秋18度目の両校決勝戦
秋の県大会、いわゆる花園予選。104回目を迎える全国高校ラグビー大会=花園への代表権を懸けた戦いだ。
福岡県は、3年連続で同じ顔合わせ、東福岡対筑紫。初めて両校が秋の県大会決勝で対戦したのは1984年の64回大会。19-15で東福岡が競り勝ち、花園初出場を決めた。以降、17度の決勝対決はいずれも東福岡が勝利しているが、もちろん接戦もあった。
2000年 25-22
2005年 28-27
2008年 12-10
2009年 17-12
2012年 24-17
そんな両校が今年も花園への切符をかけて対戦する。
今季は王者ヒガシに異変?
今や全国屈指の強豪校となった東福岡。ここまで花園出場回数は福岡県勢としては2番目に多い34回で、優勝7回、準優勝4回。春の選抜大会も6度制している絶対王者だが、今回のチームは、その選抜大会で初戦敗退という予想外のスタートとなった。
その後も九州大会決勝で敗れるなど、「1年を通じてチームを作り上げていく過程でうまくいかないことが多くあった」と振り返る藤田雄一郎監督。そこには、2大会連続で花園の決勝へ勝ち進み、ある程度メンバーが固定された中で戦い抜いたことで経験値が偏ったことなど、その直後の難しさがあったという。
ヒガシであり続けるために
そんな中、どうメンバーを組めばよいか、試行錯誤を繰り返したシーズン。思い切って2年生や1年生を抜擢するなど、春に比べ構成メンバーが変化している。
「東福岡であり続けるためには何が必要なのか?選手に向き合わせた。結論は、原点回帰、シンプルなことをやり続けることだった。」と藤田監督。フィジカルの強さやブレイクダウンの激しさなどを鍛え直して県大会へ向け準備した。
古田学央主将は、「前回、花園決勝で負けた先輩達の悔しがる姿が心に残っている。ここに来て、選手の意識とプレーの質の高まりを感じる」と確かな手応えを口にする。
今年の東福岡のテーマは「咲く」。大舞台で大輪の花を咲かせることを目標に県大会突破を目指す。
筑紫は2024年型の戦い方で
一方、春の県準決勝での東福岡戦は敗れたものの、24-36と相手を苦しめたことで自信を掴んだ筑紫。
今年は、戦い方にある特徴が見える。自陣から攻め上がる際、キックでのゲインというシーンが極端に少ない。正確なパスとランで継続させ、相手との接点ができると強力FWが威力を発揮してボールをキープ。徐々に前進を図り、少々時間をかけてでも粘り強くトライに結びつける。泥臭さでフルタイムを戦い抜くスタイルは、正確なハンドリングとスタミナが必要となるが、それを夏場の鍛錬で身に付けた。
「毎年戦っている相手。少しずつヒビは入れてきたので、今年こそ破壊できるよう、やってきたことを信じて挑む」と長木裕監督。
主将の納冨暉生選手も「チームスローガンは『ハングリー』。気持ちが入ったら誰にも止められない。これが筑紫ラグビーにつながる」と息巻く。
データ分析でサポート
さらに筑紫には特筆すべき存在がいる。多方面からデータ分析するなど、チームをアナリストとして支える塩塚悠葵さん。入部後にラグビーをゼロから学んだそうだ。
「自分が提供したデータがチームの勝利に結びついた時は嬉しい」。塩塚さんは、ボールの代わりにパソコンとカメラでトライを後押しする。
筑紫は今年ラグビー部創部50周年の節目。伝統の“筑紫魂”が燃える材料は揃った。
決勝戦のキックオフは11月9日正午、ベスト電器スタジアム。
放送は深夜0時58分~RKBテレビ。
YouTubeチャンネル「RKBスポーツLive!」では、午前11時50分ごろから生配信。