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「こんなに苦労するとは・・・半年たっても応募がない」 医療現場の人手不足 ついに医師会がマッチングに乗り出した

RKB毎日放送 2024年10月1日 18時13分

全国の医療現場が直面している深刻な人手不足。

厚生労働省によると来年度、福岡県内では看護職員が最大で約1万2000人不足すると推計されています。こうした状況を打開するために福岡市医師会は、医療機関と求職者をつなぐ新たなサービスを開始しました。

福岡市内の小児科

福岡市城南区の内田こどもクリニック。

受付が終わる午後5時半を過ぎても看護師は多くの患者の対応に追われていました。

看護師「看護師は結構みんな動いて止まってることはほとんどないような状況です。実際、もう少し人が欲しいなとは思っているんですけど、なかなか求人出しても来ないような状況なので」

こちらのクリニックでは、現在、医療事務の職員を募集していますが、求人を出しても応募がない状況が半年ほど続いています。

医療法人 内田こどもクリニック 内田智子理事長「医療事務は足りないです。あと2人ぐらい欲しいんですけど」

記者「求人を出してから半年?」

医療法人 内田こどもクリニック 内田智子理事長「そうなんですよ、4月からですよ、エーって感じ。こんなに苦労するとは思いませんでした」

これまでは人材派遣会社を通じて採用していましたが、すぐに辞めたり急に来なくなったりしたケースもあったと言います。

医師会が始めた求人マッチングサービス

そんな中、新たな採用手段として期待しているのが、9月30日に福岡市医師会が始めた求人マッチングサービス「for‐us(フォーアス)」です。

RKB 土橋奏太記者「サイトには勤務時間や福利厚生など自分の希望条件をチェックして検索することができます」

福岡医師会「for-us」担当 富田健太さん「医療機関も求職者もどちらも希望条件で検索できたり、マッチングできるという点が一番大きな特徴です」

44%の医療機関「医療従事者が不足」と回答

福岡市医師会のアンケート調査によると、医療従事者が「不足」していると答えた会員の医療機関は全体の44%にのぼります。

福岡医師会「for-us」担当 富田健太さん「医療現場から、求人してもなかなか応募がないという声や、民間求人サイトの費用が高い、採用した方の定着率が低いという声が結構上がっています」

細かい希望条件を提示

「for‐us(フォーアス)」は、採用のミスマッチを防ぐため診療科目や勤務時間、福利厚生などの詳細な希望条件をお互いに提示する仕組みとなっています。

また、医療機関は無料で求人情報を掲載できるため採用にかかるコストを大幅に抑えることができます。

内田こどもクリニックもすでに利用登録を済ませ、求人を掲載しています。

医療法人 内田こどもクリニック 内田智子理事長「第三者が入らずに直接意見が聞けるのは一番いいことだし、入職してからこうじゃなかったああじゃなかったという話になるよりも最初に入職するときに、お互いに納得してこの条件ならOKという感じでマッチングした方がいいかなと思います」

休職中の看護師「直接やりとりできるのが魅力」

福岡市に住む30代の看護師の女性は、現在、3歳と0歳の子供の育児に追われています。

看護師の女性(30代)「夫の勤務地が変わって、その時に引っ越しをしたのと、今現在子育て中のため、休職をしています」

来年4月に子供を保育園に預ける予定で、働ける時間帯や待遇面など条件に合う医療機関を探しています。

看護師の女性(30代)「転職サイトに一度登録するとすぐに電話がかかってくるんですけど、やはり子育てしながらだと登録してもすぐに電話に出られなかったりというのがあります」

福岡市医師会の求人マッチングサービスは、医療機関側と直接やり取りできるのが魅力的だと話します。

看護師の女性(30代)「求職サイトの場合は、直接企業とやりとりすることはありません。子育てをしながらだと、求職サイトの人と電話が難しい時間帯があったりしますが、気軽に求人などをみることができるし、自分の希望条件とマッチするというのはいいのかなと思います」

コロナ禍の影響もあり人手不足がより深刻となっている医療現場。

新しく始まったサービスが人手不足を解消する一助となるかもしれません。

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