人手不足や人件費の高騰などを受けて、従業員がいない「無人営業」の店舗が増えています。
時間を気にせず気軽に利用できるメリットを生かした店や盗難防止の対策を取った店も登場しています。
福岡空港国際線に「無人の果物販売店」ターゲットは外国人観光客
今月1日に福岡空港国際線のコンコースにオープンした無人の果物販売店です。
すべて九州産で、今が旬の柿や梨、みかんなどが並んでいます。
橋本由紀アナウンサー
「クレジットカードだけで決済ができます。ここにクレジットカードをかざすと冷蔵庫が開きます。自分の好きなもの、ミカンを取って閉めるとかざしたカードで決済済みということです」
商品を取り出すとクレジットカードで自動的に決済が終了するため外国人でも購入しやすく、無人販売で心配な盗難のリスクも抑えられています。
運営会社は人件費を削減し商品の価格を抑えることで、九州産の果物の魅力をより多くの外国人にアピールしたいと話しています。
ジャパンフルーツ 井戸英二さん
「九州の頑張る多くの農家さんたちが夢と希望を持ってこういう販売に挑戦できるこんな環境を作っていきたいなというのが私たちの目指しているところ」
周りの目を気にせずゴルフ練習
周りの目を気にせず利用できるという特徴を生かした無人店舗も増えています。
小野愛莉リポーター
「こちらの無人型店舗ではインドアゴルフが楽しめるということです」
去年7月、福岡市博多区にオープンした24時間営業で完全無人の会員制インドアゴルフ場です。
小野愛莉リポーター
「打つ姿も映し出されるんですね」
トナリノゴルフ南福岡店 荒木陽佑オーナー
「最後必ずショットの映像も出てきますので、右のほうもしくはモニターのデータを見て、自分で分析しながらやっていく形になります」
個室のため初心者でも周りの目を気にすることなくゴルフを楽しめることから、幅広い客層から支持されています。
トナリノゴルフ南福岡店 荒木陽佑オーナー
「ファミリー層でコースが回れない施設内はどれだけ遊んでもいい。基本的にはスタッフがいないので人件費がかからない。その分月額の会員の料金に反映している」
料金は月2回で1万3200円~となっています。
24時間営業の「無人脱毛店」利用客の多くは男性
無人店舗の特徴を生かしたビジネスはこのほかにもー
利用客「人の目が全然気にならないのと、ここは24時間営業なので通いやすい」
セルフ脱毛ができるこの店では、人目を気にすることなく24時間利用できるため男性客の利用が増えています。
今では利用客の6割から7割が男性です。
利用客「(始める前と)全然違います。生え方が自分でケアしていた時より遅いなという感じ。脱毛を始めて自分にちょっとだけ自信が持てるようになった」
この店舗でも人件費を削減し、通い放題のプランでも月額1万800円という低価格を実現しました。
セルフ脱毛サロンハイジ福岡天神店 岡田光弘さん
「夜中の3時でも4時でも来られる。スタッフがいないので、人件費もかからない。完全無人で受付すらないので、パジャマで来てもいいし気軽に来やすい」
無人店の最大の課題は「セキュリティ」顔認証の導入も
人件費削減のメリットが大きい無人店舗ですが、導入には課題もあると専門家は指摘します。
東京商工リサーチ福岡支社情報部 渡辺賢一郎部長
「システムとか初期投資がかかるので大手企業は対応できるが資金力がない中小企業はハードルが高い部分があると思いますし、セキュリティをどう確保するかという問題が大きいと思います」
無人店舗で懸念されるセキュリティの課題。
福岡県粕屋町の青果店は、顔認証システムを導入し万引き防止と売上アップを実現しました。
小野愛莉リポーター
「こちら普通の青果店に見えますが顔認証によるロック解除によって中に入ることができるんです」
入口に設置したスマホに顔を映すだけで開錠。
事前の登録は必要ありませんが、過去に万引きや迷惑行為をした人の顔を防犯カメラの映像と照合・特定することで、次回から鍵が開かなくなり入店を拒否するシステムです。
八百晴 松尾友晴代表
「セキュリティが強いというところで、周りのお店の方や住んでいる方も安心できるかなという思いでこのシステムを導入しました」
このシステムの導入後、万引き被害がゼロになったことで、午後11時まで営業できるようになり売上も増加。
売上増加や経費削減の効果をスタッフの賃金アップや野菜をより安く提供することに繋げています。
八百晴 松尾友晴代表
「賃金の上昇だったり野菜も高騰したりというのがあるので、いかに経費を抑えて野菜の方の値段を上げないようにというところでお客さんが買いやすい価格帯のものを販売しやすくなった」
福岡県内でも増え続ける無人営業店舗。
厳しさを増す人手不足を補う新たなビジネスモデルとなるかもしれません。