福岡県豊前市の商店街で伝統文化の神楽と和太鼓、韓国の芸能集団が一体となった体験型イベントが初めて開催されました。商店街の活性化と伝統文化の継承という2つの思いが込められています。
商店街に老夫婦の妖怪
提灯を持って、夜道を歩く子どもたち。
酒店に到着するとシャッターの下から…
中からでてきたのは老夫婦の妖怪です。
神楽と和太鼓 韓国・ノルプラス
28日福岡県豊前市で実施された「妖怪夜市(ようかいよいち)」。
妖怪を演じるのは、国指定の重要無形民俗文化財、「豊前神楽(ぶぜんかぐら)」の若手で結成された「若楽(じゃらく)」と、市内の和太鼓チーム「豊前天狗太鼓(ぶぜんてんぐだいこ)」。
そして、鼓に似た形の独楽などを使って妖怪と対決をする役は韓国の芸能集団「ノルプラス」が演じています。
街の賑わい取り戻すきっかけに
3つの団体は、「若楽」がSNSにアップした動画をきっかけに去年、韓国での共演を実現。
「次は豊前市で共演をしたい」という韓国側からのオファーを受け街ぐるみでのイベントが実現しました。
ノルプラス ソ・ギョンジン監督「こうやって来て、パフォーマンスですね、ここから新しいところに行くよという演出をします」
豊前市の中心街JR宇島駅近くにある中央通り商店街。
かつては、多くの客で賑わっていましたが、人口の減少や高齢化などにより、シャッターを降ろした店が目立っています。
商店街の店主たちは、今回の「妖怪夜市」を街の賑わいを取り戻すきっかけにしようと実行委員会を立ち上げました。
妖怪夜市 筧俊太郎 実行委員長「こんな所に時計屋さんがあり、酒屋さんがありというのをみんなに知ってもらって、どんどん商店街にみんな出入りできたらなという思いがあります」
舞を「後世に残したい」
前日夜のリハーサルでは、3つの団体のメンバーが舞や太鼓のリズムを一つ一つ確認していました。
「豊前神楽」の若手で結成された「若楽」のメンバーにもどうしても「妖怪夜市」を成功させたい理由がありました。
若楽 内丸典久 代表「(神楽を舞う)秋祭りもやむなく中止というところが増えてきているんですよ。舞いたくても舞えない、舞えないとどうなるかと言ったら後世に残せないんですよ。みんなで豊前を盛り上げようという同じ志を持って明日しっかり演じたいと思います」
妖怪を鎮め平和と幸せ願う本番当日を迎えました。
「妖怪夜市」では出演者と訪れた客が一緒に移動しながら商店街の店舗に潜む妖怪と戦っていきます。
店舗の特徴を活かした脚本をもとに妖怪を鎮めていく平和と幸せを願うストーリーです。
「鬼の合戦おもしろかった」
初めての開催となる「妖怪夜市」。歩行者天国となった商店街には大勢の客が訪れていました。
来場した子供「楽しかったー」
来場者「普段見られないやつですごかったですね」
来場者「こんな大勢で一斉に見るというのはないので一体感もありながら雰囲気が恐いなというか」
来場した子供「見たことない感じの鬼の合戦で面白かった」
6つの店舗を回った後、フィナーレを迎える会場では、「神楽をベースとした舞」と「太鼓」の合同パフォーマンスを披露。
妖怪が訪れた客を輪に引き入れて共に踊り、2時間の「妖怪夜市」に幕が下ろされました。
ノルプラス ソ・ギョンジン監督「このプロジェクトをするときに一番大変だったのは街活性化プロジェクトと、伝統を大切にしようという気持ちが込められていた、本当に意気込み通りちゃんとできて良かった」
若楽 内丸典久 代表「こんなにたくさんの人が来てくれるとは思っていなかったので最高でした。豊前の力はでかいと思うし伝統文化人と人との絆というのが今日分かったので本当に良かったですありがとうございました」