12日午前3時、日本の南の海上で台風25号が発生しました。11月に台風が天気図上に4つ同時に存在するのは観測史上初めてです。
天気図上に最も台風が多かったのは、1960年「五輪台風」
1枚の天気図上に5つと、最も多くの台風が存在したのは、1960年8月23日の天気図。14号から18号まで5つの台風が存在しました。
その2日後の25日からローマオリンピックが開催されたことと天気図上の台風の位置を上下逆さまにすると五輪のマークに似ていることから、「五輪台風」と名付けられました。
オリンピックの年は、台風の数が多くなる?
「五輪台風」の印象が余程強かったのか、”オリンピックの年には、台風は多く発生する”というイメージが付きました。
実際、ミュンヘンオリンピックの1972年7月とバルセロナオリンピックの1992年8月には4つの台風が出現しました。
ただ、”オリンピックの年に台風が多く発生する”というのは、あくまでイメージでオリンピックが開催されない年に天気図上に4つの台風があったこともありました。
オリンピック開催の今年 ”四輪台風” あらわれる
11月12日午前3時、台風25号が発生し、天気図上に22号~25号が現れてしまいました。
”オリンピックの年に台風は多く発生する”というイメージについては、説明できませんが、晩秋の11月に台風が次々に発生した理由はわかります。
台風が、さらに発達する、あるいは勢力を維持する海水温度27℃以上の場所を台風の衛星画像に重ねてみると、ほとんどの台風がそのエリアに入っていることがわかります。
また、11月11日時点での海面水温の平年差を見ると、台風が存在する海域は、平年に比べ海水温度が1~2℃も高いことがわかります。
この夏は、去年と並び観測史上最も暑い夏となりましたが、その名残が海水温度の低下を妨げ、台風を続々発生させているといえるのです。
RKB気象予報士 龍山康朗