9月16日は「敬老の日」。福岡県宮若市で開催された「シニアソフトボール」(73歳以上が対象)の大会に登場した最高齢のピッチャーは、なんと今年85歳を迎えます。皆さんに、元気の秘けつを聞いてきました。
ソフトボール歴は45年
宮若市の多目的グラウンドで開催されたのは73歳以上が対象の、シニアソフトボール福岡県大会。
「投げて」「打って」「走る」。真剣勝負のソフトボール大会です。県内にある、12のシニアチームが熱戦を繰り広げました。
「OK、ナイスボール!」
投球練習をしていたのは、中村義則さん(福岡早良クラブ)。春の大会で優勝した際のピッチャーです。
福岡早良クラブ 中村義則さん(84歳)「あと2か月で、85歳です。バッターは分からんけども、ピッチャーとしては最高齢ですね。ちょうど今年で(ソフトボール歴が)45年になります」
年間60試合のマウンドに上がるという中村さんは、チームメイトから「鉄人」と呼ばれています。
楽しんでプレーでも試合になると…
シニアソフトボールの大会は年齢別で開かれています。59歳以上は「シニア」。65歳以上は「シルバー」。69歳以上は「古希」。そして、この大会の73歳以上(ハイゴールド)と、さらにその上には79歳以上(スーパーハイゴールド)は、10年ほど前に新しく加わりました。
福岡早良クラブ 松本修選手兼監督(80歳)「年をとるほど、若い人たちの中に年寄りは入れないじゃないですか。やっぱり年齢別の大会ができることで、いつまでもソフトボールを楽しめる。勝負にこだわるというよりも、楽しんでプレーしようという雰囲気。でも、どうしても(試合に)来た以上は勝ちたい、という人が多いです(笑)そこまで好きじゃないと、この暑さでなかなかできませんよ」
大会では、高齢選手ならではの特別ルールがあります。通常より一人多い10人で守備をするほか、足腰に不安がある人でもバッターとして試合に出られるよう出塁した後は、最大2回まで代走を頼むことができます。また、試合時間が60分を過ぎてからは、新しいイニングには入りません。
福岡早良クラブ 松本修選手兼監督(80歳)「やっぱり自分で動いていて、きのうまでこの間までここまで動けていたのに、今は残念ながらそれ以上は行けないとか。ただ、何とかみんなについていこう、と常日ごろの体力作りを」
「何でもトレーニング!」階段も苦にせず
試合ができる体力を作るには、日ごろのトレーニングが欠かせません。大会の前日、福岡早良クラブを訪ねました。メンバーの半数が70歳以上。週に3日、練習をしています。
本田勝士さん(85歳)「何でもトレーニングになると思う。地下鉄の階段も全然苦にならん」
顧問の羽立司郎さん(90歳)「もう立ちきらんと?手術できんとかね?」
年齢を重ねると、どうしても増えるのは、病気や体の話。中にはこんな方も…。
遠藤正人さん(72歳)「肺がんです。7月22日に手術したばかり。大丈夫じゃないばってん、(体を)慣らさんことにはどうしようもないけん」
Q.プレーすると元気になる?
遠藤正人さん「ボールが飛んでくると元気になります。やっぱりテンションが上がりますね」
皆さんに、元気の秘けつを教えてもらいました。
「じいちゃんたちとグラウンドを走り回ることです」
「みんなと打って走って、そして、終わって酒飲んで笑う!」
「よく食べること。寝ること。カラオケをすること。お酒飲むこと」
指切断の大けが乗り越え
中村義則さん(84歳)「こういうのをやっているから元気ちゅうかですね。みんな一人一人病気は持っていますよ。でも、病気に負けんぐらいの体をみんなしていますからね」
シニアソフトボール福岡県大会の最高齢ピッチャー・中村義則さん。実は35年前、仕事中の事故で利き手の指を切断する大けがをしました。中指は第2関節からありませんが、マウンドに立ち続けています。
中村義則さん(84歳)「けがした時は、ソフトボールはできないだろうと思っていたけど、何とかできるようになった。なかなか最初はコントロールがつかなかった。変化球がなかなかできない。自分なりに工夫をして。それから45年やっております」
「鉄人」中村投手を擁し2連勝した福岡早良クラブは、連覇を目指して2連勝。決勝に進みました。決勝は、強豪・大牟田と筑後の混成チームと対戦。残念ながら完封負けし、春の大会に続く連覇は逃しましたが、中村さんたちは「また、次の試合で頑張りたい」と話していました。