9月16日は「敬老の日」です。
84歳となった現在も屋外での化石採集に汗を流す男性を取材しました。
元気の秘訣は、体を動かすこと。夢は「恐竜の化石発掘」です。
船に乗って40分。
北九州市小倉北区の藍島は猫の島として知られています。
その猫には目もくれず海岸沿いの岩場を見て回っているのは、御年84歳の初山俊太郎さんです。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「岩場の表面を探すわけですよ、そうすると骨の化石が岩の表面に出とる、それを見つける」
初山さんが60年以上続けている趣味が化石採集です。
1977年には珍しい化石を発見しました。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「骨の感じが鯨と違うってのはすぐ分かった。これひょっとしたらやったかな?って、ペンギンモドキやなと」
発見したのはペンギンモドキの愛称で知られる約3000万年前に生息した鳥類の化石。
現在、北九州市のいのちのたび博物館で展示されています。
いのちのたび博物館学芸員・大橋智之さん「岩石の表面に見えていて、こういう風に化石って見えるんだ見つけられるんだっていうのを分かりやすく説明するのに非常にいい標本だと思っています」
ペンギンモドキは飛ぶことができずに海の中を泳いで生活していたと考えられています。
ペンギンに似ていますが、ペリカンの仲間という説もあり、初山さんが発見した化石も研究に貢献しています。
学芸員の大橋さんは、初山さんについて「化石を見つける確かな目を持っている」と話します。
いのちのたび博物館学芸員・大橋智之さん「これを化石産地の現場で探されていた時に、ここに骨の化石があるっていうのを、そこではっきりと認識されるっていうところが素晴らしいと思います」
初山さんの自宅で、20歳から採集している化石を見せてもらいました。
アンモナイトやサメの化石など約1000点にのぼるといいます。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「どれも愛着ありますよね自分で採集した化石ですから。一つ一つ採集したときの場所と感覚は頭入っとるんですよ」噂を聞きつけて化石の見学に来る人もいます。
近くに住む石橋美恵さん「うちの主人が化石が好きなので、これを自分で掘ってきたっていうのはすごいことだなっていう話しをしてて2人でビックリして」
化石探しはひらめきだと話す初山さん。
朝起きて、勘が働いたときは仕事を休んだこともありました。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「ビラビラと朝起きたときに、ビラビラときたんで(勘が働いた)。きょうは俺が休んでも支障ないなと思って、すぐ休む。『すみません、急用ができました』って、あとはリュックからって」
84歳の初山さん、元気の秘訣はとにかく身体を動かすことだと話します。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「なるだけ歩くようにしています。2階、3階でも階段を歩くように心がけている、エレベーターに簡単に乗らない、歩くおれは歩くって」
最近は、化石を探しに行く回数も減っていますが、これまで培った「見つける目」は衰えていません。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「(Q黒くなっているところは化石じゃないですか?)これはモジュールちゅうやつですね。崖ができるときに岩石を取り込む、化石ではないですね」
目を凝らしながら次々と見つけていきます。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「ここ骨の化石ですね。おそらく鯨類やろうと思いますね。こういう黒っぽい鉄の棒みたいな感じで骨の化石は残ります」
暑さも厳しいため、休憩をこまめにとっていますが、常に目を光らせています。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「この辺はよくみると全部グリキメリス(二枚貝)がついて外れた化石がいっぱいあります」
暑さが厳しかったこの日、約5時間、岩場を歩き続けました。
初山さんを夢中にさせる化石、どのような魅力があるのでしょうか。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「太古の置き手紙って僕は化石のことを言っている。3000万年前から俺を待っとってくれたんかっていう」
84歳の初山さん、これから成し遂げたい夢があります。
84歳の現役化石ハンター・初山俊太郎さん「化石マニアの上がりは、最後は恐竜の化石発見ということになるんですよね。ズバリ恐竜の化石を見つけてみたいですね。それにつきますね」