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「レベルの低い男性議員が淘汰されて質が上がります」 女性議員が増えたら・・・専門家が訴える「クオータ制」の導入

RKB毎日放送 2024年11月7日 16時36分

10月27日に投開票された衆議院選挙では、女性の候補者、そして女性の当選者の数が過去最多となりました。

しかし、政府が掲げている目標には及んでいません。

女性の政治参加が広がると議会や社会はどう変わるのか、議員や専門家に聞きました。

女性候補者の割合 過去最多に

先月27日に投開票された衆議院議員選挙。

福岡県の小選挙区では、候補者52人のうち女性は12人。全体の23・07%でした。

佐賀県では、女性の候補者はゼロでした。

全国では1344人が立候補し、このうち女性は314人。

割合は23・36%で、21年の前回の17・7%を上回り過去最多となりました。

しかし、政府が2020年に策定した「第5次男女共同参画基本計画」で掲げた「2025年までに35%」という目標には遠く及ばず、女性の政治参加が進んでいるとは言えないのが現状です。

現職議員「選挙活動、女性は不利」

今回の衆院選に福岡5区で出馬し、比例復活で2回目の当選を果たした立憲民主党の堤かなめ議員は、選挙活動において女性が不利だと感じるといいます。

立憲 堤かなめ 衆院議員「国会活動においてはそんなにないですね。選挙活動がやっぱり色んな意味で女性が不利だなと思います。朝早く駅立ちをするっていう朝の活動をするのも、子供さんの弁当を作るとか、介護をしているとかそういう状況があるとなかなかできませんので」

夜の会合、子どもはひとりで夕食

福岡県議会議員で、現在3期目の大田京子議員は、小学生の子供2人を抱えた1期目の時、議員活動と育児との両立が難しかったと振り返ります。

福岡県議会 大田京子 議員「夜の会合だったり、話し合い、会議がある時に、しばらく一人で夜ご飯も子供だけでって続いたり、一期生でまだ学ばないといけないこともたくさんある中でそこのバランスは悩みましたね」

そうした中、女性議員の発案やジェンダー平等の観点から県議会も少しずつ変化しているといいます。

福岡県議会 大田京子 議員「これまでは介護とか出産補助で休むときは”その他事故”扱いだった。これおかしいよね、正当な理由で休みを届け出したいと。女性先輩議員の発案で議会規則を改正しよう、介護、看護、出産補助というのはちゃんと理由になる、欠席事由になると規則改正されたことは」

女性議員を増やすためにはどうしたらいいのか。大田議員は女性自身の「意識改革」を挙げます。

福岡県議会 大田京子 議員「女性自身が活躍できることを自分に言い聞かせる。女だからとか、男性を立てないといけないそういう日本社会を破っていく、その意識改革というのが必要かなと思っています」

男性が圧倒的多数→女性や若い人の声届かない

今回の衆院選で当選した女性は73人。

前回の45人から28人増えましたが、当選者全体に占める割合は15・7%にすぎず、男性が圧倒的多数を占めています。

専門家は女性議員が少ないことで政策にも偏りが出ると指摘します。

相模女子大学大学院 白河桃子 特任教授「過去最高ではあるが、世界に比べるとあまりに歩みが遅いですよね。女性や若い人の声を代弁する人がいない。あまりに女性の議員が少なすぎるという状況は政治の政策の隔たりを生んでいると思います」

「クオータ制」のメリット

白河特任教授は女性議員の割合を上げるためには候補者や議席の一定数を女性に割り当てる制度「クオータ制」を導入するべきと指摘します。

相模女子大学大学院 白河桃子 特任教授「一刻も早くクオータ制を入れるべきだと思います。あまりにも偏りがひどい場合、その隔たりを一刻も早く良い値に戻すために時限的に入れるもの。他国はそれではっきり女性議員の比率が上がりましたし、比率が上がると、レベルの低い男性議員が淘汰されて質が上がります」

各国の女性議員の割合

日本以外の国の女性議員の割合はどうなっているのか。

内閣府が主な国の女性の国会議員の比率の推移をまとめています。

40年ほど前は、日本をはじめフランス、ドイツ、イギリスでも女性議員は10%未満でしたが、フランス、ドイツ、イギリスはその後、右肩上がりで増え続け、いずれも35%前後まで高くなっています。

これらの国やスウェーデン、それにお隣韓国も「クオータ制」、すなわち、一定数を女性に割り当てる制度を導入しているということでその成果が出ているようです。

女性議員を増やすためには早朝の活動や夜の会合が多い今の議員活動を見直すなど男性の意識改革も必要です。

誰もが豊かで暮らしやすい世の中にしていくために、女性の政治参加を社会全体で考えていく必要があります。

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