福岡県で絶滅のおそれがあるとされている水生昆虫「シマゲンゴロウ」が9月、うきは市で発見されました。
福岡市の高校生が飼育していて、絶滅危惧種が増えている現状を知って欲しいと訴えています。
70匹以上の生き物を飼育する福岡市南区にある第一薬科大学付属高校と福岡第一高校の水中生物研究会。
9月に新たな生き物を発見しました。
体長は約1.4センチ。背中にある4本の縦縞が特徴の「シマゲンゴロウ」。主に水田などに生息しています。
9月17日、水中生物研究会の顧問・太田喜視さんが福岡県うきは市の山あいにあるため池で生き物の調査中に発見しました。
水中生物研究会 顧問太田喜視 教諭「ほぼ見つからないと思いますし、もともとこれが見つかると思っていなかったので、ちょっと驚いてます」
実はこのシマゲンゴロウ、絶滅のおそれがある野生の動植物をまとめた福岡県のレッドデータブックに記載されている貴重な生き物なのです。現在、県内で生息が確認されているのは宗像市内のみ。
うきは市で見つかったのは実に20年ぶりということです。
水中生物研究会・3年 波多江優太さん「水族館とかではよく見るんですけど、シマゲンゴロウを見るのは生まれて初めてです。模様があってかっこいいし、動きとかもかわいくてメロメロです」
水中生物研究会・2年 田中真優さん「思ったよりもちっちゃくて『あれ?』みたいな」
絶滅危惧種は増加の一途をたどっています。
IUCN=国際自然保護連合の調査によりますと、2000年時点では約1万1000種だった世界の絶滅危惧種の数は、現在、約4万5000種以上とこの4半世紀で4倍にも急増。
日本国内では、最新のデータで1年間で40種も増えています。
専門家は絶滅危惧種が増加する要因について、生物の乱獲や開発などが挙げられると話します。
福岡県保健環境研究所 中島淳 専門研究員「取り過ぎ・乱獲とか、開発によって生息地を潰してしまう。森を伐採したり田んぼを潰して住宅地にしてしまったり、そういったものが大きな要因ですね」
他にも、農薬や洗剤などの化学物質や外来種の影響、気候変動など絶滅危惧種の急増は人間の活動が要因になっています。
そして、絶滅危惧種の増加が進めば私たちの生活にも深刻な影響を及ぼすことが予想されると警鐘を鳴らします。
福岡県保健環境研究所 中島淳 専門研究員「いろんな種が減っていく中で、我々にとって役立つような、あるいは食べているような生き物が減っていって、そうするとそれに関連する産業が不調になってしまって、飲食業とか観光業とかに波及していくことになります」
シマゲンゴロウの他にも、セマルハコガメや、ヒキガエルなど多くの絶滅危惧種を飼育している水中生物研究会の生徒たち。
これ以上絶滅してしまう生き物を増やさないためにも、生き物の大切さや環境保全などを呼びかけていきたいと話します。
水中生物研究会・3年 波多江優太さん「プラスチックのごみを魚や生き物たちが食べてどんどん死んでいくという現状もありますので、川をきれいに掃除するなど、そういうボランティアもやっていった方がいいと思います」
水中生物研究会 顧問 太田喜視 教諭「希少な生物がいて、その生活環境が脅かされているということをみんなに知ってもらうことが第一歩だと思います。近い将来に何か改善に結びつくような流れがあればいいかなと思います」
絶滅が危惧されるシマゲンゴロウ。
小さな生き物が地球の危機を訴えかけています。