「給食後に一斉下校」としていましたが、29日朝に急きょ下校させるよう各学校にメールで連絡、大混乱を来たしました。市教委の対応について、保護者や現場の教員から強い批判が出ています。
福岡市教委が29日の午後8時30分ごろに発表したコメントは以下の通りです。
「台風10号接近に伴う対応について」
台風10号の接近に伴う福岡市立の小中学校の対応については、昨日(28日)の時点で暴風域に入る確率が29日夕刻以後に高まるという見通しなどを踏まえ「8月29日は給食(昼食)終了後の一斉下校、8月30日はすべて臨時休校」とすることを、教育委員会として決定し、学校を通して保護者の皆様にお知らせしておりました。しかしながら、29日午前6時29分に暴風警報が発令されるなど、想定を超える状況の悪化が見込まれたことを受け、登校した児童生徒の安全を確保しつつ、速やかな下校の対応を行うことが適切と判断いたしましたが、結果として、お子様に雨風の中、登下校させてしまったこと、また、保護者の皆様にも、急な対応やご心配をおかけしたことについて、深くお詫び申し上げます。
「ごめんねとしか言えなかった」憤慨する小学校教員
教員は学校で起きたその後の混乱ぶりについてこう語りました。
「保護者にメールで連絡すると、学校に一斉に電話がかかってきました。『もう家を出たのですが、どうすればいいですか』『まだ出ていませんが、このまま家にいていいのですか?』という問い合わせの対応は30分以上続き、みなバタバタでした」
「もう登校していた子供もいたので、いったん教室に全員を入れました。保護者が迎えに来た子供から随時返しましたが、保護者の中には、仕事を抜け出してきている人がかなりいました。保護者が迎えに来られない子供は、先生が立ち会って集団下校させました」
「子供たちから『すぐ帰るなら来る意味ないし』『濡れながら来たのに』と言われ、『ごめんね』しか言えませんでした」
「保護者からの信頼を裏切った」
市教委の判断について、教員の間から強い不満が出たと言います。
「『連絡が遅すぎる』『あと20分連絡が速かったら、子供が家を出ていないので、学校現場の対応は全然違った』という声が圧倒的でした。登校させてすぐ『今から迎えに来い』はない」
この教員は「『濡れて学校に行ったせいで、体調を崩した』と言われたら、謝るしかない。学校に対する保護者の信頼を裏切った。子供を安心して預けられない、と思われても仕方ない」と話していました。