土地の取引価格の目安となる「基準地価」が発表されました。福岡県ではマンション用地の需要の高まりなどを背景に9年連続で地価が上昇。
なかでも賑わいが戻った九州最大の歓楽街、中洲地区は県内トップの上昇率となっています。
一方、地価の上昇が住宅の販売価格をつりあげ、売れ残る建て売り住宅もでてきました。
住宅地 上昇率トップは新駅開業エリア
RKB 野島裕輝記者「住宅地で上昇率が最も大きかったのが博多区麦野にあるエリアです。今年3月に開業した桜並木駅からも近く、人気が高まっています」
福岡県が発表した今年7月1日時点の「基準地価」。「住宅地」で上昇率トップとなったのが、福岡市博多区麦野6丁目です。
前の年より19%上昇しました。
西鉄・天神大牟田線の桜並木駅から徒歩でおよそ8分、雑餉隈駅からも徒歩5分の距離にあり、大型商業施設「ららぽーと福岡」にも車でおよそ10分で行くことができます。
90代の女性「買い物は便利だし交通は便利だし、すごくここに50年近く住んでいるんですけどもう本当に住みやすかった」
「中洲」は上昇率103位からトップに
一方、「商業地」で上昇率が最も大きかったのが「博多区中洲4丁目」です。上昇率は20.7%。前回の103位からトップに躍り出ました。
最近ではコロナ禍前を上回るほどの観光客が訪れているほか、歴史的な円安を背景に、海外からも物件への投資が増えているということです。
中洲の飲食店「活気はすごく良くなってきましたよ。特に、インバウンドの方にも来ていただいています。」
価格トップは前回と同じ
価格のトップは前回と変わらず、「住宅地」が「福岡市中央区地行3丁目」で、1平方メートルあたり59万円。
「商業地」が「福岡市中央区天神1丁目」で、1平方メートルあたり910万円でした。
工業地11.6%アップで全国1位に
福岡県全体では基準地価の平均変動率は9年連続で上昇。
「工業地」が11.6%アップで全国1位となったほか、「住宅地」と「商業地」も全国3位にランクインしました。
工業地11.6%アップ商業地1.4%アップ住宅地0.5%アップ
九大跡地 再開発で大きく上昇
今回、住宅地と商業地で大きく上昇したのが、福岡市東区の箱崎エリアです。
RKB 野島裕輝記者「国内最大級となる九州大学箱崎キャンパス跡地の再開発。この再開発に伴って周辺の地価が大きく上昇しています」
敷地面積が約50ヘクタールと、みずほペイペイドーム福岡6個分に相当する九州大学箱崎キャンパスの跡地。今年4月に優先交渉権者が決定し、最先端技術を活用した次世代型のスマートシティに生まれかわる見通しです。再開発が動き出すことへの期待も高まり、上昇率は近くの住宅地で18.1%、商業地で20.6%とどちらも2位となっています。
地価の上昇に陰りみえるエリアも
人口の増加を背景に、福岡市とその近郊でマンション用地の需要が高まっていることもあり、好調な地価の上昇が続いている福岡県。
一方で地価の上昇により販売価格があがったことで売れ残る建て売り住宅が増え、春日市や大野城市などでは地価の上昇に陰りが見られるエリアも出始めています。
金利あがれば地価は減速か
今後の見通しについて専門家は、さらに金利が引き上げられれば、地価の上昇が減速するエリアが広がる可能性があると指摘します。
日本不動産研究所九州支社 高田卓巳次長「追加利上げが行われるようなことになってくれば、やっぱりディベロッパーも事業者もこれ以上高い価格で土地が買えなくなってきますので、そうなると地価上昇が少し抑えられてくるんじゃないかなと思います。金利とかが上がってくると高値では用地が買えなくなってくる。オフィス用地やマンション用地が影響を受けるようになってくるとやっぱり地価全体に与える影響が大きくなってくるかなと思います」