博多と韓国・釜山を結ぶJR九州高速船の「クイーンビートル」が浸水を隠して運航を続けていた問題。
JR九州高速船は、国交省に改善報告書を提出しました。
社長が浸水の隠ぺいを指示したのは、「運休した場合、予約のキャンセル対応で営業社員に負担がかかってしまう。それを避けたいとの思いがあった」としています。
安全より営業を優先させていた実態が明らかになりました。
博多~韓国・釜山結ぶ「クイーンビートル」
JR九州は31日、国土交通省に改善報告書を提出したことを明らかにしました。
JR九州・古宮洋二 社長
「本日9時にJR九州高速船より国土交通大臣に改善報告書ならびに安全統括管理者及び運航管理者の解任・選任の届け出を行いました」
クイーンビートルを巡っては、船首部分への浸水を確認しながら国に報告せず、浸水を知らせるセンサーの位置をずらして浸水を隠蔽し、3か月以上運航を続けていました。
今年5月の九州運輸局による臨時検査の際には、会社側がセンサーを戻すなどして不正の発覚を免れていましたが、8月の抜き打ち監査で不正が発覚。
国交省が、JR九州高速船に対し海上運送法に基づく「輸送の安全確保命令」と「安全統括管理者・運航管理者の解任命令」を出していました。
改善報告書
改善報告書は、社長が浸水の隠ぺいを指示した原因として、1月に浸水が発生した際、運休時の予約キャンセル対応で営業社員に相当の負担が生じた」ことをあげ、「それを避けたいとの思いがあった」としています。
主な改善策として、全社員に対して法令順守の意識を徹底させるための研修を行うことや安全推進部を設置し安全管理体制が機能しているかチェックしていくとしています。
また、安全統括管理者と運航管理者の2人を解任し新たに松尾副社長ら2人を選任しています。
浸水を隠して運航を続けた問題をめぐっては、福岡海上保安部が10月17日、船舶安全法と海上運送法違反の疑いでJR九州高速船本社などの家宅捜索に乗り出し、立件を視野に捜査しています。