一人暮らしをする65歳以上の高齢世帯は、26年後の2050年に32道府県で20%を超えるという推計が12日、発表されました。
2050年には27都道府県で一人暮らしが40%超に
国立社会保障・人口問題研究所は、2020年の国勢調査をもとに2050年までの世帯数などについて都道府県別に推計をまとめました。
その結果によりますと、今後、すべての都道府県で世帯人数は減少が続き、2040年には26都道府県で2人を下回り、2050年には34都道府県まで広がります。
また、全ての世帯に占める一人暮らしの割合は、2050年に全都道府県で上昇し、27都道府県で40%を超えるということです。
都道府県別には、東京都の54.1%が最も高く、福岡県は46.4%で全国で4番目に高い数字となっています。
一人暮らしの高齢者 2050年には32道府県で20%超に
2040年から2050年にかけて、1世帯当たり2人を下回る都道府県が増える要因として考えられるのが、一人暮らし世帯の増加です。
2050年には27都道府県で40%を超えるとされています。
未婚率の上昇や出生率の低下などが背景にあると見られています。
また、一人暮らしをする65歳以上の高齢者の割合は、2050年には32道府県で20%を超えるという推計です。
医療・見守り・・・”地域の取り組み”必要に
国立社会保障・人口問題研究所は、「身寄りのない高齢者が増えることが考えられるため、医療や介護など地域での取り組みが重要だ」と指摘。
福岡県の担当者は、「ひとり暮らしの高齢者が孤立せず、安心して生活できるためには、地域における見守り活動が重要。各地域で見守りチームが編成されるよう支援していく」と話しています。
一人暮らしの高齢者率 九州では佐賀県のみ20%未満に
一方、佐賀県の一人暮らしの高齢者の割合は19.2%と推計されていて、九州7県では佐賀県だけが20%を下回りました。
佐賀県は、三世代同居の割合が九州で1位であることに加え、高校生の県内就職率が2018年の56.9%から2022年に65.8%まで全国1位の伸び率となるなど、県が力を入れていることが考えられます。
配食・移動行政・・・自治体の様々な支援策
高齢者の一人暮らしが増える中、各自治体もさまざまな支援策を講じています。
高齢化率が48.3%と、福岡県内で最も高い東峰村では、776世帯のうち、238世帯が65歳以上の単独世帯です。
支援策として緊急通報システムを設置して、もしもの時はスイッチを押せば家族や病院、民生委員などに一斉連絡できるようにしています。
また、週2回、配食サービスを行い、見守りを強化しています。
佐賀県唐津市では市役所までの移動が困難な高齢者のために、車両を使った移動行政サービス「どこでも出張市役所」を今年5月から始めました。
九州初の取り組みで、マイナンバーカードの申請や証明書の交付など、20の行政サービスを提供しています。
衆議院選挙の時は投票所の役割も果たしたということです。
自治体が婚活支援も
単身の高齢世帯が増える要因に中高年の未婚者が増えていることも挙げられます。
佐賀県が委託する婚活サービス「さが出会いサポートセンター」では、50代、60代の登録者も年々増加傾向にあり、2024年4月時点で70人が登録しています。
グループでの婚活パーティーではなく、1対1のお見合いをセッティングすることで、これまでに19人が成婚したということです。
未婚の人が増え、単身世帯が増加していく中、社会での孤立を生まない仕組み作りも求められています。