改正道路交通法が11月1日に施行され、「酒気帯び」やスマホを操作しながらの自転車運転について、懲役や罰金とするなど厳罰化されました。市民に話を聞いてみると「自転車だったら大丈夫」と、こうした運転をしたことがある人も少なくありませんでしたが、厳罰化には大半の人が賛成しています。
自転車での危険運転厳罰化に市民の反応は
RKB土橋奏太記者「自転車の酒気帯び運転について街の人はどう思っているのでしょうか」
市民は
「『自転車ぐらいだったらいいんじゃないか』という感覚は大昔ですけどあったと思います」
「少しの距離だしいいかなというので」
「やっぱり自転車に乗ってて酔っぱらってて人にケガさせたり命を奪ったりしたら車に乗ってるのと同じだと思うので、いけないことだと思います」
4割の人が「飲酒後に自転車運転」
福岡市内で50人にアンケートをした結果、「酒を飲んだ後に自転車を運転したことがある」と答えた人は19人。
自転車の「酒気帯び運転」は、これまでは法律違反行為ではあっても罰則は規定されていませんでした。
15人は、違反行為だと認識しながら自転車のハンドルを握っていました。
約4割の人が、「酒を飲んだ後に自転車を運転したことがある」と答えた一方で、「酒気帯び運転」について3年以下の懲役、または50万円以下の罰金とする厳罰化については賛成する声が多く聞かれました。
市民は
「行けちゃいそうな気はしますけど、そっから人と接触事故というのは危ないから、こうやって罰則化していくのはいい方向に向かっているのかなと」
「自動車は免許がいる。自転車は免許ないけど自動車を運転しているのと同じように危機感というか責任を持った方がいい」
これまでの「警告」から「逮捕」も視野に
自転車の危険運転について、警察はこれまでも取り締まりを強化してきましたが、飲酒運転に対しては主に「警告」を出すにとどまっていました。
今回の厳罰化を受けて「逮捕」も視野に入れた取り締まりとなります。
博多警察署交通第一課 矢加部忍課長「車を運転しているというよりは歩行者の延長という気持ちで運転している方も非常に多いので、それが自転車の飲酒運転につながっていると思う。違反をすれば捕まるということが周知されれば自転車による飲酒運転も減ると思っている」
「ながらスマホ」運転も厳罰化
酒気帯び運転だけでなく、スマホを手に、通話したり画面を注視したりする「ながらスマホ」運転も、6か月以下の懲役、または10万円以下の罰金となります。
事故を起こすなど悪質なケースは、1年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
福岡市南区の福岡海星女子学院高校では先日、「ながらスマホ」による事故を再現して、その危険性を学ぶ交通安全教室が開かれました。
福岡海星女子学院高校1年 西塔このみさん「身近に起こることなのでとても怖く思いました」
福岡海星女子学院高校2年 山田彩紗さん「すごくびっくりしました。スマホ使うときは止まって使うとかスマホをバッグの中に入れておくようにしたい」
「ながらスマホ」事故の6割は20代以下
去年までの10年間の統計によると、福岡県内で発生した「ながらスマホ」による自転車事故のおよそ6割は20代以下が起こしたものです。
神奈川県川崎市では、2017年に「ながらスマホ」で自転車を運転していた女子大学生が、歩行中の77歳の女性に衝突して死亡させる事故が発生。
女子大学生は、重過失運転致死の罪に問われ、懲役2年執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。
人の命を奪いかねない「ながらスマホ」。
「ながらスマホ」では交通環境を認識できない
交通工学を専門とする愛知工科大学の小塚一宏名誉教授は「『ながらスマホ』では、周辺の交通環境を認識できない」と指摘します。
愛知工科大学 小塚一宏名誉教授「『視野に入れば見えているんだ』という風に思われますが、それは思い込み、誤解です。スマホ画面に視線はとどまってしまう。ですから周辺の交通環境が実はなんら見えていない、脳が認識できていない。世の中に悲惨な事故が多いから罰則ができた。自分はそういう悲惨な事故の加害者・被害者にならないという強い意識を持っていただきたい」
道路交通法の改正により、厳罰化された自転車の「酒気帯び運転」と「ながらスマホ」。
自転車の運転とは歩くことの延長ではなく車両を運転することだと強く意識することが重要となります。