30日(金)午後3時現在、台風10号は一向にスピードが上がらず、ジョギング並みのゆっくりしたスピードで九州を横断し、やっと瀬戸内海に達しました。台風は、今後も東に進む見込みですが、あさってにかけてもスピードが上がらず、ノロノロのままです。
台風ノロノロの原因は東西の高気圧のとおせんぼ
一般的に、台風がスピードを増すのは、上空を吹く偏西風に乗った場合ですが、今年は夏の高気圧が強すぎるため、偏西風はその高気圧から北海道の北にまで押し上げられているのです。これでは、台風が偏西風に乗ることができません。
しかも、台風の西と東に、夏の高気圧が存在し、低気圧の仲間である台風をとおせんぼしているのです。このため台風は身動きがとれない中、少しだけ西の高気圧が強いために、何とか東に進んでいる状態なのです。台風が消滅するまで、このノロノロ状態は続くとみられ、その影響も長く続く見込みです。
なんでこんなに広い強風域
30日午後3時現在の台風の中心気圧は994ヘクトパスカルと、かなり勢力は弱まっています。さすがにもう、風速25メートル以上の暴風域はありません。
しかし、風速15メートル以上の強風域が異様に大きくなっているのです。なぜこんなに広いのか?強風域の直径は約800キロで、西日本全域を覆ってしまうほどです。
その理由も、台風が東西から高気圧に挟まれていることが理由です。高気圧の周りには、時計回りの風が吹き、台風など低気圧の周りには反時計回りの風が吹きます。
そうすると、台風の周りの風が強められ、994ヘクトパスカルという中心気圧からすると、風速15メートル以上の強風域が極端に大きくなっているのです。
台風10号、かなり弱まっていますが、ノロノロと広すぎる強風域の影響で、強風や高波が各地でまだまだ続くおそれがあります。
RKB 気象予報士 龍山康朗