「遊びたいけど遊べない」「遊ばせたいけど遊ばせられない」障がいのある子どもたちと親たちの願いを叶えようと、イベントが開かれました。
遊ぶために使われるのは意外な道具や機器の数々。
会場に笑顔が溢れました。
「遊ぶ場所が限られる」子どもたち
福岡県大刀洗町の多目的施設。
中に入ってみると・・・にぎやかで、楽しそうな空間が広がっていました。
主役は障がいがある子供たち。
体をつかって思いっきり遊んでもらおうと企画されたイベントで約170人が参加しました。
ブランコに自転車、そして、ゴムのヒモで体を固定し立って動ける遊具など、盛りだくさん。
保護者
「興奮していて楽しんでくれています」
保護者
「なかなか行けるところが限られてくるので、そんなにしょっちゅう出かけることもできなくて。」
保護者「体を動かす系はあまりないから、動くのは結構好きなんですよ」
障がいがある子どもたちの場合、常にサポートが必要なため遊ぶ場所が限られているといいます。
リハビリで使う機器や道具が遊具に
「遊ぶ場所がほしい」という切実な声を受け、イベントを企画したのが大刀洗町にある、「医療福祉センター聖ヨゼフ園」
重度の身体障害と知的障害がある人たちの入所施設です。
普段リハビリで使っている器具や道具を活用できないかと考えました。
自分で呼吸ができない子どもの体を揺らすことでタンを出しやすくするためのブランコ。
ボタンで動く移動支援機器は座る練習と移動の楽しみを知るために使っていました。
ゴムのヒモで体を支えていた遊具も、実は立つことを経験するために使う機器です。
医療福祉センター聖ヨゼフ園 地頭方 幹さん
「お子さんだけではなくご家族も一緒に楽しく遊ばれているので、すごくいいと思います。楽しくないと何も意味がないと思うので、遊ぶことで体を動かすことを覚えてくれて結果的に運動につながってくたらいいなという思いはあります」
自転車も手作りで支えを取り付け体と足を固定します。
楽しかった!親も子どもも笑顔
参加した子ども
「楽しかった」
RKB 山内耕介ディレクター
Q 乗り物好きですか?
参加した子ども
「うん」
RKB 山内耕介ディレクター
Q 結構足に力入っていましたね
保護者
「ほとんど動かないんですけど、(遊ぶことで)柔らかくなるのでいいなと思います」
作業療法士や理学療法士がボランティアで
イベントスタッフは九州各地の施設で働く作業療法士や理学療法士。ボランティアで駆け付けました。
手厚いサポートを受け子どもたちは様々な遊びに挑戦します。
RKB 山内耕介ディレクター
Q 新しい体験をさせることは大事ですか?
保護者
「大事です。一部脳が壊死してるので、新しい体験って私たちもそうですけどワクワクするっていうのが脳の刺激にはすごくいいから」
イベントを楽しみにしていた家族
このイベントを楽しみにしていた家族がいます。
小郡市の貢 綾汰さん(13)。小郡特別支援学校中学部の1年生です。
綾汰さんの弟 貢 爽士さん(10)
「鼻水がたまるので吸引しています」
綾汰さんは生まれつき脳に水が溜まり脳を圧迫する水頭症で、手足を自由に動かすことや1人で座ることができません。意思の疎通も十分にはできないといいます。
母・貢 美子さん
「楽しければ笑いますね。興味がなければ全然ふっとしてます。わかりやすいです」
成長とともに親ができることも限られて
お出かけと、体を動かすことが大好きだという綾汰さん。
この日は家族で近くの公園へ
父・貢 正晃さん
「楽しいね、もっと揺らそうか。ブランコとか毛布で揺らす遊びとかジェットコースターなんかも乗ったことあるんですよ。」
しかし成長とともに、親がサポート出来ることも限られてきました。
父・貢 正晃さん
「昔より重たいですね。昔は縦抱きができたんですよ。横にだっこしないとブランコできませんもんね」
母・貢 美子さん
「滑り台も小さい頃は抱っこできてたんですけど、足とかが引っ掛かりそうなので、公園で遊ぶのは難しくなったなと思います。」
「遊んでほしい」「笑顔がみたい」
普段と違う遊びを経験させたいと願っています。
母・貢 美子さん
「単純に楽しんでほしいです。楽しいものを見つけられるといいなと思います。」
父・貢 正晃さん
「さっきぶらんこで綾汰笑ってました。あの笑顔がみたいんですよ。いろんな笑顔がみてみたいです」
当日、イベント会場を訪れた綾汰さん。
ボールを転がして高得点を狙います。
次はボールプールボールの上を板に乗ってスーッと移動する滑り台。
母・貢 美子さん
「ボールプールにこってしよったもんね。もう一回すると言われたらにこっとして手が上がっていたので、楽しかったのかなと思いました。家族で同じ場所で遊べるのがいいなと思います。」
父・貢 正晃さん
「スタッフも作業療法士とか看護師とかプロですからある程度お任せできます」
母・貢 美子さん
「次の機会も行きたいですね」