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”元寇の船”3隻目を確認「まるでつい最近沈んだかのよう」な木材の色や形 短刀や指輪状の金属製品も

RKB毎日放送 2024年10月11日 18時29分

鎌倉時代にいわゆる「神風」で沈んだとされる「元寇の船」の3隻目が長崎県松浦市の鷹島沖の海底で確認されました。船の構造がしっかり残りこれまで見つかった2隻よりも保存状態が良いとみられています。

水深18メートル「ワクワクするような調査」

松浦市 友田吉泰市長「限られた予算実施期間の中で3隻目の沈没船を確認するという最大限の成果を得ることができました」

長崎県松浦市は11日に会見を開き、鷹島沖で3隻目となる「元寇の船」が確認されたと発表しました。

10月1日から行われた今年の調査は去年見つかった木材が元寇の船のものであるのか確かめるものでした。

国学院大学 池田栄史教授「今度でしっかりと船であるということを確認する作業に入っていく。確認できれば、それこそ3隻目になるわけですね。そういう意味でこれまでの探すということに対しての方法論的な正しさがますますこれで証明できる」

去年木材が見つかった場所から範囲を広げて発掘します。

国学院大学 池田栄史教授「ワクワクするような調査」

中国の船に特徴的な構造を確認

調査7日目、驚きの成果が出ていました。

RKB 今林隆史記者「水深18メートルです。細かく堆積した泥のその下に多くの木材が眠っていました。板が整然と並んでいて、立体的な構造が保たれています。木材の色や形は非常に綺麗で、たまるでつい最近沈んだかのようです」

船の内部を仕切る隔壁や船底など当時の中国の船に特徴的な構造を確認。

1281年の「弘安の役」で襲来した「元寇の船」であることが確定しました。

国学院大学 池田栄史教授「もう完全に船ですね、木材の組み方木組みがもう船の木組みだっていうことがはっきりしてきているし、それからその木組みの特徴からどう考えても中国の南部の船だっていうこともはっきりしています。すごい。船底の形状がものすごくよく残っているので、だから本当は全体掘って見てみたいんだけど」

「引き揚げの候補」保存状態が良い

発掘状況を確認した船舶考古学の専門家も驚きの発見だと話します。

東海大学 木村淳准教授「すごい。現位置保ったまま船の構造、残ったものをしっかり記録していく。そういった事例としては今回は中世の東アジアの中国船として初めてではないか」

これまでの2隻と比べて3隻目は保存状態が良いと見られています。

国学院大学 池田栄史教授「3号船は非常に残りがいいというふうに思っております。将来的にいろんな形で引き揚げるっていうことを考える際の一つの候補にはなっていくだろうというふうには思います」

短刀・指輪状の金属製品なども発見

今回の調査ではさまざまな発見もありました。

松浦市・文化財課 早田晴樹 副主任「指輪みたいな形をしているので指輪状と申しておりますが、実際何に使っていたのかというのは今後海外の資料ですとか成分の分析等を待たなければならない」

中国の陶磁器や短刀、指輪状の金属製品、墨で文字が書かれた板材なども見つかっています。

保存する施設の整備を

こうした世界的な発見が相次ぐ鷹島ですが、大型の船などを引き揚げた後保存処理や展示を行う施設はありません。

松浦市 友田吉泰市長「国民の皆さんにこの元寇の遺跡について注目をいただいてやはりこの大切な資料をもっともっと調査すべきだというですね、そういった応援団を増やせるように我々としてはさらに取り組まなければいけません」

今年の調査で発掘できたのは船体の一部だけで船の大きさなどは不明です。

来年以降どのような調査をしてその成果を後世に伝えていくのか注目されます。

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